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作戦開始

ティエルシとアベルが敵の警戒を突破して偵察に成功し、それを小隊本部に知らせた。フェルカーはアドラーやジンクスらと夜明けまで会議を開き、その内容は翌日の朝の点呼時間に伝えられた。

「全員集中!! 作戦を実施する予定なので傾聴するように!我々06小隊を攻撃した敵陣営の位置を把握することに成功した。敵は予想通り30名程度で、我々と似た規模だ。特異点としては、滝の下にいるという点だ。」

「我々小隊は、該当の敵小隊に攻撃を敢行し、陣地を占領する。作戦開始は今日の夜からだ。詳細についてはその時に伝える。」

作戦内容を伝えるフェルカーの厳しい眼差しは、小隊員たち一人一人を貫いていた。これを聞いた小隊員たちは、それぞれ反応が異なった。ある者は恐れ、ある者は決意を固めた。

「…ついに復讐する機会ができたな。」

「うん。そうだね…」

フォーゲルはこれを聞き、悲壮に拳を握りしめた。彼の手に握られたのはただ冷たい空気だったが、彼は敵の心臓を潰すかのように手を強く握っていた。リーベはそれを見て、二重の感情に捉えられた。

「敵は本当に悪者なんだろうか…?」

リクケアが死に、村の人々が焼かれ、ホーケルが撃たれるその光景を全て見たが、リーベには依然として敵を憎んでもいいのかという疑問が残っていた。果たして敵は子供の頃に本で見た悪役なのだろうか、それとも事情を抱えた被害者なのだろうか?それは15歳の少女にはまだ早い深遠な質問だった。

「フォーゲル、昨日夢を見たんだ。」

訓練場へ向かいながらリーベが話しかける。彼女のか細い声には、懐かしさと悲しみが込められていた。

「どんな夢…?」

「あなたが私たちの家に来る前、二人だけで暮らしていた頃、おばさんが本を読んでくれていた夢だった。なんだか温かくて懐かしかった。それなのに変なことに…おばさんの顔は見えなかったんだ。」

「…そうか。おばさんは俺にも本を読んでやろうとよく言ってたな。まあ、俺はいつもぐずってばかりだったけどな。」

リーベの言葉を聞き、しばし物思いにふけるフォーゲル。彼は懐かしさを払いのけるかのように、無理に微笑んで応えた。彼の微笑みはどこか苦々しかった。

「おばさんを殺した奴らを…仲間を殺した奴らを…俺は許せない。必ず今夜…その野郎どもを全員殺してやる。」

「…」

フォーゲルの微笑みは、すぐに険しい口元へと変化した。彼の目は空を見上げて吠えるオオカミのようだった。しかしリーベは共感できず、静かに沈黙を守った。

時が過ぎ、いつの間にか夜8時。予定された時間になると、全員がテントの中央に集まった。集まるなり見えたのはフィンだった。

「よう、来たか?珍しく遅刻しなかったな。」

「あ、はい。教官殿もいらっしゃると聞いたので、早く終わらせてきました。」

やがてフェルカーとジンクスが雪を踏みしめて小隊員たちの前に登場した。彼らの足取りはかなり厳重だった。

「全員集まったようだな。それでは説明する。我が小隊には別の分隊はない。ただし今回の作戦では臨時に分ける予定だ。」

フェルカーが紙を覗き込みながら内容を伝える。どうやら事前に全て書き留めていたようだ。

「1分隊、ティエルシ・ゴサン、アベル・イサク、ドゥエル・ショーン、ローゼンタール・ディシャン、ロイ・スリーヴ。」

「2分隊、フィン・バーゼル、オアン・モールス、フォーゲル・フリューゲル、リーベ・ロートゥス。」

…..

引き続き分隊ごとの人員の名前が指定され、聞こえてくる。フォーゲルはリーベとフィンと同じ組になったことに、内心安堵のため息をつく。

「今回も一緒に戦うことになったな。ハハ、誰も死なずに皆で生き残って勝利を謳歌しようぜ。」

「はいっ…!」

フィンがふざけた様子だが本心で言葉をかけ、二人の少年兵の頭を撫でた。彼の手は荒く硬かった。オアンは隣で緊張したように深呼吸を繰り返していた。

「作戦内容を話す。非戦闘員を除く全員がひとまず滝の横の森に向かう。そこで1分隊が先頭で前進し、敵の歩哨を射殺する。もし失敗すれば3分隊が出動する。」

「2分隊は射線上の丘からガトリングガンで内部の人間たちに銃弾を浴びせればいい。そして…」

フェルカー少尉の壮大な説明が並べられ、その隣でジンクスは腕を後ろに組んで補助している。偵察兵たちを最優先で出すという言葉に、ティエルシとアベルは表情を硬くした。

「では1時間後にまた会おう。整備にかかれ。」

各自の場所へ散り、フォーゲルとリーベは兵舎に到着して自分の軍装を整理する。食料、弾倉、短剣など様々なものを整理しているうちに、1時間はあっという間に過ぎ去った。

「うっ…これ、かなり重いな。」

フェルカーが集合場所に指定した小隊の入口へ向かいながら、フォーゲルはリュックサックの取っ手を両手で掴む。様々な用品が入ったリュックサックは、普段の訓練時よりもさらに重かった。

「今日…必ず生き残ろう。」

リーベが振り返ると、彼女のビー玉のような緑の瞳には、フォーゲルの苦しそうな姿が映っていた。そしてその緑の瞳は、月明かりを映していた。

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