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202話 存在値100の犬。


 202話 存在値100の犬。


 微調整を施した雷撃を放つ。

 バチバチっと鋭い音をたてながら、ガリオに直撃した雷撃。

 ガリオは、普通に、そこそこ痛かったのだが、

 なんともなかったような、すました顔をして、


「もしかしたら、『カソルンを倒したという噂の異次元砲』を使ってくるかと思ったが……流石にそこまでバカじゃなかったか」


「異次元砲は貫通属性の魔法ですからねぇ。どれだけ魔力を弱く調整しても、確実にダメージを与えてしまう。ダメでしょ、こんな『ちょっとした面接』で、ガチのケガをさせちゃうなんて」


「多少は知恵もあるか。ただの犬ではないな。まあ、クロッカが拾った犬なのだから、それはそうだろうが」


 そう言いながら、

 ガリオは、先ほどセンから受けた『雷撃ランク7』の威力を、頭の中で振り返る。


(あの魔力……存在値100以上はあるか。とてつもない力。……ランク7……それが限界か? ランク8は……流石に無理……だと思うが……どうだろうな)


 などと、センの実力について、軽く考察しつつ、

 センに、


「貴様の実力は、ラーズより上だな。……十七眷属最強の魔法使いよりも、下賤な魔人でしかない貴様の方が強いという、この事実。信じがたいが……目の前で証拠を見せつけられてしまった以上、疑うことはできんな」


 ラーズは、十七眷属の筆頭。

 存在値90を誇る、『龍神族以外では最強格』の大魔法使い。

 戦闘力が高いだけではなく、聡明で、相当な人格者でもあるため、当然、龍神族からの信頼が最も厚い超人。


「しかし、ラーズよりも知性は低い。貴様も、最低限の知恵は回るようだが……それ以上ではない様子。『バカの中ではマシな方』という評価が精々だろう」


 センは、ガリオの総評を受けて、


「お察しの通りです、ガリオ様。俺、頭悪いんですよ。必死に修行してきたんで、そこそこ、腕は立つんですけどねぇ。魔力やオーラは鍛錬しだいでいくらでも伸びますけど……『頭の出来』って、ほら、生まれつきでしょ? 鍛えようがなかったんですよ」


「……十七眷属最高格のラーズよりも優れた力を持つ魔人……クロッカが面白がるわけだ。私も、だんだん、お前のことが面白くなってきたよ。……わざわざ、こんな『頭の悪い方法』で、自分の力をプレゼンする、そのイカれ方……」


「面白いでしょう? どうです? 飼います?」


「既に、貴様は、クロッカとパルカに飼われているはずだが?」


「家族総出で可愛がりましょうよ。ペットって本来、そういうものでしょう?」


「……私の犬となり、私の命令をこなし……それで、貴様は何を得たい? クロッカにも、パルカにも、魔人をねだったそうだが……私にも魔人をねだるか?」


「それもありますし、出来る事なら、色々と、魔人に対して便宜を図ってもらいたいところですね。この世界、ずいぶんと魔人が生きにくいんで、その辺、出来れば、整備してほしいんですけどねぇ。どうです?」


 そこで、ガリオは、色々と考えた。

 テキトーな甘言を餌に、センを躍らせて使い潰そうかとも考えたが、

 しかし、ここまでの『歪んだ会話』を経たことで、

 ガリオは、それが『悪手になるのではないか』と考えた。


 センがただのアホなら、

 『テキトーな返事ではぐらかして、食べられないニンジンを目の前にぶら下げて、死ぬまで走らせる』

 ――という手段も取れただろうが、


(……この犬……『賢いとは思えない』が……しかし、ただのアホではない。小狡こずるい立ち回りを徹底して、何がなんでも利を得ようとする猪口才ちょこざいな男。この手のタイプは、へたにあしらおうとしても、逆に、のらりくらりと、絡みついてくるだろう)



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