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66話 俺の下には誰もいない。


 66話 俺の下には誰もいない。


「助けて。ごめんなさい。助けて。もうしません……であっているかな?」


 何度も何度も首をたてにふるハロ。

 そんな彼に、センは、


「お前みたいに、『反省』を口にする奴に対し、俺は、絶対にこう言ってやると決めている」


 スゥっと大きく息を吸ってから、


「反省するくらいなら、最初っから、アホなことするんじゃねぇよ、ボケがぁあああああ!!」



パァアアアアンッッ!!



 と、空間中に響き渡る豪快なビンタで、ハロの頬をしばきあげたセン。

 音と衝撃はハンパじゃないが、しかし、ダメージの方はそこそこ。

 心と魂の芯にだけ響き渡るような張り手。

 あまりにもバキバキが過ぎる闘魂を注入されたハロは、


「っっ……ぐっ……ほへんははい……ほへんははい」


 と、何度も、何度も、自分の非を詫びる。

 そんな彼に、センは、


「普通の教師モノなら……生徒が反省して謝った場合、その過ちを、優しくゆるしたりするんだろうが……しかし、残念。これは、普通の教師モノじゃねぇ。俺は普通の教師をする気は微塵もねぇ。もっと言えば、教師的な何かしらをする気なんざ一切ない。俺はどんな時、どんな状況、どんな職種についた時であろうと、絶対に俺であることをやめない」


 そう言いながら、センは、魔力とオーラをさらに深く練りあげて、


「……『最強』以外にも、もう一つだけ教えてやるよ。『過ち』が『ごめんなさい』で許される世界なんざねぇってことを。この俺様の頭にハンマーをぶち込んだ罪が、ごめんなさいで許されるわけがねぇ。あと、『魔人ガー魔人ガー』って差別しまくってきたことも普通に許さねぇ。これから、俺は、お前をとことん壊す。さあ、てめぇの罪を数えろ」


 そう言いながら、センは、

 ハロの頭を掴んで、

 何度か、地面にたたきつけた。


「うぼっ、ごべっ、ぐへっ!」


「うひゃひゃひゃ! どうだ! 辛いか! 苦しいか! この程度で終わらんぞ、虫ケラめ!」


 と、悪魔みたいに笑っているセン。

 ハロの顔面をしっかりと砕いてから、

 センは、


「治癒ランク20」


 すべての傷を回復させた。

 とてつもなく高ランクの魔法を使われた……と理解したハロは、


「ら、ランク20……?」


 混乱する。

 痛みからの急激な解放。

 理解できないほど高ランクの魔法。

 振り回された脳内はパニックのるつぼ。


「あり……えない…………龍神族の御方々でも……魔法のランクは……7か8が限界のはず……20とか……そんな……」


「カスみたいな力しか持たないテメェらからすれば、まあ、ありえない領域だよなぁ。けど、俺にとっちゃ、この程度の魔法は『朝飯後の歯磨き』とタメをはる。本気出せば、もっともっと遥かに高位の魔法も使えるぜ」


「……」


「その気になれば、全人類を秒で皆殺しにできるほどの圧倒的な力を持った破壊と殺戮の神。それが俺、ダークセンエース様だ。覚えておきな、ボーイ」


「殺戮の神……ダーク……センエース……」


「神とダークは忘れてくれや。いつもの病気が発動しただけだから」


「……?」


「わからないってツラをしているな。正解だぜ。誰も俺の言動は理解できない。俺はそういう遠いところにいる。まあ、距離が遠いだけで、高みって訳じゃなく、地下に潜ってんだけどな。下には下がいる、という名言があるが、しかし、ところがどっこい、俺の下には誰もいねぇ。天は俺の下に人を創らず」


 そう言ってから、

 センは、先ほどからずっと掴んでいた『ハロの頭』から手を離す。

 そして、少しだけ距離を取ると、


「構えろよ、ハロ。まだ、俺の授業は終わっちゃいねぇ。ファントムトークを聞き流すだけで終わるほど、『俺の授業を受けるカロリー』は低くねぇ。大学の嫌な教授ばりに、厄介な課題を押し付けていくウザ教師。それが俺、センエース様さ。ま、知ったような口をきいちゃいるが、俺、大学いったことないんだけどね。なんせ、高校中退なんでね。やべぇな。高校中退が最終学歴とか、ヤンキーが過ぎるぜ。アイデンティティ的にはガリベン君だったんだけどねぇ」



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