弾丸
あちこちから手榴弾が飛んできた。ピンの抜かれた緑色の球体は、すぐに粉々になり、破片をガラスの破片のように吐き出した。両軍がまるでスポーツでもするかのように手榴弾をやり取りしていた。
しかし、スポーツでも一度押されると逆転が難しいように、06小隊の兵士たちは相手の凄まじい攻撃に対しても、岩や木、塹壕を中心に、その身を鉄壁のように隠していた。
「くそっ…!逃げ…」
「ドォォォン!!」
小隊の入口付近に出てきた兵士たちは、機関銃と手榴弾の連携攻撃になす術もなかった。壁の裏に隠れても手榴弾が飛んでき、勇敢に立ち向かって攻撃しても機関銃の餌食になるのがオチだった。さらに奥へ入ろうとすれば、上方から銃弾が降り注いだ。
「しょ…少尉殿…!これは中隊に連絡を…!」
「無線機がないんだ…!補給も途絶えるこんな雪山になぜよりによって私が配属されたんだ…」
敵の指揮所は、まさに混沌そのものだった。無線はとっくにバッテリーが切れており、場所のせいで無線機自体の補給もままならず、上位部隊に連絡する手段さえなかった。さらに、指揮を執っているのは、先日戦死した小隊長に代わった副小隊長だった。
「とにかく…何人死んでも構わん…!あの化け物のようなガトリングを砲撃させろ!」
「それが…上から狙撃手が撃ってくるとのことです!」
「ちっ… あの野郎を先に狙え!」
やがてアドラーの目には、自分を探している数人の兵士が入ってきた。その隙を逃さず発射したが、殺気を感じた敵軍は素早く塹壕へ遮蔽した。
「やるな。」
ボルトハンドルを上に跳ね上げ、薬莢を排出した。それから再びスコープに目を当てると、敵が自分を狙撃しようとしているのがはっきりと見えた。
「…!気づかれたか!」
「パン!」
「ちっ…」
弾丸が立て続けに飛んでき、アドラーは体を後ろに投げ出してこれを避けた。幸いにも遠距離だったためか、敵の攻撃は正確さに欠けていた。この距離で唯一狙撃が可能だったのはアドラーだけだった。
「フェルカー少尉。位置が露呈したようです。」
「…承知した。位置を移せ。事前に話していた2番へ向かえ。我々は5番へ行き指揮を執る。」
その命令を聞いたアドラーは、素早く身を隠して2番地点へと走った。狙撃にうってつけだった1番地点は、そのまま捨てるしかなかった。高度が少し低く、敵との交戦が頻繁な2番へと密かに移動するアドラー。少し低いとはいえ、敵の視界からは見えない道だったため、敵の機動部隊にさえ気をつければよかった。
「ドォォォン!!!!」
その瞬間、どこからかアドラーに向けて無数の弾丸が浴びせられた。その弾丸は殺意に満ちた速度で、容赦なく飛んできた。
「…!!!」
アドラーは辛うじて体をひねり、頬をかすめるだけでこの攻撃をやり過ごすことに成功した。しかし、頬はすぐに火傷を負ったような、火に焼かれる苦痛に侵食された。
「機動部隊か…!?」
独り言を呟きながら、木の後ろに身を投じて逃走した。しかし背後では、ガシャンという音と共に素早い足取りが彼を追い詰めていた。
「てめえが、この前うちの小隊長を仕留めた狙撃手だな…!面白え!!」
逃げながら振り返ると、目に入ったのはむさ苦しい黒髭の男だった。彼の青い瞳は夜行性動物のように闇を照らし、アドラーを射抜いていた。
「…煩わしい。」
「あぁ?そうかい?どこまでその口が叩けるか見てやろうじゃねえか!」
続いて、男の手に握られたポンプアクション・ショットガンがアドラーの頭に向けられた。相手は近接戦に特化したショットガン、アドラーはただの狙撃銃一丁。誰が見ても不利な最悪の戦闘だった。
「ドン!」
「パン!」
二人の弾丸が交差し、互いに向かって進んだ。重く鋭い弾丸は、無数の円形の弾丸を突き抜け、男へと向かった。そしてその円形の弾丸は、アドラーを爆発させるかのように荒々しく飛んできた。
「ちっ…!」
「クハハハ!!」
アドラーはナイトビジョンゴーグルで彼の動きを捉え、銃口が自分に向けられる方向を確認して下に屈み、これを避けた。しかし、拡散する弾丸はアドラーの頬に続き、脚もかすめた。男はアドラーの口径弾を、軽々と首をそらして避けることに成功した。
「やっぱり狙撃手は近距離じゃ何もできねえな!おい、てめえの名前は何だ?」
「貴様に教える名はない…!」
男とアドラーがそれぞれ薬莢を排出しながら追撃戦を続けた。その追撃戦の中で、男は豪放な口調でアドラーの名前を尋ねた。
「そりゃ残念だ。俺はオイラー・ツヴァイヘンダーだ!近々てめえを殺すこの俺様の名前だ、くたばる前に覚えておけ!」
「死なない…!」
アドラーは脚を引きずりながら、どこへ向かっているのかも分からぬまま、彼を振り切ることに没頭した。その時、背後で銃声が響いた。
「兵長殿!!」
「…逃げろ…」
逃げろと言おうとした瞬間、銃弾が男の腕に撃ち込まれたのが目に入った。彼はそれまでの自信満々な顔を失い、苦痛に満ちた表情を浮かべると、血を抑えながら口を開いた。
「また会おうぜ…狙撃手の旦那。」
「逃げるのか…!」
アドラーがスコープを覗き込んだ瞬間、すでに男は視界から消えていた。下へ降りたのか、ゴーグルにも捉えられなかった。ただ、足跡だけが残っていた。




