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心の奥の扉の先の可能性  作者: 天衣無縫
第一章 幼すぎた時間
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第五話 五年生 ー尋音視点ー


テニスクラブに入ってもう一年が経つ。


最近になってやっと試合に出れるようになって来た。俺はダブルスが主流で、この前誠司と組んで出た大会ではベスト4に入れた。


「ひざ高ーい。手首もっと柔らかくー。」

「分かってるよ!」


いつのまにか兄貴が俺のコーチ的なことになっていた。


俺も最初は気に食わなかったけど、やっぱり実力はかなりだったんだと思う。

一つ一つのアドバイスがすっごく適切だもんなー。


だからこそ本当に残念だった。いつか兄貴を超える!って思ってたのに急に目標がなくなっちゃったんだから。


「もっと背伸ばせー」

「それは無理だろっ!!」




__________________


「あー早くテニスしたいなあ」

「もー尋音そればっかだねぇ」


声をかけて来た渚。


つい最近急に背が伸びてきて追い越されそうでヒヤヒヤしてる…。


保険でならったけど今の時期は女子のほうが発育がいいらしい。


牛乳をのんでも全然背が伸びないなあ。

兄貴は今178だから、俺もそんくらいいけるのかなぁ。


「なーに考え込んでんの?」

「渚にはわかんない男の悩みだよ…。」

「ふーん。いろいろあるんだねえ」


渚。おまえも悩みの一つなんだぞ…。



「お!せーいじー!」

「あ、おはよう尋音。」

「なんだよー彼女も一緒に?」

「ち、ちがっ!別にまだそんなんじゃ!」


あきらかに月海が焦っている。よし、もう少しからかうか…。


「ま・だ?」

「!!!」


おーおー顔が真っ赤。


「沈みゆく夕日とかけまして、今の月海とときます。」

「その心は?」


お、渚がノってきてくれた。


「どちらも真っ赤でしょう」


「「ぷっ!くくくくーあーっはっはっは!!」」


俺と渚で大笑い。

あ、月海はうつむいちゃってる。さすがに言い過ぎちゃったかな…。


「尋音。さすがにひどい。月海に謝りなよ」


うっ!あんま表情からはわかんないけど今の誠司だいぶ怒ってる…。

ダブルス組んでたおかげかそういうのが分かるようになってきた。


「ご、ごめん月海」

「わ、私も…ごめんね月海」


「だって月海。許す?」

「うん…。」


な、なんだか誠司達冗談じゃなくていい感じになってんじゃ?


「ねぇ月海たちさ…」

渚が小声でつぶやいてくる。どうやらおなじことを思ってたらしい。


「いい感じだよな…」

「うん。うらやましいなあ」


「渚ー!尋音ー!置いてくよ!」

「今行く!」


ってか月海機嫌治んの早っ!


さりげなく渚が言っていた、うらやましい。

もしかして好きな人でもいんのかなぁ。

…気になる。




___________________



五年生は大変だ。高学年ということで下級生のお世話をしなきゃならない。


しかもよく分からないけど、男子は女子の、女子は男子とペアを組むことになってる。


「ひ、尋音…助けて…。」

「ねえ!せーじ先輩!遊ぼうよ!」


お、どうやら誠司はずいぶん元気な女の子と組んでるみたいだ。


「誠司先輩!遊んであげないとw」

「ひ、尋音ー」


誠司が引っ張られて行く。…まあこれくらいでテニスに支障は出ないだろう。


「尋音ー」

「あ、渚に月海。楽しそーじゃんか」

「まあね。私たちどっちも下に兄弟がいるから子供の世話なんて楽勝よ」


「尋音も美咲の面倒みてくれたりしてるからなれてるんじゃない?」

「あ、あははーもちろん!」


「じゃ私たちもう行くね?」

「おう!またな」


楽しそーに行く二人に手を振る。

あんなこといっちゃったけどなあ…。


「は、はるかちゃん?遊ぼうか?」

「……いい。」

「そ、そっか、あはは…。」


……っ気まずい!!

美咲はいっつも自分から話しかけて来るけどこういうタイプはわかんない!!


「あはは俺、遥ちゃんと遊びたいなぁ」

「いい。」


むっずかしい!!





___________________



「ありがとぉございました!」


二年生から挨拶を受けて、交流タイムが終わり。


疲れた顔をした誠司が近づいてくる。


「疲れた…」

「俺もいろんな意味で疲れた…」

「これが毎週、あと二ヶ月…」

「いやだー!」


「なっさけないわねー!」

「いいじゃん可愛くてさ。」


「そ、そりゃあかわいいんだけどさ…。扱い辛いっていうか…。」

「僕はすごく振り回された…。」


ほんとにぐったりだった。



___________________



「懐かしいなぁ」

「兄貴はどうだった?」

「ん?まぁ最初は仲良くなるの大変だったな。でも仲良くなれば懐いてくれて可愛いもんだったぜ?」


「仲良くなるのが大変なんだってば…」

「俺は渚ちゃんも尋音もめんどう見てたからそこまで苦労はしなかったよ」


渚はほんとに昔はおとなしかった。

それこそ遥ちゃんと同じくらい。


その時はどうやって仲良くなったんだっけ…


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