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脅威

フェルカー少尉の即時集合の号令に、兵士たちはすぐさま軍服を着て、各自のロッカーから銃を取り出す。彼らの表情は極度に真剣であり、その眼差しからは、間接的に皮膚に触れるほどの悲壮感が伝わってきた。

フォーゲルとリーベは、これが敵との初めての戦闘になるため、非常に緊張していた。二人は軍服を着て、それぞれの生活館テントから出て、互いに顔を見合わせる。互いに混乱し、震える瞳を見つめ合いながら、無言で頭を垂れる。しかし、フォーゲルはすぐに心の中で「こんなことは事前に考えておいただろう!」と自身に言い聞かせ、目をまっすぐに見開いて前を見据える。

前には、小銃を取り出した軍人たちが整然と並んでいた。普段おどけていた兵士たちも、皆が今にも敵を殺しそうな勢いで殺伐とした表情になり、形式に則った動作をとる。フォーゲルとリーベはまだ訓練兵であったため、自分たちの銃器はなく、彼らの肩には空気の感触だけが感じられる状態だった。小隊長は全ての兵士を呼び集め、大きな声で伝える。

「静粛に!!!全員整列!!!!」その言葉に、軍人たちは息を潜め、しばらくの間、静寂が流れる。

「現在、アベルとティエルシが、敵を前方300mで発見した。彼らが状況を注視しており、我々は一刻も早くウンステアの奴らを撃退する!!軍律を破り逃げようとする者は、即刻射殺する!!!!分かったか!!」

フェルカーは軍人たち一人ひとりを一瞥し、その茶色の瞳から厳格で深い感情が表れる。その姿を見る兵士たちは、皆が背筋を伸ばして銃を肩に担いでいる。フォーゲルとリーベも心を落ち着かせ、戦闘態勢を整える。

小隊長の演説が終わり、兵士たちはそれぞれの配置へと散っていく。彼らの協調的な足取りを見て、二人の少年兵は、まだ芽生えたばかりの戦友愛を経験する。

夜空はいつものように漆黒で神秘的であり、悲壮な雰囲気とは裏腹に、ふんわりとした雪が人々の頬を撫でた。空は一体フリーデンとウンステアのどちらの味方なのか、フォーゲルとリーベは思い悩む。

その時、小隊長が近づいてきて、手ぶらの二人に小銃を握らせる。訓練中も絶えず触れていた銃の感触だが、今はその鉄と木材がさらに重く、痛々しく感じられた。

「今日は訓練ではなく実戦だ。フォーゲル、お前はフィン伍長の周りの掩蔽壕に待機し、彼の機関銃の弾薬箱の蓋をあらかじめ開け、弾帯が絡まないように整理しておけ。伍長が給弾と叫ぶまでは、何があってもそこを離れるな!」

彼の低い声が耳に流れ込むと、フォーゲルは拳を握りしめて返事をする。もちろん、フィンが機関銃手だったことに少し驚きもした。

「了解!」

「そしてリーベ、お前は後方で敵が浸透してこないか監視しつつ、その小銃は警戒用としてのみ使用しろ。同時にフォーゲルを手伝って弾帯の整理を助けるんだ。」

「確認しました!」

力強い応答をして、フォーゲルとリーベは共に部隊の壁の内側へと歩を進めた。そこに到着すると見えたのは、普段から馬鹿と呼ばれていた薄い金髪の機関銃手だった。そう、彼こそがフィン・ブルツェル伍長であった。彼は、フェルカー小隊長の命令を大体察して、口を開く。

「お前たちか…?まあ…いいだろう。よし、俺は機関銃手で、ここでガトリングガンで敵を全部片付けてやる。お前たちには初めての実戦だろうが、俺が言うまでは弾帯の整理だけ手伝え。給弾はこの野郎が手伝ってくれる。」

指で隣にいたホーケルを指差す。ホーケルの白髪が雪風に舞っている。

「よろしく頼むぜ。」

「了解!」

指定された任務は弾帯の整理、そして後方援護だ。敵はまだ接近していないようで、小隊長が言うにはおよそ小隊ほどの規模だという。フィンは二人に命令をしてから、その場を離れ、ガトリングガンへと移動する。

その頃、アベルとティエルシは緊張しながら敵を注視していた。彼らは雪に体が覆われながらも、茂みの中でそれぞれ双眼鏡と無線機を持ち、敵を監視する。

「…おい。」

「…」

ティエルシが話しかける。そしてアベルは沈黙する。二人の間には、気まずい空気と共に冷や汗が流れる。

「敵の位置を通信しろ。」

「……」

アベルは相変わらず無言だ。しかし、すぐに無線機を取り、素早く小さな声で通信を伝達する。

「ちくしょう…お前みたいに口数の少ない奴は、こういう時に役に立たないんだよな…」ティエルシはアベルに鋭い視線を送りながら言う。だが、アベルはいつものように黙っている。

「敵の数はだいたい30名…我が小隊と同じくらいの規模に見える。おそらくここを含め、四方から我が小隊を取り囲むように動いているようだ。お前は通信を続けろ。俺が話すから。」

ティエルシは一人で喋りながら、双眼鏡で敵を、雪がうず高く積もった茂みに隠れてこっそりと監視する。彼の紫色の瞳には危機感が宿っており、彼の独特な紫色の髪の上には軍帽が位置していた。

そして、隣で急な地形を遮蔽物として通信をするアベルは、長いオレンジ色の髪を全て軍帽の上にまとめ、深い金色の瞳が一際真剣さで満たされていた。

「お前も少しは喋れよな…いつも俺ばかり喋っている。」ティエルシはごく小さな声で独り言のように呟く。彼の様子は、極度に緊張しているように見えると同時に、軍人という重い職責の責任感が込められていた。

「…敵、右側100mより接近中。援護を要請します。」

アベルの小さいが明確な声が出て、通信で小隊長にリアルタイムで敵の位置を伝達する。隣でそれを見ていたティエルシは、堂々とした眼差しを送りながら手袋をはめ直す。

「もうすぐ部隊に接近する。突撃準備をするように伝えろ。」

「敵、引き続き木々の間を接近中。突撃準備願います。」

その言葉が終わると同時に、部隊の向こう側からは、ついにガトリングガンの轟音が響き渡った。

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