氷結
光、一筋の線が見える。それは希望でも絶望でも何でもなく、ただ現在の「私」を照らす暗闇の中の白い線に過ぎなかった。窓の外の真っ白で純潔でありながらも汚れた雪のパレードの中、この空間は暗かった。そこで照明が「私」に差す線、それだけが光だった。
「この野郎、調子に乗るなよ!」
またしても続く暴力。そこで少年は真紅に染まっていく白いシャツを見ても、ただ殴られ続けるしかなかった。
「この前も許してやったのに、また盗みを働いていやがるのか?この半端な泥棒猫めが!」
腹部を強打され、内臓がねじれる感覚を少年は耐えなければならなかった。少年は鼻血を流し、歯が折れ、皮膚が裂けても、その目だけは今自分を殴る赤毛の中年を睨みつけていた。
「はっ!どこまででも殴ってみろ!お前が俺をどれだけ殴ろうと…俺は何度でもお前の金を盗んでやる!」
虚脱と怒りに満ちた表情で、その中年の男は少年をさらに殴りつけた。殴られ、また殴られても、ギザギザの前髪に隠れた金髪の少年、フォーゲル・フリューゲルは荒々しい顔で全ての苦痛に耐え抜いた。
「ちくしょう…お前なんかに時間を費やした俺が間違いだった…とっとと失せろ…!!!」
フォーゲルはそう言ってその家を出た。純潔な雪に自分の血が落ちる瞬間、笑いがこみ上げた。
「ハハハハハハハ…馬鹿なやつ…俺が金をもう盗んでいたことには気づかなかっただろうな。」
彼は嘲笑と揶揄がたっぷり混じった顔で雪に唾を吐き、村のベンチに座った。ひんやりと寒かった。しかし、手に握られた硬貨を見ると、その感覚はすぐに幸福へと変わり、消え去った。フォーゲルは今日も盗みに成功したのだった。
男性は少年の体を暴力で制し、奪われた金を全て回収したと思っていたようだが、それは純真な考えだった。この寒さの中で生き残ってきた少年は、その悪賢さが極みに達していた。フォーゲルは適当に全額に見える金を男性に回収されるふりをしながら、男性が見落とした下着の中に少量の硬貨を重く隠しており、ついに股の間からその重い銀色の硬貨が出てきたのだ。少量ではあるが、少年には何よりも貴く大切で、それで何をしようかと考えてはもう興奮していた。
「この金があれば…今日の夕食は肉が食える…!ああ…1年ぶりか…肉を食べるのは…」
まだ起こっていない未来を想像し、少年は嬉々として街を駆け巡る。しかしその時、誰かが現れる。
「私が…泥棒猫の真似事はもうやめろと言ったはずだが…?」
内臓がねじれる感覚にも耐えた少年の顔が瞬く間に崩れ、慌てて言い訳を続ける。
「あ、いや、それがさ…おばさん。盗みじゃないんだ、俺が木を伐ってきた金で稼いだんだよ!」
急な言い訳はすぐにばれるものだった。ぞっとするような笑みを浮かべる女は、少年の金髪の頭を拳で押さえつけながら声を出す。
「早く返しに行ってきな。そうしないと今日の夕飯はないよ。」
結局、少年は女の言葉に従い、金を返しに行くしかなかった。怒りが込み上げるが、それを涙でごまかす表情で少年は再び女の元へと戻る。
「返してきたよ…あいつ、すごく怒って殴りそうな勢いだったんだぜ?あー、本当におばさんはなんでそんなにうるさいんだ…俺も肉が食いたいんだよ。」
「戦争真っ只中なのに肉なんて、私があなたに飯を与えるのが最善なのよ。それにあなたが殴られたとしても、盗みはいけないことよ!」
現実的で反論不可能な言葉だった。フォーゲルにとって、その美しくもぞっとする女、リークケアの影響力は絶対的だった。毎日食事を与え、寝床を提供し、少年の親も同然の役割を果たし、彼を救ってくれていたからだ。
「ところで、リーベは?」
フォーゲルの質問に、リークケアはいつものように微笑みながら言った。
「外で薪を割ってきているわ。あの子があなたのことをどれだけ心配しているか知っている?真面目に働くどころか、いつも盗みばかりしてくるからって。」
「あいつはいつも真面目に生きているからそうなんだよ…そんな風に生きてたら、いいように利用されるだけだ!」
フォーゲルは小さな声で不満を漏らし、薪を割っているリーベを探しに行く。寒さの中で汗まで凍りつくような感覚に耐えながら森へ行くと、小さくて可愛い緑の目の少女、リーベが見えた。彼女は可愛らしい体躯にもかかわらず、一生懸命斧を振るっていた。
「おい、ここで何してるんだ?」
「え?フォーゲル?なんでここに来たの?ただ薪を割ってただけだよ?」
「ただ暇だから来てみたんだ。お前は何でそんなに真面目に生きてんだよ…」
唐突な少年の質問に、少女は口を手で覆って笑いながら言った。
「私は盗みなんかしたくないんだもん。戦争だとしても、そこに希望があることを願ってるから。」
少女の純粋で教科書通りの答えは、この戦争の中の束の間の平和のようだった。彼女は吹雪が降り注ぐ空を見上げ、白い息を吐きながら言った。
「今の戦争も、いつかは終わるって信じてる。」
リーベは戦争が終わることを希望し、わずかだが確かな微笑みを浮かべた。彼女の笑顔はまるで天使のようだった。しばらくフォーゲルは何も言えずにその姿を見つめ、頬を赤らめたかと思うと、慌てて顔を背けて言った。
「どうせ終わりなんて、俺らの国が負けるんだろ…フリーデンは今、ウンステアに押されてるんだから…今陥落した村だけでも数えきれないしな…」
フォーゲルは暗い表情で言った。彼は誰よりも自分の国が勝利することを願っていたが、それは現実には容易な道ではなかった。今もフリーデンは敗戦を重ねていたから。
「俺はフリーデンが負けても、絶対にウンステアには屈服しない…残忍な奴らめ…」
歯を食いしばり、少女を見つめて言った。その眼差しは強烈でありながらも、折れることのない意志が垣間見えた。
「私も、私たちの国が勝つことを願ってる。ウンステアに支配されるのは恐ろしいもの…でも、いつもそんな強い言葉をかけてくれてありがとう。私は弱いから。あなたを見て学ぼうと思う。」
少女の突然の感謝に、少年は戸惑った表情で首をかしげる。その表情は実に取るに足らず、愚かに見えるだけだった。
…その瞬間だった。
静かに雪が降る空の空気を切り裂くような、鋭い音が村へと降り注いだ。




