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205話 交渉。


 205話 交渉。


「本来であれば、魔人が戦闘団や領土を与えられることが、そもそも、ありえない話。……しかし、可愛いクロッカの頼みを無碍にもできないから、仕方なく受け入れてやった。もっと言えば、魔人風情が、この私とまともに話をすることもありえない。これだけ、信じがたいほどの恩恵や恩寵を得ていながら、『まだ足りない、もっとよこせ』などと駄々をこねるとは……信じがたい暴挙だ。その愚かしさは、斬首に値する」


(まあ、こうなることは分かっていたから、なんの感情もわかないな……予定調和の茶番ほど退屈なものはない……)


 センは、心の中でため息をついてから、

 ガリオに、


「首を切られる……となれば、当然、暴れますよ。大事にされているうちは、カワイイ犬らしく尻尾を振っていますが、暴力を振るわれるのであれば、身を守るために、牙むき出しの狼になります」


「これは面白いな。ここで私を殺すと?」


「殺すのは無理だと思いますよ。けど、致命傷を与えることはできると思いませんか? ご存じの通り、俺は異次元砲が使えます。貫通属性の魔法だから、ガリオ様の防御力がいかに高かろうと、関係なく、大ダメージを与えることが可能。そして、これまたご存じの通り、最低でもランク7の魔法が使える。俺が命を賭して、全ての魔力を注いだ異次元砲を放った場合、どれだけの被害が出ると思います?」


「……」


「そして、逆に、その苛烈な一撃を、ガリオ様の『敵』に放った場合、どうなるかも考えて欲しいところですね。いうまでもなく、相手は死にます。死なない敵もいるでしょうけど、大ダメージを負わせることは可能です」


「……」


「俺ほどの優秀な兵器を、感情だけで、放棄すべきかどうか。……愚かしく己自身に向けて無意味に大ケガを負うか……それとも、敵に使って利を得るか。『だいぶアホな俺』を下回る『相当なバカ野郎』でもない限り、答えは決まっていると思いますが……どうです?」


「……いい交渉だ。悪くないぞ」


 そこで、ガリオは考える。


(……我が強すぎる。コレは、コントロール出来ない。極めて厄介な狂犬。だが、本人が言うように、餌を与えていれば……忠実で有能な番犬にもなりえるか。カドヒトや、『予言の邪神』のような、『面倒な外敵』の処理を、こいつに一任するというのは、正直、最善の一手だと思う。殺すにしても、敵にぶつけて玉砕させた方が絶対に賢い)


 と、そこで、センは、最後に、


「俺は、大事にしてもらえるのであれば、盛大に活躍し続けますよ。どんな面倒な敵が現れても、俺は死力を尽くして抗い続ける。――エトマス様や、パルカ様から聞いていませんか? 俺は、カドヒト相手に、勝ててはいませんが、ボロボロになっても挑み続けて、何度も撃退しております」


(カドヒトの強さは、これまでの動向から計算するに……おそらく、存在値100前後。この犬とほぼ同等。潰し合ってくれるのが理想。カドヒトとセンエースが潰し合い、ギリギリのところで、センエースが勝利。そのままの流れで、邪神相手にも奮闘してもらい、自爆特攻で相討ちしてもらう……これが最大の理想)


「さあ、プレゼンの時間は終了です。そろそろ答えを聞かせてもらいましょうか、ガリオ様。どうしますか? 俺という銃口を、自分に向けますか? それとも――」


「貴様の望み通り、貴様を飼ってやろう。光栄に思え」


「……賢明な判断だと思いますよ、ガリオ様」


「光栄に思えと言っている。偉そうにモノを言うな。貴様の望み通り、貴様という道具をある程度は大事に取り扱ってやる。だから、当然の敬意を示せ。私はこの世界を統べる龍神族の当主『ヌアマリン・ロプティアス・ガリオ』である。頭が高い。ひれ伏せ。犬なら、犬らしくせよ」



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