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98話 修行という名の体罰という名の拷問。


 98話 修行という名の体罰という名の拷問。


 ダソルビア魔術学院1組次席のプライドを全面に押し出しながら、

 ケイルスは、グツグツと全身に魔力を充満させていく。

 そして、十分に高まったところで、


「武装闘気!!」


 とてつもなくハイランクの魔法を使う。

 全身をオーラの鎧で包み、全てのステータスを底上げするという、

 なかなかに、えげつない魔法。

 かなり難易度の高い魔法なので、学生レベルではもちろん、

 十七眷属でも、使い手はなかなかいない。


 ケイルスは、特別、魔法が得意なわけでもないが、

 しかし、生まれつき、この魔法に適正があったため、

 かなり早い段階から、マスターできていた。

 この魔法が使えるからこそ、1組次席になれたと言っても過言ではないほど。


 武装闘気に身を包むケイルスをじっくりと観察してから、

 センは、


「なかなかいい魔法を使うじゃねぇか、ガキにしてはな」


 そう言いながら、ゆっくりと首をまわしつつ、


「……いや、まあ、さすがに、武装闘気クラスになると、『ガキにしては』ってレベルじゃねぇか……普通にすげぇ魔法だ。褒めてやるよ。俺に褒められるとは、なかなかやるじゃねぇか。誇っていいぞ。お前の人生史上における『最大の自慢』として後世に語り継ぐことを許可してしんぜよう。良かったな」


「そこまで人をなめられるとは……たいしたものだ! 私に褒められたことを、人生史上最大の誇りにするがいい!」


 と、丁寧に煽り返しつつ、

 センに向かって、拳を、まっすぐにぶちこんでいくケイルス。

 ケイルスの一撃を、あえて避けずに、顔面で受け止める。


 ドガァアアアアッ!

 と、なかなか激しい衝撃音が響く。

 防御を緩めた上で受け止めたので、顔面の骨がしっかりと砕ける。


 センは、顔面に広がる痛みを感じながら、


「おお……なかなかの力強さだ……マジで、バチクソに強ぇじゃねぇか……伝導率もいい……オーラの質がそもそも高ぇ……惜しいな……まともな倫理観も備わっていりゃあなぁ……」


 などと言いながら、センは、

 軽く魔力を込めた拳で、ケイルスに反撃。

 そこまで質の高い攻撃でもなかったので、ケイルスはサっと避けて、


「やはり、大したことがないな! その程度の攻撃が私に届くと思うな!」


 回避と同時、そのまま綺麗にカウンターを決めてくる。


「ぶっ!」


 胸部に蹴りを入れられて血を吐くセン。

 その鈍い痛みを感じながら、心の中で、


(……ふむ……流石、『1組次席(実質主席)』。強いな……今のラスじゃ絶対に勝てねぇ……ハロでも……まあ、無理だな……肉体強度が高めのハロなら、それなりに善戦できるだろうが……)


 1組と3組の力の差を分析していく。


(魔法の扱いそのものに関しては、ラスの方が上だが、単純な身体スペックが前陣特攻型のハロと同等かそれ以上に高いのと、あと、オーラの質が普通に高い……その上で、武装闘気を使えるってのが、めちゃくちゃでかいな……うん、優秀だ……)


 闘いの中で、ある程度、ケイルスの強さをはかると、


(かなり優秀だが、俺が、しっかりとハロとラスを鍛え上げて、二人がかりで挑ませれば……どうにかなるな……うん……ケイルスのことは、だいたい分かった……あとで、1組の他のやつのことも調べておくか……)


 と、スケジュールを立てつつ、

 ペっと血を吐きすてながら、


「スピードはそうとうのもんだ……だが、パンチには重さがたりないようだな」


 などと、煽ると、

 ケイルスは、ムっとした顔になり、


「たいして強くはないが、やせ我慢だけはお上手なようだな」


 煽り返しつつ、


「貴様のようなゴミと、だらだら戦っていたくはない。全力のパワーで、一気に終わらせてもらう。死ぬかもしれないけど……その時は自己責任ってことで」


 と、そう言ってから、全力で魔力とオーラを練り上げていく。

 ずっと態度の悪いセンに、しっかりと、怒り心頭のケイルス。



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