平和
静寂だった。いつものように白い雪が大地を濡らしている、物憂げで平和な午後だった。今が戦時中であることさえ忘れてしまいそうな穏やかな日々が、一週間続いていた。
「プラメ上陸作戦も成功したんだってな? 少し前までは押し込まれていた戦線が……一気に押し戻されている。このままいけばフリーデンが勝つかもしれないぞ。」
「そのようですね、上等兵殿。本当に最近、妙にのどかな感じがしますよ。まあ、銃声のトッピング付きではありますがね。ハハッ。」
二人の兵士が昼休み、テーブルでよく煮込まれたシチューを口にしながら会話を交わしていた。二人の表情には以前よりも明るい、悩みから解放された安らかな気配が漂っていた。
「俺たちが勝つ時、ホーケルも隣にいればよかったんだがな。あいつ、誰よりも喜んだだろうに。」
「ええ……ホーケルの野郎……愛国者でしたからね。」
いなくなった仲間への懐かしさがにじみ出る会話に、彼らの眉がわずかに下がった。彼らの頭の中には、フリーデンの栄光を叫びながら自慢の白い髪をなびかせていたあの男が、まだ生きていた。
「さて、訓練にでも行こうか? フォーゲルとリーベが二等兵として最近、着実にやってるらしいじゃないか。一度様子を見に行ってみようぜ。」
「そ……そうでしたね。一週間も経つのにまだ忘れちゃいますよ……。」
そうして二人は服を整え、ある程度除雪された道に沿って歩き、正規の訓練場へと向かった。フォーゲルとリーベが、命じられたわけでもない腹筋運動を自発的に行っているのが向こう側に見えた。他の面々も訓練場で思い思いに休んでいた。
「よお、フォーゲル。来たぞ。」
「43……44……え? 上等兵殿?」
「教官に言われたわけでもないのに、ずいぶん熱心じゃないか。」
「いえ……僕たちは言われたことだけをするためにここに来たんじゃなく、ウンステアをぶちのめすために来たんですから、一生懸命やらなきゃ。それに、もう二等兵になったんですから!」
「階級章もつけてない野郎がよく言うぜ。もっと成長しろよ。」
フォーゲルとフィンが他愛もない話を交わしている間、オアンは自然にリーベに話しかけた。リーベの澄んだ緑色の瞳には、どことなく隈が浮き出ていた。
「おい……お前、その隈はどうしたんだ?」
「夜、少し寝付けなくて……。」
「え? イーヴァンさんも一緒にいるだろ。」
「でも、一等兵殿は夜になるとぐっすり眠っちゃうから、特に相談もできなくて……フォーゲルは男性生活館だから、実質一人で寝てるようなものなんです。それで……ここ数日前から、夜になると倉庫の方でずっと『ピッ、ピッ!』って変な音が聞こえてくるんですよ……。」
「え? リーベ、それ僕には言ってなかったじゃないか。」
「……そ、それは君に言ったら……むやみに倉庫に行こうとすると思ったからよ。」
「変な音……?」
リーベが昨夜、眠れなかった理由を明かすと、オアンは小さな頭を一生懸命働かせようとするかのように顎を掴んで空想に耽っていた。しかしフィンは、そこで何らかの異変を察知した。
「小隊長殿からも特に話はなかったし……ピッピッという音? 鳥のさえずりじゃないのか?」
「いいえ、倉庫の方でした。数日前から本当に一日も欠かさず聞こえてきた気がします。おかげで私はかなり寝不足ですよ。」
「うちの小隊にはこれといった機械なんてないだろ。お湯もまともに出ないこの06小隊にな。」
リーベは眉をひそめ、その音の原因をいぶかしんだ。それは周囲の3人も同様だった。男性生活館からは倉庫がかなり離れていた。そのため、夜にそんな音を聞いたという話は一度も出たことがなかった。
「倉庫の方へ行くわけにもいかないし、どうしようもないな。どうしても気になるなら小隊長殿に申し上げろ。」
「でも、先生でもあるまいし、お忙しい小隊長殿にそんな些細なことをお願いするのは気が引けて……。」
「まあ、それもそうだな。……フォーゲルが隣で寝てやれば怖くないかな?」
一瞬にして怪談を話しているような不気味な雰囲気は消え、おかしなことを言い出すフィン。その言葉を聞いたフォーゲルとリーベの顔は、瞬く間に赤くなった。
「何を言ってるんですか!!」
揃って同じツッコミを入れ、その場で立ち上がった二人の少年兵。彼らは互いに反対方向を向いて口を閉ざした。
「冗談だよ、冗談。」
「そんな冗談……。」
