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尋問

何も見えない暗闇。そこでは椅子がきしむ音と共に、誰かの苦痛に満ちた呻き声だけが聞こえてきた。

「うぐっ..! ぐっ..! ぐっ!」

深淵の溝に落ちたかのような二人の、塞がれた声だけが周囲を取り囲んだ。彼らの声には絶望だけが滲み出ていた。

「うぐっ.. う…うぅっ…」

二人の捕虜は涙を流す。ここに閉じ込められて今日で3日目、彼らには一片の光も見えなかった。そしてその光は、物質的な光でも、心の光でもなかった。

その時、天幕が開く。すると見えたのは、恐怖、すなわち野獣だった。その野獣は、炎が揺らめくような赤い目で彼らを見つめた。

「お前たち、変な真似はしていないだろうな?」

二人の捕虜を拘束した縄の状態を確認する。すると、塞がれた口を一時的に開けられるように、口から縄を引き下ろす。

「ぷはっ..! は…はぁ…うあ…。た…助けて…!!」

「げほっ.. げほっ!!!」

縄が引き下げられると、一人は命乞いをし、もう一人は嘔吐する。その嘔吐物は食べ物ではなく、長時間飢えた痕跡を示す胃液だった。衛生を気にする間もなく、嘔吐物は口から出て彼の体を濡らした。

「.....さて。もう一度聞く。お前たちの部隊はどこに位置していた?」

「こ…ここから北…!!! 北に…滝の下にいる…!! 全部話す…全部話すから!前みたいに殴らないでくれ!」

嘔吐している兵士は放置し、もう一人の兵士が充血した目でアドラーを見つめる。彼の眼差しは悲しみと絶望に満ちていた。しかしアドラーは、ためらいもなく彼の鳩尾を膝で蹴り上げる。

「そんなに曖昧に話すなと言ったはずだ。」

「ぐふっ..!!!」

鳩尾に正確に蹴りが入った捕虜は、苦痛で息もできない。彼に残されたのは、ただ息が詰まるような苦痛と重みだけだった。

「滝…その…お前たちの部隊…北に…いると…ここからあの山を越えれば…げほっ…その…その見える大きな滝がある…」

「は、そうか。」

アドラーは恐怖に怯える一人を放っておき、嘔吐物を吐き出すのを止めたもう一人の兵士に近づく。

「今度はお前に尋ねよう。お前たちは、我々の部隊の位置をどうやって知った?」

「そ…それは私も知りません…ただ…命令通りに来ただけで」

胃液が流れる兵士が口を開く。彼は本当に何も知らないというように、切実にアドラーを見つめた。

しかし彼はそんな答えは望んでいなかった。

「バキッ!!」

鼻を拳で殴打する。鼻骨が折れたかのように兵士は呻き声を上げ、彼の鼻からは赤い鮮血が流れ落ちた。

「うわあああ…ほ…本当に知りません…助けてください…どうか…私たちにも…妻と子供がいるんです…」

「妻と子供?それは人間なら誰にでもある。相手に先に先制攻撃を仕掛けた分際で、そんなことを持ち出すのか?」

再び拳が降り注ぐ。彼の拳は石のように重く硬かった。しかし、その石を避ける方法は、縄でがんじがらめに縛られた彼らには存在しなかった。だが、なぜかアドラーの手は微かに痙攣していた。

「はぁ…は…はぁあ…はぁっ….」

「では今度は別のことを聞こう。お前たち二人に同時に尋ねる。お前たちはその滝の下の部隊で何をしていた?」

「ただの普通の歩兵部隊だ!」

「偵察部隊です!!」

同時に答えたが、彼らの答えは互いに異なっていた。誰か一人が嘘をついているのだった。あるいは、二人ともかもしれない。

「…どうして答えが食い違う?笑わせるな。」

アドラーは落ち着いて冷ややかな表情になり、椅子に固く縛られた彼らを一人ずつ足で蹴る。彼らは椅子と共に抵抗もできず、力なく床に倒れた。

「は…もう一度機会を与えよう。今回も互いに答えが異なれば、お前たちは二度と前を見ることができなくなる。いや、それ以上になるかもしれん。」

「さあ、言え。この戦闘の後に実行する次の計画は何だった?」

彼が暗闇の中で静かに声を漏らす。怒りを鎮めようとするように穏やかで静かだったが、その声を聞き逃せば死ぬと知っている二人の兵士は、必死に倒れたまま答える。

「お前たちの部隊を征伐し…その次に進んでフリーデンの北側防衛線を突き破ることだった…」

「は…それでした…」

「…わかった。」

アドラーは彼らを再び椅子と共にまっすぐに起こし、硬いパンを手渡す。最も不味く、小隊員たちが誰も見向きもしない砂のような食感のパンだったが、彼らにとってはこれさえも貴重で切実だった。

アドラーから渡されたパンを口で受け取りながら、彼らは泣き叫ぶしかなかった。彼らの黒い目からは限りなく涙が流れ落ち、顔は血でめちゃくちゃになっていた。

「.....」

アドラーはなぜか目元が少し赤くなっていたが、かろうじてそれを無視しようとし、冷笑的な態度に戻る。そしてパンを食べさせた後、天幕を出ていく。

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