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74話 コスモゾーンっつぅのは。


 74話 コスモゾーンっつぅのは。


「あえて『魔力』=『胃袋』ととらえると、少し理解がしやすい。魔力を胃袋に例えた場合、マナは食べ物となる。MPというのは『食べられる容量』であり、魔法攻撃力は『食べたものを効率よくエネルギーに変換できる割合』となるな。ちなみに魔法を世界に放った際、放出されたエネルギーは、『Eマナ』と呼ばれる『呼吸における二酸化炭素』のような粒子となる。『Eマナ』は、『魂魄処理機構』と似た概念である『マナ循環機構』によって、また魔法の元となるマナへと戻る。そうやって、世界のマナはグルグルと循環している。……できれば、魂魄処理機構に関しても、詳細を知りたいところだが、この辺に関しては、さすがに研究不足だな。コスモゾーンにアクセスできれば、色々と解明するんだろうが……正直、無理だな。どんな天才であろうと、それは不可能だろう」


「あの……先生……コスモゾーンって?」


「世界全部を演算している量子コンピュータ。概念的には神。正式には、神のデバイスかな。正直、俺も、この辺はよく分からん。逆に聞くが、リノよ。お前は、コスモゾーンに関して、何を知っている?」


「初めて……聞いた言葉です」


「初めてか、ふむ……コスモゾーンは、確かに『超次元概念』ではあるが、知っている奴は知っているはず…………あー、まあ、でも、お前ら、まだガキだしな。……ちなみに、ラス、お前は知っているか?」


 先ほどの寸止め以降、ずっと、センをにらみつけている眼鏡担当のラスに話を振ってみる。

 ラスは、奥歯をかみしめながら、


「……世界の中心……」


 ちゃんと答えるべきかどうか、悩んだ果てに、

 『無知』だと思われる方がムカつくという判断を経て、

 ラスは、粗雑に、そう答えた。


「認識として間違っちゃいないが、正解でもないな。会社において、パソコンは仕事におけるもっとも大事なパートナーだが、中心かというと微妙だからな。あくまでも、それを使う人間が中心だし……中心であるべきだと、俺なんかは思う」


「あの……先生……」


「なんだ、リノ」


「ぱ、パソコンっていうのは?」


「万能魔カードみたいなもんだ。何でもできる魔法機器。コスモゾーンは、その最大級みたいなもの」


「……すいません、よくわかりません……万能の魔カード……えっと……」


「全ての知識が記録された図書館であり、世界中のすべての生命体と交流できる媒体であり、その上で、膨大な計算を一瞬でこなせる演算力を持ち、その気になれば、世界を作成することも可能な異次元のアイテム、『個人用電子計算機パーソナルコンピューター』。……その究極完全体が、『全世界規模汎用量子計算機コスモゾーン』だ」


「……」


「リノ。コスモゾーンを知ったことで、お前の魔法を扱う能力は底上げされた。よかったな」


「ほ、本当ですか?」


「コスモゾーンの概念を『知っただけ』だと、まだ上昇率はしょぼいが……ここから先の授業で、より詳しい知識を頭に叩き込めば、使える魔法のランクが1~2ぐらいは上がるだろう」


 そんなセンの発言に対し、

 それまで我慢して黙っていたラスが、

 ギリっと奥歯をかみしめてから、


「聞くだけで魔法のランクが上がる知識など存在するものか! 知識の補強など、どれほどのものであっても、せいぜい、回復魔法の回復量を数パーセント増やすぐらいだ!」


 話を聞いただけで使える魔法のランクが1~2上がる、

 というのは、

 『俺の話を聞けば、それだけで、偏差値が30上がりますよ』と言われるみたいなもの。

 そんなものを信じられなくて当たりまえ。


「下手だなぁ、ラスくん。へたっぴさ。世界に対する認識の仕方が、あまりにもへた」


「あぁ?!」


「こんなにいい教科書を使っているというのに、君は、まったく活かしきれていない」



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