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涙だけがにじんだ

すべての戦闘が終わり、フェルカー小隊長は残党勢力がいる可能性を考慮し、前線周辺に一部の兵士を見張りの歩哨として送る。そして残った兵士たちは、爆発によって崩れた壁を点検し、戦死した兵士たちの遺体を収容する。

遺体を収容する兵士たちの顔は、皆が家族を失ったように沈鬱で怒りに満ちていた。その間、フォーゲルとリーベは全ての力を使い果たしていたため、特に任務を与えられず、ただ壁に背中をつけて並んでしゃがみ込んでいた。彼らがわずか15歳の体力でここまでやり遂げたのだから、フェルカーがあえて休ませていたのだ。

フォーゲルとリーベは、わずかな隙間も開けずに一緒に座っていたが、彼らの間には静寂だけが流れていた。周囲からは、亡くなった兵士たちの遺体から悪臭が漂ってきていた。

ある者の遺体はきれいで安らかに見えたが、また別の誰かは、とても見ることができない姿で内臓と骨を無残にも露呈させていた。

「今回の戦闘で5人は死んだようだ。まったく…見るに堪えないな。」

死傷者を運んでいた兵士が、別の仲間に話しかける。彼の声には、痛ましさと諦めが込められていた。一人一人が、この小規模な部隊にとっては貴重で意味のある戦力だった。それゆえ、聞くには比較的少なく聞こえる5人という数でも、この部隊、すなわち第6小隊にとっては大きな痛手だった。

「リーベ…」

フォーゲルが慎重に彼女の名前を呼ぶ。それまで彼女は、亡くなった戦友を見てぼんやりと泣いていた。

「う…うん?」

「ホーケル一等兵に…会いに行かないか?」

「……怖い…」

ホーケルの遺体は、フィンがガトリングに上る直前にすぐに片付けられていたため、今はテントの中央で、おそらく布に包まれているだろう。フィンが片付けたことで、二人の子供はまだホーケルの最期の姿をその目に収めていなかった。

今、リーベは他の兵士たちのように、無傷ではない凄惨な状態の遺体を想像し、見るのを恐れていた。彼女の緑色の瞳からは、とめどなく涙が流れ落ちていた。

「それでも、お別れの挨拶はしないと。」

「そ…そうだよね…?わかった…」

フォーゲルの優しい言葉に、リーベは一時的に抽象的な恐怖を頭の中から排除し、安らかな顔をしたホーケルを想像しながら、遺体が集められている場所へ向かう。雪は戦闘が終了すると止んだが、向かう道は依然として雪が積もっており、空は光を与えなかった。

重い足取りで歩いて行くと、白い布で包まれた、誰が誰だか分からない五体の遺体があった。それぞれの布の横には、何人かが一緒に立っていた。原則として、布をめくって見る行為は、遺体の破損防止と衛生上の問題を考慮して許されていなかったが、彼らの前には、涙を流しながら布の中の物体を見つめるフィンとオアンがいた。

「ホーケル…!!なんで…なんで…死んだんだ…ううっ…くっ…くっ…」

フィンが泣き叫び、声を上げて泣き崩れる。これは隣にいるオアンも同様だった。オアンは、直接ホーケルが死ぬ過程を見てはいなかったが、フィンの話を聞いて駆けつけ、一緒に泣いているのだった。

「あの、もうそろそろ整理しないと…」

前で別の兵士が、もう泣くのをやめて立ち去るように言う。その言葉は現実的だったが、苦痛を伴うものだった。

「あ、あの…ちょっと待ってください!」

フォーゲルが勇気を出してその兵士に話しかける。そしてその兵士は、哀れむような表情で言う。

「よし、お前たちだけだ。3分だけだ。」

フォーゲルとリーベは駆け寄り、フィンとオアンが見ていた布の内側を覗き込む。そこには、意外にも無傷で端正な顔をしたホーケルが眠っていた。

「お前たちも…来たのか…」

「はい…」

フィンの問いかけに、リーベが短い返事をする。そして、ホーケルの白い髪と穏やかに見える顔を詳しく見つめる。死んでも永遠に感じられるのは、物理的な温度ではなく、心の中から湧き出てくる温かさだった。

「フィン伍長…ホーケルは、それで…どうして死んだんですか…」

隣で泣いていた坊主頭のオアンが、目元を拭いながら、空気を読まない質問をする。死因を尋ねることは、フィンにとっても、そしてホーケルにとっても非常に失礼な行為だったが、彼はあえてその言葉を口にする。

「俺を守ろうとして…銃に撃たれて…しかも4発も…ぐすっ…ううっ…ごめん…ホーケル…」

フィンはオアンの無礼な質問に、ついに答える。そして、哀悼の意を込めたように手のひらを合わせていた。オアンは、たとえ空気が読めなかったとしても、心根だけは優しい人物だった。

「そ…そういうことだったのか…ホーケル…あの時、俺があそこにいるべきだったのに…うわああああ…」

オアンは罪悪感に苛まれ、涙を流す。彼は悲痛に拳で地面を叩く。

「一等兵さんは…いつも親切でした…入隊したばかりの私たちも…お兄ちゃんのように気遣ってくれて…フォーゲルと私がよく知らなかった軍律も詳しく教えてくれて、毎日頑張ろうって声をかけてくれました…」

リーベの口から、かすかな溜息が漏れる。そして頬を伝うのは涙の筋だった。隣でフォーゲルは、ぼんやりとホーケルを見つめながら、以前リークケアが初めて死んだ時のように喪失感を感じ、怒りを覚えた。

「ウンステア…お前たちだけは…俺が必ず殺してやる。」


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