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178話 無意識の中に、誰かがいる。


 178話 無意識の中に、誰かがいる。


 そんなルーミッドを、

 センは訝しげな目で見つめていた。


(ルーミッドのやつ……何をやってんだ?)


 センの視点だと、ルーミッドは、ただ、頭を抱えてもだえているだけ。


 センは、


「おいおい、ルーミッドさんよぉ。なにやってんだ? もう、俺、攻撃していいか?」


 と、問いかけるが、

 ルーミッドは完全にシカト。


 ルーミッドは、今……自分の中にある何かをつかみ取ることしか考えていない。


(ウ……ム……ル……)


 無意識の中で見つけた名前。

 それが何なのか、誰なのか、さっぱり分からない。

 ただ、ルーミッドは、

 その名前が、自分の『奥』にあることを認知し、理解し、そして受け止めた。


 結果……


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 グンっと、『ルーミッドの中にある全部』が沸騰した。

 魂魄の暴走。

 まったく、自分をうまく扱えない。

 今のルーミッドは、『操縦士が何をしても無意味な暴走機関車』みたいなもの。


 暴走ルーミッドは、ギラっと目を光らせて、

 センエースを『視界の中心』にロックオンすると、


「センエェエエエエエス!!」


 宿敵の名前を叫ぶように、

 腹の底から声を出して、

 センへと全力で襲い掛かる。


 その速度を見たセンは、


(っ?! おいおい……なんだ、その速度……)


 ルーミッドの『とんでもない速度』に瞠目。

 ギリギリのところで、ルーミッドの特攻を回避したセン……

 だったが、


「ふんがぁああ!」


 センの回避に合わせるようにして、

 黒刀を一極集中で飛ばしてきたルーミッド。


 結果的に、ルーミッドの黒刀は、センの右腕をズパァっと切り飛ばした。


 腕を切断されたセンは、

 切断面を、まじまじと見つめながら、


「えてぽとんぴぇええ?! まじぃ?!」


 謎の奇声が漏れてしまうほどの衝撃。

 心底から信じられないという顔をして、額に冷や汗を浮かべる。


 ダダダッと、地面を蹴り飛ばし、距離をとりつつ、


(……今のは、とてもじゃないが、存在値60程度の火力じゃねぇなぁ。……ルーミッドのやつ、絶死のアリア・ギアスでも使っているのか? いや、だとしたら、赤いオーラに包まれるはず……)


 心の中で、そうつぶやきつつ、

 センは、全力のシクススアイで、ルーミッドを査定する。

 その結果、


(……存在値60で……変わってねぇし……何か、特別なオーラに包まれているわけでもねぇ……俺のシクススアイを欺いているってわけでもねぇし……なんだ、さっきの一撃は……火事場の馬鹿力にしても、限度があるぜ……)


 理解できない現状に困惑。

 ただ、セン自身が、これまでの人生で、何度か、

 『感情論の暴走により、素の実力以上の強大な力を発揮した』

 という経験があったため、

 ルーミッドのコレも、『そのたぐいの何かしらだろう』と推定し、


(やるじゃねぇか、ルーミッド。『その程度の存在値で俺の腕を飛ばす』って行為は、ド級の奇跡と言って差し支えない。……てめぇの『底力』……しかと見せてもらったぞ)


 心の中で、ルーミッドを称賛してから、

 センは、グンっと、ルーミッドの懐まで踏み込んで、


(褒美として見せてやるよ……俺がたどり着いた高みを――)


 右の拳にオーラをこめる。

 これまでに積み重ねてきたものを丁寧に積んでから、

 センは、


「……閃拳……」


 アホみたいな回数、繰り返し、繰り返し、鍛練を続けてきた、最高位の必殺技を放つ。

 火力という点だけで言えば、『これ以上の必殺技』も、一応、開発しているが、

 しかし、コストパフォーマンスや熟練度という点では、

 やはり、この技に勝るものはない。


「うっぶごぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」



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― 新着の感想 ―
>ウ……ム……ル…… 時空操作がお得意のウムル=ラトさんチッスチッス。ここでウムルさんが全開で出てたら場合によればセンエースは殺せるのでは…、やっぱ無理だわウムルごときで殺せるわけ無いや。
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