その時、金髪の男性がこちらへ近づいてくるのが見えた。彼の肩にはいつものように狙撃銃が担がれていた。
「久しぶりだな、上等兵。」
「こんにちは、兵長殿! 足の方はもうよろしいのですか?」
「あぁ。ある程度良くなった。ただ今日は、少尉の指示で感染の懸念があるからと、野戦病院に一晩行く予定だ。衛生兵のキットが切れたそうだ。」
「左様ですか。完治をお祈りします!」
フィンだけでなく他の面々も一斉に立ち上がり、各自挨拶を交わした。そしてリーベはフォーゲルだけに聞こえる声でささやいた。彼女の細い声がフォーゲルの耳に響いた。
「兵長殿……最近、活発になられたね。」
「うん、そうだね。君がこの前、悩み相談みたいなことをしたからじゃないかな。」
彼らはアドラーについての肯定的な雑談を交わした。リーベの隈が少しある瞳には、彼が立ち直ってよかったという安堵感と達成感がありのままに表れていた。
「さてさて、訓練の時間だ。」
「俺も行くとするか。」
その頃、ジンクスがやってきて兵士たちを立たせた。そしてアドラーは場を離れ、指揮本部の方へと足を進めていった。ここから始まるのは、熱気と共に歩む汗の行進だった。
……
いつの間にか夜になり、訓練は終了した。各自生活館へ戻り休息を取る中、今日は早い時間から、先ほど言っていた謎の音が空気を伝って女性生活館に流れ込んできた。
「ピッ……ピッ……」
「何だ? あの音は。」
「あ……初めて聞かれるんですね。一等兵殿が眠っている時にいつも聞こえてくる音です。今日は早くから聞こえてきますね……。」
低く独り言を付け加えて呟き、リーベは天幕の入口の方を眺めた。最初はかなり怖かったが、今はイーヴァンが起きている時間だからか、それほど恐怖は感じなかった。
「機械音みたいだけど……通信装置に問題でもあるのかな?」
「いいえ、倉庫の方でした。数日前から本当に一日も欠かさず聞こえてきた気がします。おかげで私はかなり寝不足ですよ。」
「ピ……ピッ……」
「耳障りだな。本を読んでる邪魔になる。」
イーヴァンはその不快な機械音に眉を吊り上げ、本から目を離した。そして彼女はゆっくりと外に向かって歩き出した。
「……タ……タッ……タ……タッ……。ピピッ」
「!?」
「どう……したんですか……?」
「近づいてきてる。何だ? 一体。」
イーヴァンは驚いた顔で自分の小柄な体を屈めた。そして次第に音が大きくなると、彼女も初めて感じる奇妙な不快感が全身を駆け上がった。
「ちょ……ちょっと! これは危険よ! 私は指揮天幕に行ってくる。待ってて。」
「え……!? ちょっと待ってください!!」
そしてイーヴァンはついに、その天幕の入口を開けてしまった。「シャッ」という音と共に緑色の天幕のカーテンが開いた。そして開けた瞬間に見えたものは……。
「あ……。」
巨大な物体だった。形容しがたい奇怪で数学的な構造を持つその物体は、天幕よりも高く体が浮いていた。そのため、小柄なイーヴァンに見えるのは四つの柱だけだった。
「……ピッ……ピッ。」
「逃げて!!」
彼女はありったけの力で身を投げ、天幕の中に戻ろうとした。しかし、直後に見えたのは……見たくもなかったあの機械の本体だった。その機械は身を屈めてイーヴァンを見つめると、赤いレンズを通して天幕の内部を照らした。
「ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……。」
「ドォォォォォン!!!」
一瞬の出来事だった。リーベが一度瞬きをすると、彼女の目には黒ずんだ血が空へと噴き上がっていた。そして炎と共にイーヴァンの体は、直視しがたい無惨な形でひしゃげ、爆発した。
「……え……?」
爆発が起き、天幕は瞬く間に燃え上がり、引き裂かれた。イーヴァンがいた場所には大きな穴が開いた。まるで月のクレーターのようなその穴は、血と共に地面の雪と土を無造作にひっくり返していた。
「嫌だ……嫌だ……ちょっと待って……。」
数瞬後のことだった。爆発の煙の向こうから、赤いレンズが再び姿を現した。そしてそのレンズはリーベの方を正確に見据え、まもなく赤い光が彼女をオペラの主人公のように照らし出した。
ついに43話にわたるビルドアップが終わり、作品の真の正体を込めたタイトルに変更しました。ここからが本当の物語の始まりです。




