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49話 エトマスの暴力。

昨日、投稿できていなかったので、

本日2話投稿させていただきました。

――一応、50~100話のどこかで、隔日投稿に切り替える予定ですが、

昨日のは普通にミスです。

申しわけありません<m(__)m>


 49話 エトマスの暴力。


「プライドの塊っすねぇ……何がそんなに気に入らないのか知りませんが……まあ、はいはい、わかりました。大人になってあげますよ。どうも、すいませーん」


「……不愉快」


 そう言うと、エトマスは、何度も、何度も、センを殴りつけていく。

 センの顔面が、真っ赤に腫れて、血がダラダラと流れていく。

 ほとんど殺すつもり……そのレベルの暴力だったのだが、

 しかし、『そこそこのダメージ』しか負っていないセンを見て、

 エトマスは、眉間にシワをよせながら、


「確かに、耐久性はそれなりみたいね。私の本気の拳をこれだけ受けて死んでいないのは見事と言ってあげましょう。……『ワガママで猟奇的なクロッカ様』の『犬』としては合格といったところかしら」

 

 などと言いながら、エトマスは、さらに、センの顔面に拳を叩き込んでいく。


「あなたがクロッカ様の犬だということは理解している。クロッカ様が私よりも上位の存在であることも、当然、理解している。だから、あなたを学院にねじ込むというワガママを聞いてあげた。きかざるをえなかった。……仕方なく、我慢して、受け入れてあげている……という前提を絶対に忘れないように。もし、クロッカ様のワガママでなければ、私があなたを受け入れるということは絶対にありえなかった」


 さらに、エトマスの暴力が加速していく。

 ――『本来』であれば、『ここまで殴る予定』ではなかった。

 ……最初から、『数発だけは殴る予定』だったのだが、しかし、センの目が気に入らなかったエトマスは、『当初の予定を大幅に超える暴力』を、センに浴びせることになった。


 当初は、『多くても2~3発』しか殴らない予定だった。

 『それ以上はやりすぎになる。殺してしまうのはダメ』と頭ではシッカリと理解しているから。

 ……クロッカから『私の犬にちょっかいをかけるな』と言われているが、しかし、その

 命令を100%、黙って受け入れる必要はない。

 そこまでの義理は、エトマスにはない。

 もちろん、『追い出す』とか『殺す』とか、そこまですると問題になるが、

 しかし『態度が悪いので殴ってしつけた』というのは、

 全然、まったく、問題にならない範囲……

 ……だと、勝手に認識しているエトマス。

 ※ ちなみに、この点に関しては、タンピマスから、『その程度なら許される』というお墨付きをもらっている。タンピマスは、龍神族の前だと日和る傾向にあるが、『この程度は問題にならない』という言い訳をするときのサポート要員ぐらいはしてくれる……はず。と、エトマスは認識している。


 だから、エトマスは、『センの態度』を理由に拳をふるった。

 ここまでは、当初の予定通り。

 なんだったら、部下を使ってリハーサルをしたぐらい。

 だから、『想定を超えて殴ってしまっている途中』で、


(これ以上は、さすがに、問題になるだろうか……)


 という、理性が働こうとしたのだが、

 しかし、センの目を見ていると、

 自身のヒステリーをおさえることが出来なかった。

 センの目は、愚かな犬の目ではなく、

 まるで『魂の深部を貫いてくるような、心底不快な目』だった。


「その目をやめなさい。下等で醜い魔人ふぜいが……まるで、私を品定めでもしているような……不愉快、不愉快、不愉快……」


 殴っている間に、アドレナリンが出てヒートアップする……というのは、彼女だけの特

 別ではなく、誰にでも起こりえる普遍的な感情の暴走。

 ただ、そんな一般的な『精神の過熱』を遥かに超える大暴走に至った原因は、

 センの目が、あまりにも不愉快だったから。

 魔人は、卑屈な目をしていなければいけない。

 エトマスにとって、魔人とは、文字通り、『極めて下等な生命体』であり、生きる価値のないもの。

 十七眷属や龍神族という上位種が、寛大な心で、生存を認めているから、なんとか生きることが許されている虫けら。

 それなのに……それだというのに、その目はなんだ?



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