表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

新しい家

寒かった。冷気が全身に這い上がり、皮膚を突き刺すような苦痛を与える。吹雪が降る険しい地形を、二人の少年と少女は一歩一歩踏みしめて進む。

「はぁ…寒い…早く軍部隊に着こう…」

「うん。そこに行けば、さすがに今よりはマシだろうね…まあ、軍隊の中の状況はだいたい予想はつくけどさ…」

「どうせ汚くて寒くて、食べ物もないだろうな…それでも、絶対に行くぞ。」

リーベとフォーゲルは軍隊の内部施設についての考えを交わしながら、急な崖を登る。食べ物を口にしてからもう丸一日は経ったようだ。しかし、彼らは空腹と疲労を後回しにし、さらに速く歩を進める。

「ところでさ…軍隊の前に着いたら、どうすればいいんだ…?」

「うーん…とりあえず…敵じゃないってことを知らせないとね…?手を挙げたりして…」

様々な話をしながら、二人は軍隊へと向かう。実際、軍隊はここから遠いのだが、ぼんやりとした爆撃前の日常会話で、大人たちの話から戦況に加え、軍部隊の位置まで二人とも知ることができた。詳しい位置は分からないが、行くしかなかった。

そして5日が経った。ついに、遠く長かった旅の果てに、目的地が目に入った。軍部隊は小隊程度の規模に見えたが、フォーゲルとリーベが感じた大きさは、実際よりも10倍は誇張されて見えた。

「おい、お前たち。手を挙げろ。」

軍隊の外郭を偵察していた兵士が、二人に向かって銃を構える。

警戒する眼差しで、二人が自爆兵ではないかと疑うような目つきで、二人から遠く離れて様子を窺う。雪の中震える二人の姿は、みすぼらしく、哀れにさえ見えた。

「私たちは敵じゃありません…!」

意外にもフォーゲルではなくリーベが先に兵士に話しかけた。軍用ヘルメットで頭をすっぽり覆った兵士は、二人の状態を見て、ここまで自爆兵は来ないだろうと考え、適度に警戒心を緩める。しかし、依然として二人に近づきはしなかった。

「では、目的は何だ?お前たちのような子供が、こんな険しい雪山を登る理由はないはずだが。」

「私が申し上げます。私たちは『兵士』になりたいのです。」

フォーゲルの予想外の返答に、兵士は耳を疑いながら声を出す。彼の声は、長年軍事生活を送ってきたような、重厚で低い声だった。

「兵士になりたいだと…?志願入隊か…どうしてだ?」

「ウンステアに勝ちたいのです。」

フォーゲルが短いが明確な返事をし、リーベは隣で静かに頷く。二人の意志は、態度だけでも岩のように固く見えた。結局、兵士は銃身を下ろして言った。

「…ついて来い。」

二人の子供が近づくと、兵士は身体検査をする。寒い天気と雪に覆われて震えていたからか、兵士は服の中まで脱がせて細かく検査することはなかった。

「よかろう。自爆兵ではないようだな。案内する。」

兵士は偵察を一時止め、軍隊内部へ彼らを案内する。

後ろを向いて二人を連れて歩く兵士の足取りは、兵力を補充できることに安堵して軽くなった足取りではなく、どこか重いような足取りだった。その理由を二人の子供は知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