撃破
フォーゲル一行がいる後方、ティエルシとアベルが殲滅したサイド、ジンクスとドゥエルが掃討した部隊内、アドラーが片付けた前方。全員がそれぞれの戦闘を終えた。地面には敵軍の死体が山積みになり、全滅の痕跡が生々しく残っていた。
「敵の主力は無力化したと各分隊に伝えろ。まだ戦闘終了の宣言ではない。」
フェルカーは傍らにいた兵士を呼び、命令を下した。彼の声には、状況を見極める冷静さとリーダーとしての断固たる意志が調和していた。
「敵の主力は無力化された。警戒を維持し、負傷者を確認しろ。」
「おや……? 終わったみたいですね。」
伝令が丘を下りてきてフィンに伝えると、四人の顔は一瞬で明るくなった。もちろん、戦闘終了と言われたわけではなかったが、今は「無力化された」という事実だけでも十分に嬉しかった。
「そうらしいな。ハハッ! 戻ったら盛大にパーティーを開こうぜ!」
「おっ……高い酒、飲めますかね?」
「それは部隊の外で飲め、この野郎!」
パーティーをしようというフィンの言葉に、オアンはまたもや突拍子もないことを口にした。するとフィンはもう一度、オアンのヘルメットを叩いた。
その頃、地下に唯一残った敵は二人だった。そのうち倒れていた一人が少し前に目を覚まし、状況を把握した。
「あぁ……俺たち、死んだんだな……?」
「ううっ……お袋に優しくしておけばよかった……」
「いやいや、慈悲を見せてくれるかもしれないって言ってたぞ。ひょっとするだろ?」
「あいつらが助けてくれるかよ……うっ……」
針金で縛られた二人は、なす術もなく天井を見上げながら会話を交わした。まもなく死ぬだろうという絶望と、生きられるかもしれないという希望が入り混じった顔だった。
「副小隊長の野郎は死んだのか……?」
「そのようだな……『スルースアクト』、あれはなんで起動しないんだよ……うぅ……」
「全くだぜ……あれさえあれば俺たちが勝てるのに……行ってみるか……?」
「いや……縛られてるだろ……俺たちは終わりだ……」
二人は言葉を交わし、自分を縛っている針金を見下ろした。そして二人の目に希望の光が宿った。
「これ……錆びてる。慈悲を見せるって言われてじっとしてたから気づかなかったけど、抜け出せそうだぞ。」
「本当か……?」
「『スルスアクト』は伊達じゃない! 行こうぜ!」
しばらくして、誰もいない廊下に二人の足音が響き始めた。小さな電灯だけが、彼らの周囲を照らしていた。
「ここだ! ここだ!」
「オーケー……!」
そして彼らが辿り着いたのは、食料倉庫だった。戦闘糧食や様々な野菜があるこの場所は、一見普通の倉庫に見えたが、不自然に突き出たレンガが違和感を醸し出していた。
「おい、開けるぞ……?」
その兵士はこれに直接触れるのは初めてなのか、何をすべきか分からず戸惑っていた。押すのか引くのか、まるで見当がつかない奇妙な設計だった。兵士は顔をしかめた。
「くそっ、なんで開かないんだ……!」
「タタタタッ!」
レンガを押そうとしたその時、どこからか急ぐような足音が聞こえてきた。その足音は、彼らにとって到底味方のものとは思えなかった。
「ま……待て! 誰か来る……!」
「何だと……!?」
二人の瞳は震えるように揺れた。息が荒くなり、行き場を失った手は空中で止まった。二人は驚愕の表情で入口の方を見つめた。
「くそっ……点けるか……? それとも隠れるか……?」
「わ……分からん! 点けて終わらせちまおう、もう!」
レンガをいじる手が慌ただしくなった。しかし手だけが忙しく、思考は止まっていた。まともに考える暇もなく、彼らはただ震える手でレンガを弄っているだけだった。
「パン!」
穴が空いた。ある意味では綺麗に、ある意味では無惨極まりない穴だった。その手のひらの穴からは、血管と骨が露出し、無惨に血が流れ落ちていた。
「……! う……ああ……あああああああっ……!!!」
「な……に……カハッ!」
