335話 死ね、センエース。
335話 死ね、センエース。
「これだけの決定的な戦力差で、まだ抗おうとするとは……ランディア、お前は、もしかしてバカなのか?」
闘いの途中で、
カドヒトが、ランディアに、そう言葉を投げかけた。
それに対し、ランディアは、
「……こちらの大将がまだ諦めていないからな。あたしも、もう少しだけやってみるさ。……しかし、カドヒト……貴様はなぜ生きているんだ? この前、センエースから受けた傷は、相当な致命傷だったはずだぞ」
「俺の不死身ぶりをナメてもらっちゃ困るな。俺は無敵で不死身で最強。つまり、てめぇは最初から詰んでいたんだよ」
「……っ」
苦い顔をするランディアの視界の隅で、
センエースがスギナの猛攻を受けていた。
「死ね、死ね、死ね、センエースぅう!」
怒りと殺意でリミッターを外した『超越的な暴力』で、
センエースをどんどん押し込んでいく。
「ぐぅ!」
ぐうの音しか出なくなったセンに、
止まらない連打を浴びせるスギナ。
スギナは、バキバキの目で、
「センエース! てめぇは、盟主を殺しかけた! 傷ついた盟主をみて、あたしの心臓は止まるかと思った! てめぇだけは……てめぇだけは、絶対に!! 絶対に許さなぁあああああい!!」
バチギレをどんどん燃え上がらせていく。
激情型の怪物……スギナ。
スギナの猛攻に対し、ギリギリの対処をしながら、
センは心の中で、
(カドヒト、慕われてんねぇ……なんで、『本体の俺』は『周囲からめっちゃ嫌われている』のに……『劣化版の分身』は、こんなに愛されてんだよ……意味がわからん……)
などとつぶやきつつ、
『さて、どの程度の反撃をしたものかな』と真剣に頭を使う。
今回の『顛末』は、すでに頭の中で出来上がっている。
あとは、シナリオ通りにコトを進めるだけ。
頭の中で、もろもろを計算しつつ、
「うらぁあああ!」
センは、スギナの猛攻に、カウンターの拳を合わせていく。
的確にスギナの頬をえぐる、センの拳。
グニャリとスギナの肉が跳ねて、グジャリと骨と歯が砕ける。
「ぎぃいいい!」
それなりのダメージを受けたスギナは、
その痛みにより、むしろ、冷静になったのか、
「ふしゅー、ふしゅー」
と、何度も、深く長く息を吸ったり吐いたりを繰り返す。
その間も、その獰猛な瞳は、センエースをとらえて離さない。
殺す気満々の目。
絶対に命を刈り取ってやる……と、その眼球が叫んでいる。
……スギナとセンエースがボカボカ殴り合っている間、
ランディアは、カドヒトに詰められていた。
ランディアは、
「うぅうう!」
どうにか抵抗しようとするのだが、
「ふふん。ほりゃ」
すべての抵抗を、カドヒトは、半笑いでいなしていく。
(……だ、ダメだ……つ、『強さの質』が……あまりにも違いすぎる……アイテムが足りないとか、そんなこと関係なく……単純に、こいつ……カドヒトが強すぎる……センエースは、よく、こんな化け物に勝てたな……)
改めて、センエースの破格の強さに驚くランディア。
視界の隅では、今も、センはスギナと激闘を繰り広げている。
その一挙手一投足を見て、
普通に惚れ惚れした。
見れば見るほど美しい武。
常軌を逸した輝き。
命の最果て……と表現したくなるほどの華麗な舞い。
センエースに見とれていると、
カドヒトが、
「俺と戦っている間によそみとは……なかなか豪胆な女だな」
などと言いながら、ランディアの側頭部に裏拳をダイレクトアタック。
ガツゥィン!!
と、豪快に吹っ飛ばされるランディア。
一瞬、意識が飛んだ。
あまりにも強烈な一撃だった。
「うぃいいい! うぉおおおお!」
殴られた箇所を両手でおさえて悶絶するランディア。
そんな彼女の頭を、ガシィっと踏みつけながら、
「苦しいな、ランディア。大変だな、ランディア。痛いなぁ、ランディア」




