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188話 決戦兵器。


 188話 決戦兵器。


「……戦闘団っすか」


「正式に、私直属の最高位遊撃部隊として、龍神族の軍事ライブラリに登録させてもらう。編成権もあげるから、好きに部隊を創り上げるといいわ」


「はーい、あざーす」


 などと、軽めの返事をするセンに、

 クロッカは、


「龍神族の正式な部隊長……という地位を与えるとなると、私の父……ガリオが、かならず、ごちゃごちゃ言ってくると思うわ。そうでなくとも、直属の配下であるルーミッドが、今回の試験の全容を、事細かく伝えるでしょうから、普通に、目を付けられるでしょうけど」


「目なら、前からつけられていたのでは?」


「……これまで、ガリオは、あなたのことを『頭おかしい娘が拾ってきた病気の犬』ぐらいにしか思っていなかったでしょうけど、今後、ガリオの認識上で、あなたは『頭おかしい娘が、自分ガリオを殺すために用意した決戦兵器……かもしれない』と思うようになると思うわ」


「……」


「おそらく、接触してくるでしょう。そして、あなたがどういう人間で、何を求めているかを探るはず……そして、必要とあらば、懐柔しようとしてくるでしょうし、あなたの態度しだいでは、刺客を差し向けてくるでしょう。その辺、あなたならうまいこと、どうとでもできるでしょうから、対応は任せるわ」


「丸投げっすか。飼い主のやることじゃないっすね」


「どっちが飼い主なのか分からなくなってきたから、もう考えることを放棄しようと思いはじめてきているのよ」


「……」


「セン、もう、ここからは、全部、あなたの好きにしなさい。私は、あなたについていく」


 そこで、センは視線に力を込めて、

 クロッカを睨みつけ、


「ついていくのは俺だ。あくまでも、主役はお前。俺は武器。考えることをやめるなど許さない。世界を変えるのはお前だ。これは、お前が始めた物語だろ」


「……」


「そろそろ、ルーミッドに見せていた夢が終わる。逃げることは許さないぞ、クロッカ。先導するのはお前で、俺はお前についていくだけだ」


「……」


「世界をかえるのは、お前だ。クロッカ。お前が『王』になるんだ。俺じゃない」



 ★






(……もしかして『仮死』の魔法を使ったのか? ランク7や8の、超高度な仮死を使われたら……正直、『動揺していたさっきの俺』では……見破れなかっただろう。他にも、『邪眼』や『幻夢』や『催眠』など……いくつか、『死んだと見せかける手段』は想像がつく……クロッカやセンエース級の実力者になれば、それらを駆使して俺の目を欺くことも……不可能ではないだろう……)


 などと、ルーミッドが、現状に対する予測をたてていると、

 そこで、焦れたクロッカが、


「何をボーっとしているのよ、ルーミッド。私は、センを殺した。あなたが提示した合格条件を満たした。だったら、合格以外、ありえないわよね? そうでしょう?」


 と、『さっさと合格だと言え』という圧迫をかけてくる彼女に、

 ルーミッドは、


「……死んでないでしょう、どうせ、その犬……先ほどのあなたと同じで」


「そう思うなら、確かめたらいいじゃない。脈拍でも呼吸でも、なんでも」


「確かめたところで……上位の魔法を使われたら、欺かれて終わりです。俺では、あなた達の魔法に対抗できない」


「それはそっちの都合でしょう?」


「……おっしゃるとおりです」


 そう言いながら、ルーミッドは、


「……しかし、この試験の試験官は俺です。俺は『俺の都合を優先して、試験の結果と向き合うことができる』という権利を有しています。……俺はその権利を最大限行使し……かつ、『俺のルール』に従って、結論を出します。……あなたは不合格です、クロッカ様」


「理由は?」


「あなたは、センエースを殺せない」


「……」


「センエースは合格です。それは、私が認めてしまったから、覆せません。俺のルール上、どうしても、それは出来ない……」



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