瞬く間に二人の体は大きな標的となった。際限なく体が破壊され蹂躙された後、彼らはようやく永遠の眠りにつくことができた。
「危ないところでしたね……」
「全くだ。あいつら、あの『スルー……なんとか』を弄ろうとしてたのか?」
「どうやらそのようですね。」
銃口から煙が完全に消えてから、ドゥエルとジンクスは銃を完全に下ろした。ドゥエルはジンクスから得た情報を伝え、敵はいないと判断して二人でここへ入ってきたのだ。
しかし、廊下から聞こえる食料倉庫へと向かうような足音と話し声は鮮明だった。その明らかに危険な足音を聞いた彼らは、素早く駆け寄り彼らを射殺したのだ。
「これで本当に、残っている奴はいなそうですね。」
「あぁ、そのようだな。念のため俺が外を見ておくから、お前はあれを開けておけ。」
「こうだったか……」
ドゥエルは手探りで、以前開けた時の記憶を呼び起こした。ただ押すだけではなく、押し、引き、下げ、上げ、そして押す。
「カチャッ」
「開いたか?」
レンガの内側が開くと、ジンクスも近寄ってその鉄の塊を目の当たりにした。二度目となるドゥエルだが、やはりその幾何学的な構造には慣れなかった。
「触らない方がよさそうです。強力な戦闘兵器だそうですから。今死んだあいつが言っていました。」
ドゥエルは、下で冷たくなっている敵兵の死体を指差した。彼の目に憐れみなどはなかった。自分の警告を無視してここまで来た彼らに対し、むしろ不快感を抱いていた。
「確かに……何かありそうだな。フェルカーに伝えるよ。これは……他の兵士に運ばせればいいだろ。うちの小隊に持ち帰るように。」
「お好きにどうぞ。ただ、気をつけてください。」
「俺の軍歴を何年だと思ってるんだ〜。まぁ、忠告は覚えておくよ。」
その後、フェルカーの口からついに戦闘終了が宣言された。敵兵の遺体がまだ地面に転がっているのは相変わらずだったが、フェルカーは上位部隊に勝利の知らせを無線で伝え、整理がつくのを待った。
「ついに……終わりだね。」
「うん。そうみたいだ。人が数え切れないほど死んだよ。」
「でも、うちの小隊には死亡者ゼロだってさ。アドラー兵長が……少し怪我をされたみたいだけど。」
「うん……兵長が怪我をするなんて、一体どんな敵だったんだろう……?」
フォーゲルとリーベは雪原に座って談笑していた。アドラー兵長の負傷の知らせは、思いのほか小隊員たちにとって衝撃的なニュースだった。常に誰よりも優れ、冷静に相手を制圧していたアドラーが怪我をするなど、信じがたい話だった。
「目が覚めたら教えてくれるんじゃないかな。あ、それと……」
フォーゲルが軍服のポケットをまさぐった。そしていくつかのポケットを探った後、一箇所から大きなピンク色の食べ物が出てきた。
「これ見つけたんだ〜」
「ソーセージ……? どこでそんなの見つけたの……?」
「敵の死体のバッグを見てたら偶然あったんだ。まぁ……略奪みたいで少し申し訳ないけど、死んだ人にこれを食べさせるわけにはいかないだろ?」
フォーゲルはそう言い終えると、ソーセージを適当にバッグにあったハンカチで拭いた後、リーベに半分に割って差し出した。もちろん清潔な状態ではなかったが、こうした肉類自体、彼らにとっては思い出のように遠ざかってしまった記憶だった。
「食べなよ。」
「いいの……? 君、肉が食べたいって毎日ぐずってたじゃない……」
「そ……それは……! はぁ……いや、いいんだ。とにかく早く受け取って。腕が疲れる。」
「ありがとう。いただくね。」
二人はそれぞれ半分になったソーセージを口の中へ大切に運んだ。リーベはそれなりに平穏な顔でもぐもぐさせていただけだったが、フォーゲルは世界中の幸せを手に入れたような表情だった。
「ぷふっ……」
「あぁ……美味しい。この味だよ……」
「そんなに美味しいの?」
「もちろんだよ! これ、いつ以来の肉だと思ってんだ! 腹が減っては戦はできぬって言うだろ。美味しく食べようぜ。」
二人の幸せな食事が終わりを告げ、今夜の長い戦闘は幕を閉じた。




