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心の奥の扉の先の可能性  作者: 天衣無縫
第一章 幼すぎた時間
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第七話 海人お兄ちゃん ー渚視点ー


尋音がロリコンだとは………(本人は全否定してるけれど…)


「ナギ姉ー」

「どうしたの?」


美咲が幼稚園の制服姿で部屋に入って来る。

美咲は遥ちゃんと違って活発だからなぁ…。

もしかしてそのギャップで尋音惚れちゃったのかな!


いやいやそれはないって~。


でも愛に歳の差なんて…。

その前に三歳で歳の差って言うのかな?


っていうか!別に尋音のこととがどうでもいいし!!うん!


でも見えちゃったんだよねぇ…。

尋音が遥ちゃんにキスされてるの。


月海達は気づかなかった見たいだけど、バッチリ見えちゃってた…!

それに顔真っ赤にしちゃって!!

もー今日のトイレの一件だって!(これまた誤解らしいけど)


いつからこんなにえっちになっちゃったんだろ…。


「ねぇナギ姉聞いてるのー?」


美咲に声をかけられてやっと頭をもとに戻す。


「あ、ゴメンゴメン。なんだっけ?」

「もーしっかりしてよー」

「あはは…」


妹にまでダメ出しされちゃったよ…。


「でね~」

「うん。聞くからその前に着替えて来たら?一緒に行こうか?」

「大丈夫だよ!私も来年から一年生だもん!」


そう言って走って部屋から出て行った。

そっか…美咲も来年にはランドセルを背負うのか…。


五歳差だから一年しか同じ学校行けないけど

少し楽しみだなぁ。








それから美咲の幼稚園のカワイイ恋ばなを聞いて、夕飯を食べてお風呂に入る。


お風呂にはいるとすっごい癒される♪


ここまでお風呂好きだと、あのポケットに夢がいっぱいつまってる青いロボットのアニメに出てくるヒロインの女の子みたいだなぁ。



体を洗ってると最近悩むことが…。


自意識過剰とか、ナルシストとかなんじゃなくて、正直私は太ってないしむしろ痩せてるほうだと思う。


でもスリムなのはいいけど…。


ふと、胸を見る。


「ここまでスリムなのはなぁ…」


確かにまだ五年生だしそこまでないのが普通なのかもしれないけど、成長する兆しすら見えない…。


今年の秋には林間学校ということで泊まりの行事がある。

その時にはもちろんみんなでお風呂にも入ると思う…。


「月海はけっこう膨らんできてるんだよね」


ほんとにため息しかでないよ…。




ガーーーッ


ドライヤーをかけるとシャンプーのいい匂いがする。これもお風呂上がりだからできる特権だよね♪


「渚ー?」

「なーに?」

「海人くん来てるわよ?」

「はい!?海人お兄ちゃんが!?」


いきなり!?


「お母さん早く言ってよお~」


というか兄弟そろってタイミング悪いよ…。

さすが兄弟なのかもだけど。




「よっ渚ちゃん」

「もー海人お兄ちゃんー。」

「あはは、それにしてもお風呂上がりで色っぽいねぇ」


海人お兄ちゃんがニヤニヤしてくる。


色っぽい…?

ついさっきのことを思い出す。


「はぁ…」

「あれどうしたの?悩み?」


「ううん、なんでもない。それより何かようがあって来たの?」

「ん?久しぶりにかわいい妹ちゃんたちの顔が見たくなってね」


「実妹じゃないし…本音は?」

「暇つぶし♡」


やっぱりね…。


「そーいや尋音は?」

「あ、ゴメンね?俺より尋音のがよかった?」

「そーじゃないってば!」

「冗談だって」


もー。いつも海人お兄ちゃんは私のことからかってばっか!


「あいつなら今素振りしてるよ」

「うっそ!尋音も頑張るねぇ」

「そうだな…。まぁあいつもまだまだだけど」

「ふふ、って言う割にはいっつも熱心に指導してるみたいじゃないですか海人コーチ」


いつだったか近くの公園で練習するのを見かけたことがある。それも一回じゃない。


やっぱテニスしてる尋音はすっごく楽しそうで、それを教える海人お兄ちゃんもすっごい輝いてた。


スポーツしてる男の人ってやっぱかっこいいし、憧れちゃう。

私ももっとできればなぁ…。


「俺はあいつの体を借りてテニスしてるんだよ。」


海人お兄ちゃんが少し真剣な顔で口を開く。


体を借りる?


「どういうこと?」

「俺事故ってテニスできなくなっちゃったじゃん?」

「う、うん」


リハビリしても日常に影響が出ない程度まで回復したけどやっぱ運動は厳しいみたい。


「それでさ、まだヘタだけど体だけはやたら丈夫な尋音が丁度そこにいたのさ」


さっきに比べて笑顔だけどそこには少し寂しさが見える。


「で、俺の全部をあいつに叩き込んでる。俺のテニスにかけた10年全部をね」

「なるほど…。」


「それであいつには俺の夢を託す。…そんで俺はあいつの体を借りて夢を叶える!ってな」

「夢?」

「プロ。」


プロ。そんなに簡単にはいかない夢。普通なら冗談にも思えてもおかしくない、それくらい難しい夢。


それを海人お兄ちゃんは本気で目指してたんだ。

そして同じ夢を尋音は追ってるんだ。


「かっこいいね。なんか」

「あれ?俺に惚れちゃった?」

「ありえません。」


こういう軽いとこがなきゃホントにかっこいいのに。


「あ、今の話尋音には絶対内緒ね」


やっぱ少し恥ずかしいのかな?

普段はケンカもしたりするけどやっぱすごく仲いいんだよね。


「了解です」

「よろしくー。じゃ俺ももう少しあいつのことしごいてくるかな~っと」

「あはは。頑張ってね」

「うぃ。じゃおじゃましましたー!」


海人お兄ちゃんが席を立つ。


「あら、もう行くの?」


お母さんがキッチンから顔を出す。


「うん。突然すんませんでした」

「まぁいいのよ?また来てね?」

「うん、ありがとう」


そう言って海人お兄ちゃんは帰って行った。




「夢…かぁ」



頑張ってね、二人とも。

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