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196話 いずれ手をかまれるかも。


 196話 いずれ手をかまれるかも。


 特級合格を果たし、クロッカから正式に戦闘団団長の地位を与えられたセンのことを、

 『首輪があるのでセーフティ』だと思いつつも、

 やはり、警戒せずにはいられない。


 ほかにも、センの指導を受けた学生が、軒並み、急成長を果たしているという情報に関しても、一抹の不満を覚えているパルカ。


 正式に『自分の配下』であるセンエースという魔人が、

 極めて優秀であることは喜ばしいが、

 『このままだと、いずれ、手を噛まれるかもしれない』という不安もある。


 そんなパルカの不安を、センも理解している。

 自分という強大すぎる脅威を、パルカのようなビビリが、受け止め切れるはずがない、と。

 だから、センは、あえて、パルカに寄り添う。

 クロッカに寄り添いつつ、パルカにも、同じぐらい寄り添っていく。


 センエースという怪物に、上層部全体が振り回される。


「これまで、教師生活や等級試験と併行して、パルカの依頼もある程度、こなしてきました。その褒美として、5人ほど、優秀な魔人を頂けることになっています。その5人とも、パルカ直属の十七眷属の配下だったらしいんで、そこの解任どうこうの手続きで、今、ちょっと手間取っているらしいっすけど」


「そう……ちなみに、私の方でも、そこそこ質の高い魔人を10人ほど確保してあるわ。全員、あなたの好きにしていい。……出来れば、現存する魔人全員の支配権利を得たいところだけれど、今すぐに、それを行うのは、流石に厳しいわね」


「了解っす」


「ちなみに、戦闘団なのに、100人程度というのは少なすぎない? 私としては、最終的に、2000ぐらいの規模を目指すつもりだったのだけれど?」


「さっきも言ったように、多すぎるとダルいんすよ。まあ、『最終的に、結果として、大きくなってしまう』というのは、最悪いいんすけど……いったんは、とりあえず、100人ぐらいでやっていきたいっすね。所属メンバーの一人一人が、単騎で大隊級の活躍ができる……となれば、100人ぐらいでも、かなりの大きな成果をあげられるでしょうしね」


 そう言いながら、センは、村の中へと足を踏み入れる。

 センの後ろについているクロッカに対し、

 村人は、皆、跪いて、忠誠を示した。


 無茶な税金を課したり、妙な押し付けをしてきたりしないクロッカに対して、

 村人は、かなりの忠誠心をもっている。


 ただ、今回の諸々無茶に関しては、色々と思うところもあったようで、

 村長の『ダレイ』が、クロッカに、


「お待ちしておりました、クロッカ様。どうぞこちらへ。最大限のおもてなしをさせていただきます。……それと、あとで、少々お話が」


 と、懸念について相談しようという意志を示した。

 ダレイは、筋骨隆々な30代の男で、

 この村では一番の存在値を誇る戦闘職。

 頭も力も、村人の中では抜きんでている戦士。

 これまで、基本的な村の管理運営を任されていた有能な男。


 そんなダレイの発言に、クロッカが、


「もてなしはよい。それよりも、建設的な話がしたい。ここにいる全員にも、概要を知っておいてもらいたいから、この場でな」


 そう言ってから、クロッカは、村人全員を見渡しながら、


「事前に告知してある通り、今後、この村の実質的な統治者は、ここにいる私の配下『センエース』となる。見ての通りの魔人だが、センは、等級試験で『特級』を獲得しており、軍のライブラリに、正式に『戦闘団団長』として登録されている実力者だ。この村の『書類上での統治者』は今も私だが、実際に運営していくのは、この男。……センの命令が、絶対。よいな」


 村長のダレイ経由で、村人全員、『統治者がクロッカから魔人センに変わること』を知っていたため、驚きの声などは一切あがらない。

 ただ、いくつかの疑問や不安は当然あるようで、

 村長ダレイが村人を代表して、


「クロッカ様……発言のほど、よろしいでしょうか?」


「許す。なんだ?」



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