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34話 脅し。


 34話 脅し。


「あなた様の素晴らしいパワーが、見る影もない……ちゃんとケガをなおして……冷静になって……それでも、まだ、俺に、何か言いたいというのであれば、その時に話を聞きますよ。というわけで、ほら、ほら、寝てください」


 そう言いながら、

 センは、オンドリューの巨体を、


「うおっ!」


 片手でヒョイと持ち上げると、

 そのまま、軽いステップで運び、

 潰したアルミ缶でも捨てるみたいに、

 ポイと、ベッドに投げ捨てる。


「安静にして、ちゃんとケガを直してくださいよ、オンドリュー様。そうじゃないと……」


 そこで、センは、オンドリューの顔の前に顔をさしだす。

 鼻と鼻が触れ合うぐらいの距離で、

 センは、黒い笑みを浮かべ、


「……『突如出現した謎の敵的な何かしら』とかに……プチっと踏みつぶされちゃいますよ」


 冷たい声で、そう言った。

 その声の『裏』にある『重たい圧力』を感じて、

 オンドリューは、


「……ひっ……」


 根源的な恐怖に震えた。

 巨大な恐竜を前にしたアリの気持ちが理解できたような気がした。

 この場においては、自分こそが『圧倒的な弱者』であると、

 この段階にきて、ようやく理解するオンドリュー。

 震え始めたオンドリューの姿に満足したのか、

 センは、ニコっと柔らかに微笑んで、


「それじゃあ、俺はいきますから。ちゃんと寝ていてくださいね。そうだ。怯えているオンドリュー様が安眠できるように、ここに俺の召喚獣を配置しておきますね」


 そう言いながら、センは、ガリっと親指を噛み締めてジワっと血を流す。

 『グジュグジュとにぶく響く痛み』を感じながら、

 センは、空間に対して、簡素なジオメトリを描くと、

 その魔方陣に魔力とオーラを注ぎ込み、


「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」


 第一アルファ流の召喚系呪文を唱える。

 『この呪文を唱えなければ召喚できない』……というわけではない。

 センは、ノリと感覚を大事にしている粋な男……という、それだけの話。


「いでよ! エルダーワンダーナイト」


 呼ばれて飛び出てジャジャジャジャンしたのは、

 最上級の星霊種。

 ※※エルダーワンダーナイト。

 その存在値は、基本的に、100を超えている。

 センによる召喚カスタムを受けているエルダーワンダーナイトは、かなり良個体でもあるため、存在値は120クラス。

 つまりは、『パルカ(存在値120前後 )』 とほぼ同等という、この世界においては、世界最高級の強さを持つ。


 そんな、エルダーワンダーナイトを目の当たりにしたオンドリューは、

 目を丸くして、ワナワナと震えながら、


「エルダー……ワンダー……ナイト……最上級の……モンスター……バカな……十七眷属筆頭の召喚士ラーズですら、上級モンスターのワンダーナイトの召喚が限界なんだぞ……ラーズは、その気になれば、龍神族の面々とも互角にやりあえる最高格の召喚士……そんなラーズですら不可能な領域……なのに……あ……ぁ……」


「ラーズも、そこそこやる男ですが、しかし、俺が誇るエースモンスターのエルダーワンダーナイトを前にすれば、裸足で逃げ出すしかないでしょう」


 『エルダーワンダーナイトがエースモンスターである』という嘘を臆面もなく堂々と言ってのけるセン。


 ※※センにとっての、本当のエースモンスターは、超王級の『レイザーパラディン・アストラル』。

 その存在値は余裕で200を超えており、

 パルカとクロッカを同時に相手取って、秒殺できるほどの力を持つ。


「かなり強いので、護衛として問題は皆無でしょう。ただ、エルダーは、少々、融通がきかず、俺の命令を忠実に守ろうとしすぎるあまり、『やりすぎてしまう』ということが多々あります。今回、俺は、『安静に寝ている人がオンドリュー様であり、動く者は敵だ。ちょっとだけ動く者は訓練された敵だ。敵は、全力で排除しろ。容赦するな』という命令を下しておりますので、オンドリュー様が下手に動いた場合、オンドリュー様を『敵だ』と誤認してしまう可能性があります。ですので、決して動かず、療養に完全集中なさってください」



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