ハロウィンー準備
三題噺もどき―きゅうひゃくごじゅうきゅう。
土曜日でも、あの子に会えるのはいいことだ。
家に居てもすることはないし、どうせ無駄に時間をつぶすだけ。
それなら、学校に来て少しでも有意義な時間を過ごした方がまし。
「……」
それになにより、初めに言ったけれど。
あの子に、会えるのだ。
仲は良いけれど、お互いインドア派なので休みの日に時間を取って会おうなんてことはしないから。中学までは、会えるのは平日ばかりだった。
会えても、帰りのタイミングだけではあるのだけど。
それでも会えることに変わりはない。
「……」
だけど、それはそれとして。
土曜日に学校に行く意味があるのかどうかは、疑問なのだけど。
今時土曜授業なんてしている学校はどれくらいあるんだろうか。
「……」
今日なんて、わざわざ来る必要あったかという授業内容だった。
ほとんど振り返りというか、なんというか……なんだろう、テストのための授業って感じ。
それはそうなので、行くことに意味はあるんだろうけど。
「……」
正直、夢も何もない私には授業の大切さがあまりよく分かっていなくて。
進学先も、推薦を受けることでほとんど決まっているようなものだし。
県外に行くなんていう選択肢は元からないし。
「……」
今、必死に勉強している人たちには申し訳ないのだけど。
そんなに夢に向かって勉強をして、何になるのだろうと疑問に思う。
それは、ちゃんと結果につながるのだろうか、その確信があるのだろうか、不安ではないのか、恐ろしくはないのか。
「……」
ただひたすらに勉強している人たちが、羨ましいことすらある。同時に嫉妬して、自分には出来ないと落胆して、勝手に不安になっている。
教師だって、私みたいにやる気もなく、ただ受ける資格があったから推薦を受けたような奴は嫌いだろうに。もっとその資格がある人は居るだろうにと思ってしまう。
「……」
ここで動き回っている大人たちにも、そんな時期はあったんだろうか。
ほとんどが飲食店を経営しているような人たちだろう。
それと、こういう行事ごとを運営管理する仕事?
「……」
自転車を漕ぎながら、暑い日差しの中であちこちにモノを運んでいる大人たちを眺めている。暗い雨の中を走っていた昨日と同じ道。
しかし印象は打って変わって、明るくどこか暑苦しくさえある。
「……」
なんの準備しているんだろうと思ったが、そうか、今日はハロウィンか。
数年前から、市の行事として、ハロウィンが追加されていたのだった。
夏祭りとほとんど同じ会場なので、この辺りの飲食店は屋台を出すのだろう。
「……」
広場のようなところには、ステージが用意され、大きなスピーカーも並んでいる。
更に、フォトスポットのような場所も設置されていて、それがまぁ、なかなかに迫力のあるものだった。通り過ぎただけなのでよくわからなかったが、でっかい馬みたいなのは何だ……?そういうテーマでもあるんだろうか。
「……」
さらにその隣でも屋台が並び、もう既にいいにおいがし始めている……ような気がする。
このイベントは、基本的には子供たちがメインのような行事なので、開始時間は早いのかもしれない。大人もコスプレをして参加してもいいようだが、お菓子をあげるのは子供にだけなんだろう。
「……」
とは言え、まだ昼過ぎという時間帯なので、気のせいなのかもしれない。
それか、普通に飲食店のいいにおいが漂ってきているだけな気がしてきた。
ここらは居酒屋が多いのはもちろんだが、そういう店がランチ営業もしていたりするので、いいにおいがするものなのだ。
「……」
授業後の、空腹時に嗅ぐには、いいかもしれないが。
刺激されて、くぅと、腹が鳴るのは、少々恥ずかしい。
聞いている人なんて周りには居ないのだけど。
「……、」
昨日と同じ横断歩道の信号で止まる。
さすがに今日はいないらしい。
きっと、時間と天候が関係しているんだろう。
「……」
ハロウィン関係なく居るのかな……まぁ、もうあの時間帯にこっちを通ることはやめようと思うので、会う事はないだろう。忘れない限りは。
お題:馬・嫉妬・夢




