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53話 尊き思想。


 53話 尊き思想。


「幻術? 私にも、あの者の頭から血が流れる様が見えていたのですが?」


「高位の幻術は、当人だけじゃなく、周囲にいる者の認識にも影響を与える。さっき、あのニスンとかいうカスに使ったのは、幻影邪眼ランク20。同格相手にはまったく使えない『カスみたいな魔法』だが、ゴミ相手だと十分使える」


「そ、それほどの異常に高位な魔法を……あのような雑魚が解呪できるのですか?」


「できるわけがない。あいつが受けた呪いは、ほとんど永遠だ。今後、あいつは死ぬまで、一生、『他人にいやがらせをするたび』に、『頭から血が流れる』という幻を見続ける。あいつがどんなに鈍感なアホでも、いずれは気づくだろう。『他人に迷惑さえかけなければ、頭から血が流れることはない』という事実に」


「……」


「人は、痛みを経験しなければ学習しない生き物だ。バカは殴ってしつけるのが俺の流儀。『嗜虐心を満たすための体罰』は『許されない暴力事件』だが、バカを相手にする場合、『しつけ』は絶対に必要。『どんな時でも絶対に暴力は許されない』とか、そんなバカな話があるわけねぇ。……ちなみに言っておくが、俺は、あくまでも持論を垂れ流しているだけで、自分の言っていることが正解だとか言っているんじゃねぇぞ。そこは誤解するな。俺は、俺が思う通りに生きているだけ。そこに正解もクソもない」


 などとそう言いながら、けらけらと笑うセンに、ビシャが、


「一つ質問があります。セン様」


「なにかな、ビシャ君」


「なぜ、そのような『回りくどい罰』をあたえるのですか? 『どうせクズはクズなのだから、殺してしまえ』……とは思われないのでしょうか?」


 ※※「殺すときもあるさ。『殺さないと処理できない巨悪』と……『何があろうと絶対に反省しない根っからの極悪で、生かしておくとマジで公害になるだけのクソ』の場合は殺す。ただ、今の俺にとって、前者はなかなか出会えないし、後者はマジで滅多にいねぇ。『ちょっとやそっとのことじゃ反省しない悪人』ってのは腐るほどいるが……『マジで根っからの完全な極悪』ってのは、意外と少ねぇ。いないわけじゃねぇけどな」


「……」


「少なくとも、さっきのニスンちゃんは、そこまでの極悪じゃねぇ。根本が小物だから、『程度の低さ』もたかが知れている。そういうやつは殺さない。罰はあたえるが、過剰な暴力は振るわない。『過剰なリンチ』は、俺が忌避する『嗜虐心を満たすための体罰』だから。俺は、俺が不快に思うことはしない」


「なるほど。セン様の尊き思想……承りました」


「ちゃんと聞いてた? 何一つ尊くねぇだろ。気分悪くならない程度に好き勝手します、っつってるだけだぞ」


「ただ、一つ……」


「え、なに?」


「私たち兄妹は、頭を下げる程度のことは慣れとります。セン様は、大義のために、ここにきとるんですから、私たち兄妹のことなんか放っておいて、その大義に集中していただきたく存じます」


 ビシャの言葉に続いて、ジバがゆっくりと首をたてにふった。

 二人の覚悟がガン決まった目を見て、

 センは、数秒考えてから、


「……あ、そ。まぁ、お前らがいいなら……じゃあ、次から、そうする。ただ、あまり理不尽な目にあうのを我慢する必要はない。この学校でおこったこと、すべて、俺に報告しろ。もし、誰かにイジメられたら、それはちゃんと報告しろ。適切に対応するから」


 その言葉に対し、

 ビシャは、首を横に振って、


「過保護は必要ありません、セン様。自分のことは自分でやります。セン様は、大義に集中してください」


「……はいはい」


 と、軽い返事をしながら、

 センは自分が受け持つことになった『3組』へと向かう。

 ちなみに、ダソルビア魔術学院のクラスは三つに分かれており、


『優秀貴族1組』

『中間層の2組』

『最底辺の3組』


 この三つであり、センが受け持つことになった3組は、いわば落ちこぼれクラス。



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