白い雪の上の赤い血痕
ホーケルの死に、フォーゲルは怒りを覚え、リーベは悲しむ。
実際、彼らがハイトヴィン・ホーケルと過ごした時間は一ヶ月にも満たないほど短い。だが、彼らは自分たちをフィンやオアンと一緒に気遣い、悪戯ばかりするフィンを制止していた彼の姿を思い出す。共に過ごした時間は短くとも、彼らにとって仲間の死は決して軽いものではなかった。
フィンがガトリングガンを木々に向けて津波のように発射する間、リーベは弾帯を整理し、フォーゲルは整頓された弾帯を絶えずガトリングガンに装着する。敵の指揮官もまた、この三人の猛攻に為す術もなく、木の陰に辛うじて隠れていた。
「うおおおおおおおお!!!」
「伍長…もう弾薬があまりありません…!」
フィンは憤慨しながら弾丸を乱射する。しかし、二人の少年兵は知っていた。もう弾丸が残り少ないことを。だから、この弾丸が尽きれば、攻撃手段は小銃しかなくなるだろう。それゆえ、リーベはそれを知らせるために、ガトリングの騒音を突き破るように、できる限り大声で叫ぶ。
「落ち着け…落ち着くんだ…」
フィンはその言葉に少しは冷静になったように見える。だが、鼓膜を破って入ってきそうなガトリングの騒音は止まらない。さらにフィンは、木々ばかりに気を取られ、森の反対側の丘の向こうにいた敵兵が彼を狙撃していることには気づいていなかった。
「あの野郎…小隊長ばかり撃ってるだと?今こそ好機だ…」
独り言を呟きながら、この兵士はフィンに銃を構える。
フィンが死ねば、この小隊はガトリングガンを扱う人員がいなくなり、全滅する可能性もあった。フィンは確かにエリートだったが、仲間が死ぬと感情的に大きく動揺するのが最大の弱点だった。
フォーゲルとリーベが入隊する前も、フィンは仲間が死亡すると常に理性を失っていた。それは訓練によっても、叱責によっても解決しない、彼のアイデンティティの一部と言っても過言ではなかった。そしてフォーゲルが白い丘の上にうっすらと見える濃紺のシルエットを見て、フィンに叫ぶ。
「伍長…そこに敵がいます…!!」
フィンはその言葉にさらに顔を顰め、歯を剥き出しにする。彼の姿は惨憺たるものだった。結局、敵に狙撃されるばかりで、ホーケルの復讐はたった一人しか果たせないのかと思ったその時…
「落ち着け。フィン伍長。」
どこからか低い声が聞こえてきて、フィンを丘の向こうから狙撃していた敵兵が、一瞬で銃弾を頭に受けて倒れる。フォーゲルはそれを見て驚くが、表情には出さない。そして、壁の下を見下ろすと見えたのは、濃い金色の長髪の男性だった。アドラー・シュナーベルはそうしてフィンを敵から守る。
フィンは自分を守ってくれたアドラーを見て敬意を表し、再び木の敵を撃つことに集中する。だが、アドラーが口を開く。
「ガトリングを無駄にするのはやめろ。ここからは俺が奴らを処理する。」
その言葉を聞いたフィンは、しばしガトリングのハンドルから手を離す。そしてアドラーはスナイパーライフルを構える。彼の姿は、まるで鋭く敵を捕捉する鷲のように見えた。敵はガトリングの音が止まったことに安堵し、一瞬だけ頭を出す。そしてアドラーは、このわずかな隙さえ逃さず、すぐに銃を発射する。
敵は一撃で顔面が砕け、大量の血を流して死んでしまう。そして、それを後ろから見ていた敵の指揮官は慌てて、残った兵士二人に荒い声で命令する。
「頭を出すな!!」
自分の仲間が悲惨にも一撃で死ぬ様を見てしまった3人の敵は、それぞれ大きく動揺する。指揮官は努めて冷静で論理的な様子を保とうとしたが、既に目にはうっすらと涙が溜まっていた。
「ちくしょう…煙幕弾で後退するぞ!!」
木の陰に隠れて指揮官は煙幕弾を手に取り、地面に叩きつける。そして、煙幕弾をほんの一瞬だけ投げつけたその動作が、アドラーに捕捉された。この1秒にも満たない時間を逃さず、すぐに金属音を立てて銃口から弾丸が発射される。
そして、指揮官はそれを認識する前に手が力なく吹き飛ぶ。分厚い口径の弾丸のため、彼の手はもはや身体の一部だと言うのも曖昧な、奇怪な形に変質していた。骨と筋肉が赤裸々に露出し、吹き飛んだ手は既に形を失って久しかった。指揮官は凄まじい苦痛に叫び声を上げ、自分が殺されることなど考える暇もなく、雪が積もった森の床にそのまま倒れ込む。
「うわあああああああ!!くそっ!!俺の…俺の手が…!!!!」
普段は冷静で、全てを計画するように行動していた指揮官も、ただの人間でしかなかった。彼は生まれたばかりの赤ん坊のように泣き叫び、絶叫した。そして、周囲でそれを見た二人の兵士は、目を大きく見開いて絶望する。
「し、小隊長…!」
「…見えたぞ。」
指揮官が倒れ込んで全身を痙攣させると、アドラーはそれを見逃さず、すぐに頭を狙撃して命中させる。指揮官の脳は地面に飛び散り、黒ずんだ血は真っ白な雪を悪辣に濡らし、彼はそのまま即死する。




