231話 てめぇで勝手に想像しろ。
231話 てめぇで勝手に想像しろ。
無詠唱で使っているので、『今センがどれだけ異常な魔法を使っているか』を、パーリナンやカイがデジタルに理解することはない。
しかし、パーリナンはアホじゃないし、魔法というものに、かなり精通している方ではあるため、その魔法のイカれた波動から、センが、今、えげつないほど膨大な魔法をつかっているということは理解できた。
体育館を埋め尽くす札束の山を見た気分……とでも言おうか。
どれだけの額か、デジタルにはまったく分からないが、
『やばい額である』ということぐらいは分かる。
パーリナンは、ゴクっとツバをのみこみ、
「な、なんですか、その魔力……先ほどの……欠損治癒ランク11の魔法よりも……遥かに濃密で……禍々しい波動……」
「いいセンサーをしているじゃないか、パーリナン。お察しの通り、俺は、今、ランク100の魔法を使っている」
「……ひゃ、100?」
「もちろん、冗談だ。多分だけど、そんなランクの魔法は存在しねぇ。魔法ランクのMAXは『30』じゃねぇかなぁ、と俺は睨んでいる。実際のところどうか知らんけどな。俺はまだ、その高みに達していないから」
「……」
「俺が具体的に、どのぐらいの魔法が使えるかは教えてやらねぇ。てめぇで勝手に想像しろ」
と、スーパーなセリフを口にしてから、
「ただ、俺がその気になれば『ランク11以上の魔法が確定で使える』とだけ言っておく。どうだ、すごいだろう? サインが欲しいなら、キャンペーンに応募してくれ。抽選で選ばれた3名様にプレゼントする予定だから」
そんなセンのイカれたセリフはシカトして、
『センの膨大な魔力』にのみ釘付けになるパーリナン。
見れば見るほど、異常で豪快で極端な魔力。
センの、狂ったような魔力を目の当りにしたパーリナンは、
呆けた顔で、
「神……」
と、思わず、ボソっとつぶやく。
そんな彼に、センは、ニっと笑い、
「ちょっと強い力を見ると、すぐに神扱いか。安易だぜ、パーリナン」
強大な魔力で、じっくりとヒークルを呪いつつ、
センは、一度、天を仰ぎ、
「実際のところ、どうなんだろうなぁ……神ってのがいるとして……俺は、それ以上なのか、それとも、まだ届いていないのか……」
空にいるかもしれない誰かを、一瞬だけ、目で探してから、
「ま、どっちにしろ、俺は神じゃないし、神になれたとしても神になる気はねぇ。『神という上位種族に進化する』ってだけなら、別にいいんだが……いわゆる『神様』のポジションにつく気は毛頭ねぇ。その仕事は、王よりめんどくさそうだからな。俺は神にも王にもなる気はない。そんなダルさを背負えるほどの器がない。……俺は、いつだって、どこに到って、どんな状況だろうと、常に、『ただのヤバすぎる怪物』……それでいい。それがいい」
そう言い終わったタイミングで、
ヒークルに呪いをかけ終わったセン。
センは、ニっと笑い、
「とりあえず、このバカには、えぐい呪いをかけてやったぜ。簡単に言えば、俺以外の魔人に悪意をもって接しようとすると頭が割れそうになる呪い。これで、こいつは、もう、魔人をイジメることができない」
その発言を受けて、セラフが、
「なぜ、セン様に対する暴力は封じないのですか? このカスの拳が、あなた様を傷つけることなど、ありえないでしょうけれど、配下の身としては、ダメージを受ける・受けないというのは関係なく、王がカスに殴られているところなど、見たくはないので、出来れば、セン様に対する暴力も封じていただきたいところなのですが」
「一応、こいつのことは査定していくつもりだからな。俺に対する言動は封じない。ムダ査定になるだろうが、一応、この辺は俺のルール。俺は俺のルールを遵守する。それだけの話」




