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54話 落ちこぼれ3組。


 54話 落ちこぼれ3組。


 センが受け持つことになった3組は、いわば落ちこぼれクラス。

 使い物にならないカスが集まったゴミ箱。

 ジバと、ビシャも、もちろん、3組の所属となる。

 この二人の場合は『能力が劣っているから』ではなく、

 『身分が劣っているから』というのが配属理由。

 魔人は徹底して差別を受ける。

 それがこの世界の基本摂理。


(ダメクラスを立て直すために、頭おかしい暴力型のヤンキー先生が送り込まれる……なんだか、とってもグレートティーチャーができる予感)


 などと、心の中で、ボソっとつぶやく閃光。

 ……センエースの、グレートな時間が幕を開ける。




 3組の教室の前までやってきたセンは、

 一度、深呼吸をして、軽く身なりを整えてから、

 ガラガラっと、扉を開けた。

 3組の教室は、大学の講義室と似ていて、階段状になっており、

 『7人(十代中盤の男女 )』 ほどの学生が、おのおの席に座っていた。

 7人の生徒は、教室に入ってきたセンの顔を、ジっと睨む。

 続いて、センの背後にいる魔人兄妹にも視線を送り、

 そして、近い席にいる者同士で、ひそひそと何か会話をし始めた。

 センは、『嫌な感じでザワついているクラス』をみわたしながら、

 教壇の前に立つと、7人全員を見渡す。

 そして、


「どいつもこいつもバカ面ばっかり、お前ら、一生負け続けるな」


 と、初手で王手を仕掛けていく。

 かなり気合の入った、そのエモーショナルなメッセージを受けて、

 この3組で一番の実力者であり、そして、一般的に『不良』と呼ばれているポジション

 についている巨漢猿顔の『ハロ』が、立ち上がって、センの元まで歩く。

 かなりガタイが大きく、筋肉質で、顔も気合いが入っている。

 そんな、ムキムキ型ヤンキーのハロは、


「ナメんな、ボケ」


 と、巻き舌でそう言いながら、

 気合いの入った拳を、アッパーで、センの顎に叩き込んでいく。

 顎を殴り上げられたセンは、天を仰ぐ。

 首が吹っ飛ぶほどの勢い。

 手ごたえありと感じたハロは、

 さらに、拳にオーラを込めて、


「おらおらおらぁ!」


 と、センの腹部にフックの左右連打を叩き込み、


「どらぁあああっ!」


 最後に、センの胸部に、渾身のストレートをぶち込むことで、センの体を吹っ飛ばす。

 黒板に激突して、ゴフっと、口から血を流すセンに、

 ハロは、勝ち誇った顔で、


「てめぇの方がよっぽどバカ面じゃねぇか、死ね、クソ魔人が。魔人の分際で、この俺様に、ナメた口きくな」


 そう言って、センにツバを吐き捨てる。

 センは、


(ほかの連中は20の後半ぐらいなのに……あの猿顔は、存在値38……あの猿だけ、異常に数値が高いな……)


 心の中で、そんなことをつぶやきながら、

 ゆっくりと立ち上がって、

 首をポキポキっとならして、

 軽くよろめきながら、両手でお腹をおさえて、


「いやー、強いなぁ、ぼくぅ。……おじさん、やられちゃったよ。はっはっは……」


 その、『完璧な煽り』にイラっとしたハロは、

 センの胸倉をグイっと掴んで、


「てめぇ、ナメてんのか、ごらぁ」


 と、すごんでくる彼に、

 センは、


「まあまあ、落ち着けよ、ボーイ。まだ、慌てるような時間じゃない」


 などと言いながら、

 センは、自分の胸倉をつかんでいるハロの手にソっと手をあてる。

 その瞬間、ハロは、


「っっ?!」


 ゾクっと、背筋が凍った。

 全身の血に不純物でも混じったみたいに、ゾワっと、感覚器の全てに特異な反応が見られた。

 だから、ハロは、バっと、鋭いバックステップで、センから距離をとる。

 教室の一番後ろまでバックステップを決めると、

 センに触られた手をジっと見つめる。


(な、なんだ……)


 本能的な行動でしかないので、

 理性上では『自分がなぜこんな行動を起こしているのか』が、さっぱり理解ができない。

 ハロは、


(さ、寒い……なんで……)


 全身の身の毛がよだち、

 重たい風邪でも引いたみたいに、

 体に、ブルブルと寒気が走る。


「てめぇ、クソ魔人ごらぁああ! 俺に何したぁあああ!」





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