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65話 うるさいヒヨコ。


 65話 うるさいヒヨコ。


「これが、普通の教師モノだったら……生徒に、ここまでのことはしないだろう。だが、この『頭おかしい世界選手権無限連覇中のセンさん』に、そんな常識は一ミリたりとも通じねぇ」


 グリグリと、ハロの頭をふみにじりながら、


「知性が終わっている、勢いだけの猿ヤンキー……これから、てめぇに、一個だけ教えてやる。……なんせ、俺も一応、教師だからな。暴れるだけじゃなく、『教える』ことも、最低限はやっていく構えなんよ。俺の常軌を逸したハンマーセッションに心底から震えてくれや」


 そう言い切ってから、

 センは、ハロの頭を掴み、

 グっと持ち上げると、

 ハロを冷たい目で睨みつけ、


「……『最強』を……教えてやる。運がいいな。これほど贅沢な授業を受けられるスチューデントは、世界中見渡しても、なかなか見当たらないぜ。ユーアッ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィイ」


 そう歌いながら、

 センは、ハロの額に、パチンと、軽めのデコピンをぶちこんだ。

 はためには、子供のデコピン。

 指が弾く音も、『ぽんっ』という非常に軽いもの。

 外から見ている分には、全然痛そうではない、そのデコピンを受けて、

 ハロは、


「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 バグったような悲鳴が止まらない。

 頭を粉砕された……ように感じたらしい。

 まったく砕けてはいないし、傷の一つもついちゃいないのだが、


 しかし、当人は、頭蓋骨が完全に破裂して、脳が飛び散った……と、感じたらしい。

 だから、


「ぎゃああああああ! ぎゃあああああああああああああああああ!」


 『麻酔無しで親知らずを抜いている患者』ぐらい暴れ回るハロ。

 そんなハロの口を右手で強制的にふさいでから、

 センは、


「ピーピーうるせぇヒヨコだ……軽い挨拶しかしてねぇのに、そんな、世界の終わりみたいな顔してわめくんじゃねぇよ。言っておくが、まだイントロでもねぇんだぜ。まだまだ、朝飯前のアクビを始めたところだ。俺の授業はここから始まる」


「ふぐ……うぐ……っ!」


 大量の涙を流しながら、『助けて』と言わんばかりに首を何度も横にふるハロ。

 腹パンとデコピンの二撃で、もう完全に心が折れている。

 しかし、魂が折れたぐらいで許すほど、

 センの心は広くないようで、


「んー、いい表情だ。絶望と恐怖に歪んだ顔……『これから待っているであろう地獄』に怯えている目……その目だ……その研ぎ澄まされた深いおそれだけが、俺のかわいた心を癒してくれる」


「は、はふへへ……」


「ん? 『助けて』かな? 今、お前が言ったセリフは」


 そんなセンの問いに、ブンブンブンブンと、何度も首をたてにふるハロ。

 センは、ニィっと黒い笑顔を浮かべて、


「もし、仮に、俺が、お前よりも弱く……お前の暴力に対して『許し』を請うた時、お前は俺を助けたかな?」


「……」


 ハロは、一瞬だけ、何かを考えてから、

 コクリと、ゆっくり首を縦に振った。

 その様子を見たセンは、


「お前のことをよく知らんから、その肯定がガチかどうか判断に困るな……どうだろう……実際のところ、お前はどっち側の人間なのかなぁ……暴力的なヤンキーであることは間違いないが……極悪人かどうかは、現段階だと、分からんなぁ……」


「はふへへ……ほへんははい……はふへへ……ほうひはへん」


「助けて。ごめんなさい。助けて。もうしません……であっているかな?」



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