表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/225

96話 ラスさんがおっしゃっている。


 96話 ラスさんがおっしゃっている。


「ああ、いや、しかし、貴様らのクラスの担任は、あのカドヒトを撃退できる『非常にすごい先生』だ。それほど素晴らしい教師の教導を受けている3組ならば、あるいは、1組が相手でも造作もなく倒してしまえるのだろうか? ん?」


 と、ゴリゴリに煽っていく。

 ストレス発散の対象にされたラスは、

 ギリっと奥歯をかみしめながら、

 屈辱に耐えつつ、


「ぇ、いや、それは……」


 絶対に勝てない。

 それは分かっている。

 だから何も言えない。


 悔しくて歯噛みすることしか出来ないラスに、

 ケイルスは、続けて、


「なぜ、そんなにも、歯切れが悪いんだ? 貴様の担任はすごいんだろう? あのカドヒトを撃退した超人なのだろう? さっきそう言っていたじゃないか」


「そ、それはそうですけど、でも、い、1組には……」


 そこでチラッとクロッカを見るラス。

 ラスだって、それなりの実力を持っているので、ケイルスを含め、『普通の学生』が相手なら、例え、1組所属であろうと、なんとかやり合うことはできるが……しかし、クロッカは……クロッカだけは、どうしようもない。

 ヤム○ャがベジ○タに挑むようなもの。

 彼女だけは、実力の桁が違いすぎる。


「素晴らしい実力を持つ貴様の担任のお墨付きもある。間違いなく、クラス対抗戦で、貴様の3組は優勝できるだろう」


「……」


「3組の完全勝利を目の当たりにしたあかつきには、これまでの無礼を全て清算させてもらおう。貴様にはもちろん、そこの魔人教師にも頭を下げようじゃないか。大変失礼なことを言ってしまい、もうしわけありませんでした、と誠心誠意、心を込めて、謝罪をさせてもらう」


「……」


「ただし……」


 そこで、ケイルスは、獲物を刈り取る捕食者の目になって、


「もし、3組が負けた時は、逆のことをしてもらう」


「……え」


「当然だろう? 条件は同じにしないと。1組が負けた時、私は頭を下げるんだ。となれば、3組が負けた時には、貴様に……いや、そこの魔人に頭を下げてもらわないと」


「っ」


「一応、貴様ら3組が負けた場合の話もさせてもらったが、実際のところでは、もちろん、そんなことにはならないだろう。なんせ、貴様ら3組の担任は、あのカドヒトを撃退した、素晴らしい力を持つ魔人なのだから」


「……」


「どうした? 急におとなしくなって。さきほど、私に決闘を申し込んだ勢いはどこにいったんだ?」


「3組では……1組には……勝てません。だから……その賭けは……うけません」


 唇をかみしめながら、そういうラスに、

 ケイルスは、虫けらを見る目で、


「尻込みするぐらいなら、最初から息巻いてくるなよ、雑魚が」


 差別思想に階級思想。

 蔓延しまくっている選民思想。


 上の人間は、下の人間に対して何をしても許される世界。


 ……そんな世の不条理を目の前で展開されたセンは、

 その瞳に、静かな炎を携えて、


「1組に勝つことなど造作もない。俺が本気を出せば余裕だ……と、こちらのラスさんがおっしゃっている」


 と、ケイルスに対して、堂々と、そんなことを言い切った。

 それに対して、何より強い反応をしめしたのは、やはりラス。


「え、ちょ、先生?!」


 ラスの動揺をシカトして、

 センは、ケイルスに、続けて宣言していく。


「首を洗って待っていろ、ケイルス。てめぇだけではなく、1組全員、まとめて八つ裂きにしてやる……と、こちらのラスさんが豪語している。……すごいな、ラス。お前の覚悟、見事だ。担任として鼻が高いぞ」


 むちゃくちゃな事をほざいている担任に、

 ラスは、冷や汗をまき散らしながら、


「せ、先生! ……いい加減にしてください! 無理です! 2組が相手なら、まだ、勝てる可能性もなくはないですが、1組は無理です!」


 と、常識的な言葉を叫ぶラスに、

 センは、たんたんと、


「俺に魔改造された人造戦士サイコハロと、これから俺に魔改造される予定の人造魔導士メタルラスがいれば、相手が1組だろうが幻の0組だろうが関係なし。秒で根絶やしにできる。あの俺が言っているんだから間違いない。俺は詳しいんだ。多分。知らんけど」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