惨状
一瞬の出来事だった。たった一秒の時間で、人間という生物の肉体はひしゃげ、破壊された。高熱のエネルギーはイーヴァンの体のみならず、天幕や地面までをも穿ち、彼女を無惨に死に至らしめた。
(イーヴァン……一等兵殿が……)
地面にへばりついた遺体は血と内臓で溢れかえっていた。全身の骨は砕け、その骨に突き刺さった内臓と肉が一つに混ざり合い、吐瀉物のように体から排出された。つい先ほどまで鮮やかな肌色だったその肉塊は、今や見分けることすら困難な、ピンク色と赤色に染まった機械の「作品」と化していた。
人間の内側まで徹底的に暴き、かき乱したその機械は、次の標的としてリーベを見つめた。機械のレンズには、リーベと共に冷酷な風景が映し出されていた。
「あ……」
彼女の瞳は絶望に染まった。そしてその絶望は、元からあった絶望をさらに刺激して一つに固まり、リーベの心を押し潰した。これから繰り広げられる光景が何であるのか、時間がゆっくりと感じられた。
(あ……これが走馬灯というものなの……?)
天国と地獄、そして「無」への旅路。それが人生だった。人生の結末は、寸分も予想できない変数と例外の合作だった。幼い頃の記憶と未来のシナリオが脳内でフィルムのように再生され、彼女の意識を極限状態へと追い詰めた。
(私は……結局、何一つ成し遂げられずにここで死ぬの? 6歳より前のことは記憶にすらない……おばさん……そしてスティンゲン村の人たちみたいに……私も彼らの後を追って、黄泉の国への舟に乗るのかしら?)
(私たちの小隊はどうなるの? フォーゲルも私を追ってくるの……? ダメ……そんなの許されない……)
短い瞬間に数え切れないほどの記憶が駆け巡った。そして一人の少年を、心の奥底から切なく呼んだ。どうかここへは来ないでほしい、安全でいてほしいと願いながら、彼女はまだ経験したことのない死の状態を想起した。そして、静かに目を閉じた。
「……何してるんだ!!」
瞼が閉じ、暗闇だけが視界を覆ったその瞬間、聞き慣れた少年の声が響いた。今この状況で最も恋しく、かつ最も会いたくない声だった。
「フォーゲル……」
「ピピッ……ピッ……」
閉じていた目は、その声を聞いた瞬間に稲妻のように見開かれた。そして目の前に広がる光景は、先ほどの機械、そして隣には必死に自分を庇おうとする少年だった。その少年はダイビングでもするかのように全速力で駆け寄り、リーベの体をきつく抱きしめて、力一杯身を投げた。
「ドォォォォォン!!!」
鼓膜を突き破るような轟音と共に、布の破片が四方八方へと飛び散った。天幕を支えていた鉄柱もガラスのように粉々に砕け、腕をかすめていった。
「くっ……うぅ……」
むせ返るような煙に咳き込みながら目を開けると、土埃で汚れた金髪が見えた。フォーゲルは絶対に離さないと言わんばかりにリーベを抱きしめ、外からの破片から彼女の体を守っていた。
「フォ……フォーゲル!」
「くっ……はぁ……ああああ……っ」
リーベは素早く腕の中から抜け出して身を起こし、彼の体を確認した。そしてすぐに、破片が突き刺さった彼の背中が目に入った。パイプの破片が白い軍服を突き破り、彼の背中を赤く染めていた。
フォーゲルが覆いきれず、破片が深くかすめていった左腕の傷が、神経を伝って苦痛という言葉で悲鳴を上げていたが、その痛みは感じられなかった。
ただ、目の前の赤い感触だけが、彼女にとっての苦痛として迫ってきた。
「フォーゲル! フォーゲル……!」
「す……まない……。僕は置いていけ……。とても立ち上がれそうにない……」
「何を言ってるの! 一緒にウンステアを倒そうって言ったじゃない!! あの怪物が来てる! 逃げなきゃ!!」
「ズシン……ズシン……」
機械の足音が向こうから聞こえてきた。重々しい鉄の音は、二人を恐怖で侵食させた。しかし、その音はなぜか徐々に反対側へと遠ざかっていった。
「い……行ったの……? とにかく……少しだけでいいから立って! 弱音なんて吐かないで……!」
「やっぱり……あなたは行かないんだな……ど、努力……してみるよ……くっ……はぁ……」
フォーゲルは背中に感じる痛みを、あえて単なる感覚として認識しようと努め、必死に手で地面を掴み、腕を立てようとした。
「一体……あれは何なの……! イーヴァン……一等兵殿が……一等兵殿が……っ、うぅ……」
「詳しくは見てないんだ……。だけど……一等兵殿が……なぜ……? 一緒にいたんじゃないのか……?」
「……あの機械に……やられて……」
「あ……」
涙を浮かべたリーベの瞳を見つめ、彼は小さく嘆息を漏らした。それでも最大限冷静さを保とうとする彼の姿は、今にも消えそうな灯火のように儚く見えた。
「……た……立てた……?」
「うん。おぶってあげる。とりあえず……外に出ましょう。」
フォーゲルの体が少し持ち上がると、彼女は訓練でもあまり鍛えられなかった筋肉を呼び覚まし、彼の体を支えた。今にも崩れそうな危うい姿勢だったが、その姿勢のまま彼女は前も見ずに一歩、また一歩と足を踏み出した。
「ピピッ……」
「何だあれは!! うわあああああ!!」
反対側から、去ったと思っていた機械の音と共に仲間の悲鳴が聞こえてきた。まるで、あの日の地獄が繰り返されるかのように、数人の悲鳴が合唱のように響き渡った。
「僕は……爆発音があなたのいる生活館の方から聞こえるのを聞いて……駆けつけただけなのに……何なんだよ、あれは……」
「今は喋らないで……。私の背中に掴まることだけ考えて……」
「……」
リーベが短くも長い歩みを止めると、見えたのは……小隊の入り口だった。付近には非常事態のため、誰も歩哨に立っていなかった。真っ暗な夜の色は、危うい06小隊の境遇を代弁しているかのようだった。
(このまま……逃げれば……)
「……」
(いいえ……ダメ……そんなことできない……! 一等兵殿は最後まで私を見て『逃げなさい』とおっしゃったの。仲間がいるのに……どうして逃げられるっていうの……!)
彼女は瞳を激しく揺らしながら自問自答し、周囲を見渡した。すると緑色の天幕が目に入った。
「ちょっと……ここで待ってて。」
「わかった……」
リーベは重かった背中をついに自由にさせ、フォーゲルを壁に立てかけ座らせた。そして素早く駆け寄り、頑丈な天幕に触れた。
「うぅ……! 固い……! 手じゃ引き裂けない……」
彼女は目を固く閉じ、苦悩した挙句、横に転がっていた釘を手に取り、その布切れをぎこちない動作で切り裂き始めた。どれくらい切っただろうか、彼女はかなり大きな布の破片を持ってきて、フォーゲルの背中を覆い、マントのように結びつけた。
「そんなこともできたのか……カハッ……」
「一等兵殿に教わったことがあったの……。今はとりあえずこうしていなきゃ。動かないで。私はあの機械がいる場所へ行ってみる……!」
「ま……待て……!! あそこに行けば死んでしまう! 落ち着け!!」
「あなたも私のために来てくれたんだもの。私も、誰かのために行かなきゃ。」




