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第六小隊、すなわちフォーゲルとリーベという二人の少年兵が所属するこの小隊は、常に補給が不安定だ。配給も制限されており、弾薬も最近補給はされたものの、依然として不足している状態であった。小隊長は、手榴弾のような投擲武器も不足していることを考慮し、複数の有能な兵士にのみ投擲武器を配分していたが、それを受け取った兵士の一人がまさにイーヴァン・ケーリーだ。

その茶髪、茶色の瞳の兵士は、小柄な体格にもかかわらず、銃を扱う能力と負傷者を迅速に治療する能力、いずれも傑出した人材だった。彼は手榴弾を一つ投げ、固まっていた敵を一気に4人殺害する。彼は衛生兵であるにもかかわらず、敵を射殺することに予想外の才能を持っていた。

「全員殺したか…?はっ、何であんなに調子に乗るんだか。」

そう言い終えると、敵に銃で撃たれて血を流している兵士たちに近づき、素早く止血帯を使って治療する。

その頃、小隊を取り囲んで接近してきた兵士たちを狙撃し、一人ずつ倒していた二人の兵士、ティエルシとアベルは、岩の陰に隠れて兵士たちに手招きをしている指揮官らしき男性を発見する。

「アベル、敵の指揮官と推定される人物が部隊の中央から北側にいると伝えろ。」

その言葉を聞いたアベルは、すぐにティエルシの言葉を通信で伝達する。小さな声だったが、伝達の過程はティエルシにははっきりと聞こえた。そしてティエルシは、自身の紫色の目を冷たく伏せ、敵の指揮官を双眼鏡で観察する。その指揮官は、部隊の前方に向けて兵士たちに手招きしながら、何かを話していた。

「敵の指揮官は、どうやら前線を突破するのに最も邪魔な機関銃手を排除しようとしているようだ。」

「敵指揮官、兵士たちに部隊前方側を指差しています。フィン・ブルツェル伍長を排除するのが目的と見られます。」

「よし。兵士を送るから、機会があれば射殺しろ。」

フェルカー小隊長の言葉を聞いたアベルは、それをティエルシに伝え、ティエルシは唇を固く噛みしめ、戦略を立てようと考え込む。そして何かを思いついたようにアベルに何かを囁く。

「わかったか?」

ティエルシの戦略を聞いたアベルは、一瞬目がわずかに大きくなり、了解したように頷く。そうしてから、アベルはゆっくりと指揮官の背後の森へと這っていく。適度に這い進んだ頃、ティエルシはタイミングを予測し、突然敵兵たちに堂々と姿を現し、銃を持って走り出す。

「はあああああ!」

気合の声を上げて走ってくる兵士を見た指揮官は、すぐに自分の隣にいた部下に銃を撃つように指示する。

「ちくしょう…この野郎、まだ着いてなかったのか?」

苦悩しながら走っていたティエルシは、アベルの位置を把握しようとする。まさか自分が早まって飛び出してしまったせいで、アベルがまだ位置にたどり着いていないのかと大きく動揺する。しかし、敵はそれを待ってはくれなかった。引き金を引こうとしたその瞬間。

「タン!」

銃声が鳴り響き、兵士の頭が撃ち抜かれる。アベルは森の中で伏せ、ティエルシが囮役となり敵の視線を引きつけている間に兵士を撃ったのだ。そしてすぐに指揮官を排除しようとするアベルだが、指揮官は倒れた兵士を見て素早く伏せてしまい、視界から遮られて排除することができなかった。すぐに煙幕が岩の周囲を包み込み、敵は逃走してしまう。

ティエルシは、寸前のタイミングで敵の指揮官を殺せなかったことに激しく怒り、敵が向かったであろう前方へと走り出す。これは森の中にいたアベルも同様だった。アベルは、素早く指揮官を射殺できず、彼らが前方へ逃げたとフェルカーに無線で報告し、森の中でティエルシを見ながら前方へ走る。

「アベルの野郎…敵指揮官を殺せなかったのは腹立たしいが…それでも…おかげで助かったな…」

アベルに感謝するように頭の中で考えながら、前方へ銃を持って走り続ける。うず高く積もった雪が絶えず彼らの足を取ったが、彼らは止まらずに走り続ける。もちろん途中で転んで顔に雪を埋めることもあったが、恥ずかしさは後回しにし、ひたすら走る。これを遠くから見てしまったアベルは、真剣な表情がわずかに崩れ、呆れたような視線を送る。もちろんティエルシはそれに気づかなかった。

二人は走り続けたが、雪原で歩みを進めるのには限界があり、すでに体力を消耗し尽くしてしまったティエルシとアベルは、荒い息を吐きながらしばらく立ち止まる。

「はぁ…はぁ…は…」

彼らの口からはそれぞれ白い息が漏れ、髪の毛は汗のせいで凍っていた。どういうわけか、指揮官はあれだけ走ったのに視界に入ってこなかった。ティエルシは怒りながら周囲の草を蹴り、アベルは静かに木に寄りかかる。

敵の指揮官はそりで移動していた。雪が降る険しい地形なので、彼らは各自橇を用意していたのだが、ティエルシはそれを死角の存在として見落としていたのだ。

そして敵はついにフィン伍長のいる場所へ到着する。

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