終決
敵軍指揮官が死亡すると、木の陰に隠れていた兵士2名は恐怖に怯えた。彼らにはもはや戦う力も残されておらず、ついに銃を虚しく下ろす。そして、両腕を上げて木の陰からアドラーの前に出てきた。その様子を見たアドラーは一瞬目を大きく見開くが、すぐに普段通りに戻り、冷静に彼らを見つめる。
「…フィン。撃つのをやめろ。」
フィンはホーケルを殺したあの敵兵たちをアドラーの後ろから見守り、今にも撃ち殺しそうな勢いでガトリングガンのハンドルを握っていた。アドラーが命令すると、フィンはガトリングガンを握ったまま歯を食いしばる。
「ですが…兵長…!あいつらは…ホーケルを…!」
「個人的な事情は気の毒だが、許容されない。今は効率性を考慮すべきだ。あいつらを捕虜にする。」
その言葉にフィンは、自分の感情をどうにか抑え込み、手を宙に放す。彼の肩は小刻みに震え、涙が頬を伝っていた。
「奴らを尋問して情報を引き出し、ウンステアを阻止することが、真のホーケルの願いだろう。」
アドラーは低く、最大限優しく慰めるように話しかける。たとえ敵を容赦なく射殺し、仲間にもあまり話しかけないアドラーであっても、内面には温かさが存在していた。
横でこの様子を見ていたフォーゲルとリーベは、弾帯を手にいじりながら、何をすべきかを考え込む。ホーケルは死に、フィンは泣き崩れ、アドラーは依然として敵兵2名に銃を向けたまま、来るようにジェスチャーをしている。二人の少年兵は、ただその場に立ち尽くして聞いていることしかできなかった。
そしてすぐに、小隊内の兵士たちがアドラーの行方を探してここまでやって来た。彼らは誰かを狙撃しているアドラーを見て、一瞬顔を上げ、二人の敵兵を見つめる。彼らは銃も持たず、軍服だけを身に着けて雪原を歩いてきていた。
「この者たちを処理しろ。捕虜として利用するから、丁重に感謝して縛り上げろ。」
「あ…確認しました!」
合計三人の兵士がアドラーの言葉を聞き、彼らに銃を向け、命令を下しながら検査する。そしてアドラーが言う。
「まだ後方は終わっていない。フム…フォーゲル、リーベ。ついてこい。」
「えっ…?あ、はいっ!」
突然のアドラーの命令に、フォーゲルとリーベは命令を吟味する暇もなく、すぐに彼の背中に続いて後方へ向かう。後方の敵はまだ自分たちの指揮官が死んだことを知らず、戦闘を続けている。
そして到着すると見えたのは、小隊内に降り注ぐ手榴弾だった。敵は手榴弾を投げて、そこにいた兵士たちとイーヴァン・ケーリーを排除しようとしていた。彼らは辛うじて身を隠し、震えている最中だった。
「俺が来た。ここからは任せろ。」
赤眼の男性が近づき声を発すると、すぐに恐怖に震えていた兵士たちの士気が増大する。アドラーはこの小隊において希望の象徴とも言える伝説の兵士だった。
「敵は…あちらの遮られた丘の向こうから手榴弾を投擲し続けています!もう手榴弾はあまり残っていないはずです。」
「わかった。」
アドラーは短い返事をすると、壁の上に登り、銃口を突き出す。彼の眼差しは既にスコープを貫通していた。
そして敵が手榴弾を投擲するために一瞬手を出すと、直ちに銃を発射する。
「くあああ!!」
敵は撃ち抜かれた手を押さえながら苦痛のうめき声を上げ、丘の向こうで倒れる。そして他の兵士たちもそれぞれアドラーを狙って銃を撃つが、既にアドラーは全てを見抜いたかのように、撃ってはボルトを操作する動作を繰り返す。その反復動作の中で、既に敵兵の何人かが頭を撃ち抜かれるか、体を貫通されて死亡した。
フォーゲルとリーベはそれを呆然と見つめる。彼らの目には畏敬の念が込められていた。少し前まではホーケルが死んで非常に不安で疲弊していた彼らは、今やぼんやりとそれを見ているだけだ。
「兵長は本当に…私が治療する必要がないってことだね…」
隣でしゃがんでそれを見ていたイーヴァン・ケーリーは、舌を巻きながら独り言を言う。たとえ味方にも冷たく無視するイーヴァンであっても、アドラーだけは尊敬の対象だった。しかし、アドラー・シュナーベルはそれを聞くふりもせず、敵を狙撃する。隣で他の兵士たちも加わって手伝おうとするが、彼らが引き金を引こうと手を動かす間に、既に敵のヘルメットは金髪の兵士によって吹き飛ばされていた。
「い…やっ…!!」
しかし、別の場所から一人の敵が渾身の力を込めてこちらに手榴弾を投げつける。投擲されたその物体は、弧を描きながらアドラーと兵士全員がいるこの地点に向かって飛んでくる。フォーゲルはこの一瞬を捉えたが、スコープしか見ていなかったアドラーはこれを見逃していた。
結局、アドラーも、自分も、リーベも皆死ぬのかと考え、走馬灯に直面したフォーゲルは、すぐに目の前の光景を見て感嘆してしまう。
飛んできた手榴弾が空中で爆発したのだ。破片は幸いにも誰にも当たらず、爆発は空中でのみ起こった。たった今の銃撃は、リーベが放ったものだった。
「あ…あ…」
リーベも自分が撃って空中に飛んできた手榴弾を命中させたことに驚いたようで、呆然としている。そしてアドラーは、一瞬スコープから目を離してそれを見て、リーベと視線を交わすと口を開く。
「大したものだ。」
短いが強烈な賞賛がリーベに突き刺さる。その言葉を聞いたリーベは混乱するが、隣でこの過程を全て見ていたフォーゲルは、改めてリーベに感嘆する。
そして丘の向こうで小隊長の指示を受けて実行していた分隊長もまた、無線が途絶え続けたため、ついに自分たちの指揮官が死んだことを認識する。彼らは後ろに積んであった橇に乗って、結局後退してしまう。これをもって、前方と後方、全ての戦闘が終結した。




