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闇の中の捕食者

ジンクスは月明かりが降り注ぐ夜、リーベとフォーゲルを注視し、至る所から銃を発射する。その猛攻は二人の少年兵の周囲に風のように降り注ぎ、二人は非常に緊張する。

通常の空包はこの遠距離ではろくに飛ばないし、威力もなかっただろうが、この弾はなぜか発射途中で何かが剥がれ落ちるのが見え、同時に物体に当たると赤い絵の具のようなものが飛び散った。

「これ空包なのかよ!?」

「それは後で聞いて!とりあえずそうやって立ってないで、私が教官の位置を探すから、あなたは銃を構えてて!」

リーベはフォーゲルの問いに少し腹を立てながら彼を諭す。その言葉を最後にリーベは目をぎゅっと閉じる。雪山、すなわち雪がいつでも積もっているこの森では、雪を踏む足音がわずかに聞こえる。リーベは集中し、それを聞き取ろうと努める。

「右…うーん…違う…」

「パン!!」

見当をつけた瞬間、銃声が鳴り響き、フォーゲルの肩のすぐ横に弾がめり込む。もちろん特殊弾のように見えたが、それは実弾と何ら変わりなく威圧的だった。隣にはやはり赤い絵の具のようなものが飛び散っていた。フォーゲルは飛び上がるほど驚いて緊張するが、リーベにとってこの音は位置を推測する手がかりだった。

「後ろよ!!」

「え…あ、わかった!」

返事をしてフォーゲルが後ろを振り返り、銃を構える。するとジンクスの姿が遠くに見えた。

「い…やっ!」

気合を入れて弾丸を発射する。しかし、すでにジンクスはフォーゲルが振り返って銃を構えた時点で別の場所に移動していた。

「くそっ…」

「パン!!!!」

別の場所から再び銃声が聞こえる。そしてここが危険だと悟ったリーベは、フォーゲルの襟首を掴むと遠くに投げ飛ばす。同時に彼女もフォーゲルが投げられた場所へ移動する。

「おいおい…痛いじゃないか…なんでそんなに力が強いんだよ…!」

「訓練に集中するのよ!あっちを見て!」

ジンクスの弾丸が飛んできた向こう側を見つめ、リーベは頬をストックに当てて火花を散らす。弾がジンクスがいた場所のすぐ隣に突き刺さり、ジンクスは驚いたように口角を上げる。

「手榴弾も狙撃したって話、本当だったんだな?やっぱり!よし!リーベ!期待してるぞ!」

闇の中、ジンクスは雪をそっと踏みながら、さらに遮蔽が至る所に敷かれている倒れた丸太の後ろに移動する。そしてその丸太の上に銃身を乗せ、この暗闇の中で彼らを見つけ出そうとする。

「移動するわよ!あっちよ!」

リーベはまるでジンクスが透視できるかのように位置を見当をつけ、フォーゲルを連れて森の上の方へ場所を移す。そこで再び弾倉を整理しながら言う。

「訓練なのに、これ本当に実戦みたいね…」

「君はこんな緊迫した状況なのに、おかしいくらい落ち着いているな…」

フォーゲルはリーベを驚異的なものを見るように見つめ、かすかなため息を漏らす。今夜の気温は氷点下になるほど寒かったが、それよりもさらに身が引き締まるようだったのはジンクスの攻撃だった。

「見つけたぞ!」

丸太の後ろにいたジンクスが二人を見つける。そして閃光が弾け飛び、その光はリーベへと向かう。

「きゃあ…!」

落ち着いていたリーベも、瞬間的に自分の襟元を弾がかすめ去ると悲鳴を上げる。その悲鳴は人間なら誰もが持つ恐怖でしかなかった。

「今度は俺がやる番だ!お前だけ上手いんじゃ、面白くないだろ!」

フォーゲルが閃光が弾けた場所を探る。そしてその暗闇の中には、丸太の後ろから彼らを見つめる捕食者の口があった。

「…はああああっ!!!!」

フォーゲルの銃身が熱を帯び、弾がジンクスに向かって飛んでいく。

「はぁ…!」

ジンクスがかろうじてフォーゲルの光を避ける。たとえ見て避けたわけではないが、実戦を通じて経験した直感が彼を動かしたのだ。

「フォーゲル、こいつ…なかなか成長したじゃないか?」

ジンクスは口元に微かな笑みを浮かべ、再び場所を移動する。丸太は寂しく残されているだけだった。

「ああああ!なんで当たらないんだ!!」

「ち…落ち着いて、フォーゲル。相手は教官なのよ。」

先ほど悲鳴を上げた少女が、冷静になろうと努めながらフォーゲルに震える声で言葉を伝える。緑色の瞳は、寒気に支配された体のように少し震えていた。

そして彼らは、ジンクスが来る方向を予測し、遮蔽物を中心に少しずつ足を進める。雪を踏む音すら、彼らにとっては銃声のように聞こえた。

「聞いてみるわ。ふう…」

リーベが全ての神経を再び耳に集中する。フォーゲルは隣で弾を弾倉に込めており、リーベは目を荒々しく閉じる。

「パシャ…パシャッ」

「左よ!!」

その言葉にフォーゲルは弾倉を素早く装着し、左を向く。今度はジンクスが笑っていることさえ見えるほど、しっかりと彼を捉えた。

「教官!申し訳ありませんが、避けないでください!!」

とんでもないことを言いながら、フォーゲルの銃から閃光が発射される。その弾は回転しながら空気を裂き、音を引き裂いてジンクスへと向かう。結局、ジンクスの防弾チョッキが装着された胸に弾が正確に突き刺さった。そしてその弾から出た赤い絵の具が彼を染める。

「…お前たちの勝ちだ。」

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