195話 第三クロッカ村。
195話 第三クロッカ村。
クロッカは、こういう『特に価値のない領地』を、ガリオから、いくつか与えられている。
一応、扱い的には『領主』だが、
実際のところは『どうでもいい村の管理』という『雑用』を押し付けられているだけ。
ちなみに、十七眷属の者たちは、皆、だいたい、大きな街の領主をしているため、
支配領地の大きさという点で言えば、クロッカは十七眷属よりも下。
……そんな第三クロッカ村にやってきたクロッカとセン。
クロッカは、村を見渡しながら、センに、
「特級合格のお祝いの一つとして、この村をあなたにあげるわ。手続きが面倒だから、書類上の『正式』な『この土地の持ち主』は、私のままになるけれど、私の中では、この村は、もう、完全にあなたのもの。ここを正式な拠点として、今後の戦闘団運営を行っていってほしい」
「くれるっていうならもらいますけど……しかし、めっちゃ小さい村っすね」
「ガリオからもらった土地はいくつかあるけど、どれも、ここと大差ない、しょうもない場所ばかり。私が持っている村の中では、ここが一番マシ。……ガリオは、私に義務ばかりを押し付けて、決して、力を与えようとはしない。ガリオからもらった力で革命を果たしたいわけじゃないから、別にいいのだけれどね。むしろ、こういう状況の方が、油断を誘えて好都合。……ルーミッドが、ガリオに、あなたのことを、『それなりに正確』に伝えたそうだけれど、結局、ガリオは、あなたを『本当の脅威』だとは認識していない。あなたに戦闘団を与えるという件も、もっと揉めるかと思っていたけど、ちょっと小言を言われるぐらいで、すんなり通ったわ。バカな男。ガリオもパルカも。あいつらのようなアホと同じ血が通っていると考えるだけでゾッとするレベル」
深いため息交じりにそう言ってから、
センに、
「魔人の移住に関しての手続きは済んでいるし、領民の理解も得ているから。使えそうな魔人を確保したら、ここに住まわせるといいわ。戦闘団の団員は好きに選んでくれていいし、装備各種も相談してくれたら、なるべくそろえるように努力させてもらうわ。……ちなみに、現時点で、何か構想とかある? 誰をどこから集めるとか……どういう風にしようとか」
「とりあえず、変に邪魔されてもダルいんで、パルカの御機嫌をうかがいつつ、パルカの配下の中にいる有能な魔人を集めていきますよ。ジバやビシャほど有能なやつはそういないっぽいですが、『十七眷属の配下を務めてきた魔人』は、どいつもこいつも、ある程度は有能って話なんで……その辺を中心に特戦隊をつくって……で、最終的には、魔人以外にも、有能そうなのを、何人かかき集めて……『30人前後が所属する、小隊を3セットぐらい用意する』って感じですかね。魔法特化の隊、物理特化の隊、搦め手特化の隊。みたいな感じかな。あんまり多すぎてもダルいんで、100人ぐらいの規模の特殊部隊を目指して頑張っていきます」
これまで、教師生活と併行して、パルカからの無数の依頼をこなしてきた。
ちなみに、どれもこれも、『センの力のほどを量っているのだろう』と分かる内容の依頼ばかりだった。
十七眷属に関する仕事もいくつかあり、上層部全体で、『センの力を量ろうとする意志』が透けてみえる。
力を量るだけではなく、監視の意味もあるのだろう。
物理的な意味での首輪だけではなく、
上層部全員の目を光らせるという形で、
センに首輪をはめていこうという算段。
パルカは、センに『逆らえば死ぬ首輪』をつけさせているため、
ある程度、安心はしている。
最低限のセーフティを施しているので、
ガチンコの裏切りは警戒していないが、
余計な面倒事を起こされないようにと注意の目を払っている感じ。




