歌にそって・・・
タンっ、タンっ、、、
いつもあいつは無意識のうちにリズムをとっている。
タンっ、タンっ、、、
でも、なぜだかそれを聞いていて嫌ではなかった。
お昼になるとあいつは屋上に行っては独りで歌を唄ってはなにかをノートに書いていた。
「それなに?」
たまに聞いてみるがイヤホンをしていていつも聞こえてないらしい。ある日、あいつは寝ていた。
授業中、いつものようにリズムをとるわけでもなく、かわいらしく寝ていた。
どんな夢を見ているのだろう?
夢でも唄っているのだろうか?
なぜか疑問が膨れ上がってきた。
草木は風になびいて揺れている。
チャイムと同時にあいつは起きだしすぐにノートを取り出した。
「雲は動き、木々は唄う・・・」
とても透き通ったキレイな歌声だった。
「歌、好きなの?」
きいてみた。
「えっ、歌、、、唄ってた?」
「気付いてない・・・のか?」
「うん、らしいね・・・クスッ」
「おかしいな、おまえ」
笑ってしまった。
きっと、これからはずっとそばでこいつの歌を聴いてられるだろう・・・。