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165話 身内。


 165話 身内。


 センは、すぅと息を吸ってから、


「さっきも言ったが、『試験終了五分前まで、ここにいる誰も、ルーミッド様に球を届けること』はできない。闘って奪い取り……そして守り切れ。以上だ。ちなみに、ラスがねらい目だ。どう考えても、こいつが、この中で、一番カモ」


「ちょっ、先生?!」


「ラス。俺は、身内であるお前に合格してほしいと思っているが、お前に合格を貢いでやる気はない。三級試験に合格したいと本気で思うのなら、自力でつかみ取れ。最初にハッキリと言っておくが、俺は絶対にお前を助けない」


「っ……」


 センエースという教師が、こういうところでシビアであるということは、すでに、これまでの経験から理解できている。

 だから、ラスは、すぐに腹を決めて、全身を魔力で満たしていく。


 そんなラスの視線の先で、

 ゼックが、センを見ながら、


「思ったよりも公平じゃないか。……一応確認しておくが、そこのガキが負けそうになっても、本当に助けないんだな?」


「俺の教え子を、そう簡単に倒せると思うなよ」


「……ふっ……見たところ、確かに、そこそこ質の高い魔力を練られるようだが……しかし、流石に、俺には勝てないぞ」


「かもしれないな。ちなみに、さっきの話の続きだが……お前は俺の身内になるのか? それともならないのか?」


「……魔人の教え子になる気はない……が、クロッカ様陣営の手ゴマになる……という形なら、身内として数えてもらっても、別にかまわない。俺は、上級国民の中だと、ガリオ様やパルカ様ではなく、クロッカ様を支持しているから」


「いいねぇ……頑張れ、ゼック。応援してやる」


「……身内になったんだから、あのラスとかいうガキではなく、俺の方を合格暫定にしてくれないか? 応援ではなく、支援をくれ」


「ラスを倒せ。そうすりゃ合格だ。……実のところ、俺は……この試験中、『最悪の時は、ラスに、ちょこっと手を貸そう』と思っていたが、その可能性がゼロになった。実力でラスを叩き潰せば、それで、お前は合格できる」


 そう言った直後、

 センは、ラスに視線を向けて、


「ラス、さっき絶対に助けないと言ったな。あれは、嘘だった。が、今、事実になった。死ぬ気で生き残れ。お前が合格できるかどうかは、100%、お前の実力と頑張りと運しだいになった。お前が合格できる確率は、ぶっちゃけ、五分五分だ。いや、8:2だな。合格できる確率が2な」


 そう言われたラスは、

 ため息を一つはさんで、


「……やれやれ、まったく……」


 と、しんどそうにつぶやきつつ、ゼックからの攻撃に備えて武を構える。


 そんなラスに、ゼックは、


「将来はともかく、今、この場における完全な実力勝負なら、俺の方が上だぞ!」


 そう言いながら、ダッシュ。

 ラスから球を奪おうと襲い掛かった。


 そんなゼックに、ラスは、


「氷結・豪氷矢ランク4!!」


 『氷結』付与確率を底上げしたランク4の豪氷矢を放つ。

 ただでさえ、豪氷矢は、氷結付与率が高いため、


「うおっ!」


 ゼックは、ビシっと凍ってしまい、まったく身動きができなくなる。


 ラスは、隣にいるハロに、


「この試験中、一緒に戦ってくれませんか? 僕一人では、流石に生き残れないと思いますので」


 そう声をかけると、

 ハロは、


「……おそらく、センエースは、連携による勝利(合格)を望んでいる。俺をタンクとして活用しろ、ハロ。王に選ばれた全員で合格する」


 などと会話している間に、ゼックの氷結がとけた。


「そういえば、お前、これまでの試験で、ランク4の魔法を使っていたな……くっ……存在値40以下のくせに…ずいぶんと質の高い魔法を使うじゃないか! 才能あるガキは嫌いだぜぇ!」


 そう叫びながら、ゼックが突撃してきた。

 ゼックの猛攻を、ハロが体で止める。


 身体能力的にはハロの方が上なので、問題なく対応できている。



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