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78話 誰か助けて。


 78話 誰か助けて。


「その認識は別に間違ってねぇよ。けど、名のある上位グループの外側にも、強者はいるもんなんだぜ、往々にして。数はめちゃくちゃ少ないけどなぁ」


 そう言いながら、ラスとの距離をつめると、

 カドヒトは、ラスの顔面に、


「さあ、てめぇの罪を数える時間だぜ」


 そう言い捨てると同時、

 バギィッ!!

 と、まったく大人げない重厚感たっぷりの拳を叩き込む。


 普通に、ちゃんと、顔面の骨が砕けるラス。

 交通事故で顔面をイってしまったのと同じぐらいの損傷。


「うぎゃぐやああああああっ! あぎゃああああ!」


 吹っ飛んだ先でラスは、両手で顔を抑えて、顔全体の燃えるような激痛に、ごろんごろんとのたうち回る。


「痛い痛い痛いぃいいいいいいいいいい! うわぁああああ!」


 転げ回って苦しんでいるラス。

 そんな彼の頭を、右足で、グリィっと、踏みつけるカドヒト。


「うぎゃああああ!」


 『顔を抑えている手』ごと、ひねりつぶそうとするような踏みつけを受けて、より一層、苦悶の声が膨れ上がるラス。

 そんなラスを見下しながら、


「もし、お前が、差別主義者じゃなかったら、こんな目には合わなかったんだぜ」


「うぃいいいいっ! 誰か! 誰か助けてぇええええええ!」


 明確な命の危機を前にして、プライドもへったくれもなくなり、

 必死になって、救いを求めるだけの子羊になりさがる。


 そんなラスに、カドヒトは冷めた視線を向けたまま、


「痛みをともなわずに反省するやつってのを、俺は見たことがねぇ。特に、差別主義者みたいな、意識の奥底に、ゴリゴリのゴミ認識を抱えたバカは、よほどのハンマーセッションでも受けない限り、絶対に、考え方を変えたりしない。……俺は別に、お前の考え方を変えたいとは思っちゃいないが……どのぐらいすれば、少しはマシな思想になるのか……そういう実験をしてみるのも悪くはない……と、思っていたり、いなかったりする、今日この頃、いかがお過ごしですか?」


 などと、中身が一切ない戯言を連打して、

 ラスの全てをあざわらい、踏みにじっていくカドヒト。


 カドヒトの暴力は、一切の迷いがない。

 差別主義者に対して容赦というものが一切ない。


 カドヒトは、ラスの右眼球を、


「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」


 指で潰しながら、


「……『魔人をバカにしていい』『見下していい』『不当に扱っていい』って勘違いを是正するにはどうするのがベストか。俺はこう思う。どっちが上で、どっちが下か、ハッキリさせること。お前は、自分が上だと思い続けてきた。だから、てめぇは、魔人に対してナメた態度を取ってしまう……殺してやるよ、その勘違い。俺は別に、自分のことを、『優れた存在』だとは思っちゃいないが、強さに関しちゃ自信があるんでなぁ。殺し合いというステージにおいては、てめぇが明確な劣等種で、俺が完璧な優等種だってことを……てめぇの細胞全部に刻み込んでやる」


 カドヒトの拷問は鮮烈で豪快。

 ボッコボコにされたラスは、当然のように、くそみそベソをかきながら、


「もう……許して……お願いします……もう……わかりました……反省しました……ごめんなさい……だから……」


 必死になって、幼子のように、許しを請うラス。

 カドヒトは、そこで、ボロボロのラスに、かるく回復魔法をかけた。

 決して慈悲からくるソレはない。

 ……ただ、もう一度、『全力で拷問できる状況』を整えただけ。


 カドヒトのハンマーセッションは、ハンパじゃ終わらない。


「反省するもしないも自由だが……」


 と、そう言いながら、ラスの頭をギリっと掴んで、冷めた目で射貫き、


「……どうせ反省するなら、『頭からいきなり』じゃなく、後からゆっくり・じっくりの方がいいぞ。序盤で反省したって、どうせ、蹂躙は終わらない。俺がお前を壊す時間に変動はない。だから、後半で反省した方が、精神的な被害は少ない……と俺は思うんだが、お前がどう思うかは知らんし、興味もねぇ」


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