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心の奥の扉の先の可能性  作者: 天衣無縫
第二章 戸惑い多き時間
24/25

第二十三話 力の差 ー尋音視点ー

「けっこういい感じじゃね?」

「うん。悪くない」

「みんなここまでは本当によく頑張ってくれてるぞ。でもここからはシード校にあたるだろうから油断せずに気を引き締めて行こう」


危なげなくベスト8まで勝ち進んだ俺たち。

それぞれの試合内容もよくて本当にいい調子だ。


「亮はやっぱり後半。んで誠司はもう少し攻める気を持て。阿部と三島はこの調子で。修也はサーブ決めようとしてダブルフォルト多すぎ。齋藤は今のとこ文句なし。尋音は全然ダメ帰ったらシバ・・・特訓」

「アハハ、そう上手くはいかないネ・・・」

「はい」

「「ありがとうございます」」

「・・・ういっす」

「まだまだですよ」

「なんか俺だけ厳しくない!?」


兄貴・・・もとい監督からアドバイスが伝えられる。もはや俺のはアドバイスじゃないけどな!


「あ、今日は無理だ。今夜は予定があった・・♡代わりに町内三十周で。渚にちゃんとチェックしてもらうからな」

「三十周ってフルマラソン以上あるぞ!」

「あ?監督様に文句ですかぁ?」

「監督の権力で脅してるだけじゃねえか!」


それに、渚にも迷惑だろ・・・。


ちらっと渚のほうを見る。

俺の思ったことを理解したのか

「それもマネージャーの仕事だもん!付き合うよ!!」


ってとびっきりの笑顔です。そこは頑張らなくてもいいとこですよ・・・。



「次の準々決勝の相手だが・・・楽観中学だ」

「楽観中学?」

なんか楽しそうな名前だな。どんなとこかは知らないけど。


「楽観中学。ここ五年間は公式戦すべて一回戦敗退。市内屈指の弱小校、です」

月海がどこで手に入れてきたのか情報を教えてくれる。


「楽中か・・・確かにここ数年はあまり成績よくないがここまで勝ち上がってきたんだ。きっと何かを持ってるチームだぞ。・・・それに・・。」

「齋藤部長?」

「・・いや、なんでもない。とにかく頑張ろう!勝ってベスト4進出だ!」


・・・なんだったんだ今の部長の表情は。





「「「お願いします!!!」」」


準々決勝が始まった。


「よし!じゃあまず阿部、三島、行ってこい!」

「「はい!!」」


・・・ホントに息ぴったしだな三島先輩たち。ハモり率100パーセント近いっしょ。



「ガンバー!!!」

「「「「ガンバー!!!」」」」


「ナイスボー!・・・ってあれ月海は?」

「そういえば・・・」

「まぁすぐ戻ってくるっしょ・・・ナイッサー!!」

月海のことだ。どうせトイレとかだろ。







「「ありがとうございました!」」


「よし、ナイスゲームだ」

三島先輩たちは6-0で勝利。

見たところあまり強い感じはしないけど・・・。



続く誠司たちも6-0で勝利し、あっさりと団体勝利にリーチをかける。


「なんか意外と楽だったネ」

「苦戦はしなかった」

「おかしいな・・・じゃあなぜここまで勝ち進んできたんだ?」

「運がよかっただけじゃねえの?」

「・・誰が相手でも全力でぶっ潰してやる」

そう言って修也がすっと立ち上がりコートに入っていく。


「・・・!まさか」

「よっ久しぶりだな修也」

「・・・どーも」


ん?修也の知り合いか?


「・・・ちっ。よりによって・・」

「修也知ってんのかあの人」

「・・・俺の一番戦いたくない相手だ」

「戦いたくない・・?っておい待てよ」

怖い表情のまま修也はコートへ踵を返す。







「嘘だろ・・・」

「圧倒的」

「修也がここまで何もできないなんて」

試合が始まってそう長くないうちにもう5-1。

修也ビハインドだ。


「はぁはぁ・・・」

「修也小学ん時から変わってないな!」


小学?


「あの人は修也くんの小学の時のテニスクラブの一つ上の先輩よ」

「そうなのか・・・って月海!?」

「ただいま誠司ー☆」

「う、今修也が試合中」

「じゃあ大会終わったら・・・ね♪」


はいはいごちそーさんです。


「40-15!」

っておい修也逆マッチポイントだぞ!


「小学のときは修也くんあの人に一回も勝ったことないみたいね」

「修也・・」







     ーーーーーーーーーーーーーー


「くそっ!なんで勝てない!?」

「もうやめようぜーこれで六連敗だろ?」

「勝つまでやめねぇ!!」


「・・・はぁ。少なくとも今のお前じゃ俺に勝てないよ」

「なんだと!?」

「俺の強いとことお前の弱点の相性がバツグンすぎるの。・・・ってか一応先輩なんだからもう少し態度を・・・」

「そんなのどーでもいい!!それよりも俺の弱点ってなんだよ!!」

「・・・やっぱこれでおしまいだな。それに気づけたらまた相手してやるよ」




     --------------


「これで俺のマッチだな」

「はぁはぁ・・。」

「修也。気付けてないのかお前の弱点に」

「ちっ。早くサーブ打てよ」

「・・小学ん時と同じだな。ま、とにかくこのポイントで終わりだ」


(くそっ俺になにが足りないんだ!!くそっ)


『小学時代の栄光に驕らず、な』


「!!!」

パァン!!


「40-30」


「おー!!」

「一本取り返したぞ!!」

「・・一皮むけたな」

「兄貴?」


どういう意味だ?



「あっちゃーもしかして修也気付いちゃった?」

「・・・あの時もそうだったな。俺は五年生で全国ベスト4になって同地区には敵はいないって思ってた。それで紅白戦で先輩と試合して、負けた」

「ふっ。俺は決して強くない。でも相手が誰でも全力で力を出し切れる。それが俺の強さだ」

「俺は相手が誰でも叩き潰すって言ってもどっかで油断はあったんだな」

「・・・それじゃ続きしようじゃんか!!」

(勝負は見えたな・・・。強くなるぜ修也)


二人が少し話し合ったあとの試合展開は今までの内容を疑うくらい一方的だった。

気付けば7-5で修也の大逆転勝利。これで準決勝が決まった。


「修也よくやったな。・・・尋音~うかうかしてっと三日で修也に追い越されるぞ♪」

「な!てか後半なにがあったんだ!?あんなに負けてたのに」

「・・・」

「ちょ、修也!?」


修也が無言で通り過ぎていく。

もーなんだってんだよ!!



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