もう一人の天才
翌日-
「おはよう!グラディスちゃん!今日は朝ご飯いっぱい食べていってね?」
ご馳走が並んでいた。正直朝からは重たいが母の想いを無駄にするわけにはいかない。
「ありがとう母さん。今日は頑張ってくる」
「うん!けがしちゃだめよ?安全第一だからね?」
なかなか無茶なことを言うものだ。実技試験は実践形式だというのは母も知っているはずだが、それを知ってなお、怪我をしないでとは実はスパルタなのかもしれない。だが、
「頑張るよ、そういえば父さんはどこにいるんだ?」
「お父さんは外で準備してるわよー。一緒に行きたいらしいわ」
親同伴とはなかなかに過保護だな。まあいいが、
その後もそんなやり取りをしながら朝食を終え支度をした。
「いってらっしゃーい!きをつけてねっ」
「よしグラディス、一緒に行くぞ!」
いい親を持ったものだ。
父と一緒に王立アカデミーに向かって歩いていく徒歩にして5分ほどの場所にあるのですぐについた。そして見えてきた建物は衝撃だった。学府アルテリアというらしいが家から見えるほど高い建物の正体だった。そしてもちろん高さも驚きだが、最も驚きなのはそこではない、この学府からは圧倒的な魔力が溢れ出ている。おそらくどんな魔法攻撃を受けたとしても傷一つつかないだろうと想像できる。流石リーベルトップの教育機関であり、一部の人からは最強の軍事施設と言われているだけあるのだろう。
「じゃあグラディス、がんばってこいよ!」
父が方を叩く
「ああ」
俺も笑顔でそう返す。
このときなぜか、絶対にこのアカデミーに入り、魔法を極めなければならないという気持ちに駆られた。よく分からないくらい心が燃えた。
試験会場に案内された。まずは魔力を測定するらしい。俺が試験を受ける部屋は推薦式の受験生だけだと言うのも関係するのか、ランターナでは見られないほど魔力を持っているのが一目でわかった。魔力はどうやら水晶に触れると読み上げられるようだ。順番に当てていく。
「568」
「496」
「614」
平均は550くらいのようだ。
次はあいつか茶髪の中性的な美少年が魔力水晶に手を当てようとしている。その瞬間、魔力水晶が割れた。
測定不能のようだ。試験管が驚きの声を上げる。
「なん、だとっ、?この魔力水晶は帝国最強レベルの魔法使いでもヒビが入る程度だぞ、?それが粉々になるなんて、」
周りも驚きの声を上げるが新しい魔力水晶が用意される。次は俺の番のようだ。俺が触れようとすると、またしても魔力水晶が割れてしまった
「は、??」
周りは驚きすぎて黙り込んでいる。そんな周りには目を向けず俺は魔力水晶を破壊したもう一人の男に話しかける。
「すごい魔力だな。名前を何というんだ?」
「ウルマス・ペテレイト 君の名前は?」
「グレアム・グラディスだ グラディスとでも呼んでくれ」
「じゃ、僕のこともペテレイトって呼んでよ。お互い周りに驚かれちゃって大変だね。もしかしてグラディスも魔法の才を発現させてたりする?」
見ただけでわかるのか。魔眼も良いようだ
「まだ固有能力は得てないけどな。あとついでに剣の才も発現させたぞ」
するとペテレイトは驚くが嬉しそうにする
「実は僕もなんだ。1500年前に2人現れて今でも2人現れるってもしかしたら僕たちは転生者なのかもね?まあ記憶はないんだけどね」
俺にも全く転生の記憶はない。だが、ありえない話ではないのだろう。1500年前はほとんど歴史が残っていないのだ。おそらく一度文明が崩壊したのだろう。だが、なぜか1500年前の英雄の話だけ残っていた。何があったのだろうか?そんな事を考えているとペテレイトに声をかけられる
「グラディス?大丈夫?そろそろ次の試験会場に行くよ?次は実技試験だって」
「ちょっと考えてただけだ。行こうか」
「実技試験は対戦形式らしいよ。君とは当たりたくないな。」
ペテレイトが笑いながら言う。
「そうだな。もし同じになれば辺りが更地になってしまうかもしれない」
俺はそう笑い飛ばす
「意外と面白いこと言うんだね」
ペテレイトは意外そうにした。
そんな会話をしながら2人で実技試験会場に向かった。
到着すると番号の書かれた紙を渡された。俺の紙には6と書いてある。ペテレイトの紙には7と書かれているようだ。
「多分戦わなくてよさそうだねー」
安心したように彼が言う
「ああ、そうだな。」
そして彼と別れ6番の部屋に向かっていく。
どうやら何人かと戦いその様子を見て採点されるようだ。
「推薦の皆さん。そして一般組でここまで進んだ皆さん。ここからが本当のテストの始まりです。もし死ぬほどの傷を負ってしまってもS級ヒーラーがすぐに直してくれますのでご安心ください。それでは各自案内に従い正々堂々戦ってください!」
そう魔法放送が流れた。
ここからは一般も推薦も関係ないということか。
「グレアム・グラディス入場しなさい」
入場すると単発の屈強そうな男が立っていた。入学するには魔法も剣も扱える必要があると聞いたがこの男に魔法を使うことができるのだろうか。
「次の相手はお前か!俺の名前はガイル。魔法使いでも剣士でもぶった切ってやるよ」
そう言うとガイルは大剣を構える
「ならば俺も剣で相手をしてやろう」
俺もこの前買った魔剣を構える
「試合開始!!」
スタートの合図と同時にガイルが突っ込んでくるそして剣を大きく振り被り斬撃を放つ
[震天斬]
圧倒的な威力の斬撃が放たれるこれはまずいな
俺は魔剣にて受け流しながら避ける。地面が抉れている。
「なかなか凄まじいな。次は俺から行くぞ」
「来い。受けてやる。」
俺は剣に魔力を集中する。[烈火剣舞] 炎をまとった一撃を放つ
「うおおおおお」
ガイルは必死の様相で何とか攻撃を防いだ。だが甘い[光刃衝]光よりも速い一撃を刻む。
「お前のような化け物がいたとは、、」
そう言ってガイルは倒れどこかに転移されたようだった。
「勝者グレアム・グラディス!」
そう宣言され俺は刀をしまい、案外楽勝だなと思った。
2発で倒してしまうグラディス、、