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160話 いいぞ、バリソンくん。


 160話 いいぞ、バリソンくん。


 などと、バグったことを言われて、バリソンは、またカーっと頭に血がのぼり、


「とんでもない曲解してんじゃねぇ! てめぇに言っているに決まってんだろうがぁあああああああああああああああ!! その球、よこせぇええええええええええええええええええええ!」


 そう叫びながら、


「極炎撃ランク4!!」


 本気の一撃をぶちこんでいく。

 バリソンくんの目標は、この三級試験の合格。

 二級はいらない。

 三級さえ取れれば、今後の人生、問題なく安泰。

 三級を取るのと、このまま四級で終わるのとでは、バリソン君的に天と地。

 だから、まったく、力を抑えることなく、これまで温存してきた全ての力を解放して、センに挑む。


 ちなみに、四級試験では、うまいこと、周囲のメンツに、面倒な作業を押し付け、体力&魔力を温存することに成功した。

 ここまでは、バリソン的に順調。

 五級試験で、センに絡まれて、ちょっとウザかったりもしたが、

 なんだかんだ、満タンの状態で三級試験に挑むことができた。


 『自分の運のピークは今!』

 『今日を逃せば、おそらく、今後も、ずっと、三級試験に合格できないままだろう!』

 ――と、バリソンはそう考えている。

 実際のところどうかはともかくとして、今、現在のバリソン自身は、そう信じてやまない。

 ゆえこそに、焦りもあって、バリソンは、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 全身全霊を賭す。

 これまでの人生において、最大のパワーを発揮する。

 まさに、命がけの必殺。


 そんな、一世一代の全力を前にして、

 センは、


「いいぞ。バリソンくん。なかなかの煌めきだ。五級試験の時は、どうしても『ペース配分』が頭にあったから、全力を出し切れていなかったが、今のお前は、アドレナリンの介助もあって、全力の一つ上を出せている」


 するすると、バリソンの猛攻をよけながら、

 丁寧に、『バリソンの全て』を『審査』していくセン。


 その様子を、後方腕組み彼女姿勢で見ているクロッカが、心の中で、


(あの受験生程度の実力では、センの底ははかれない……というよりも、他の誰でも、センの底をはかることは不可能。その役目は……この私にしか果たせない……)


 最初から分かっていたことを、改めて再認識するクロッカ。


 クロッカは既に腹を決めている。

 実のところ、ルーミッドとも話し合いは既に終わっている。


(……最後の最後……『特級試験』で……あなたの底を見届けさせてもらう)


 二級や一級の試験内容は、この三級試験の流れ次第で、変動が起きるかもしれないが、『特級の内容』だけは、最初からガチガチに決まっている。


 特級試験では『クロッカVSセンエース』のカードが確定予約されており、

 その闘いの勝者にだけ、特級の資格が与えられる……という事になっている。


 クロッカが、腹の底で、センエースとの闘いに向けて、覚悟を固めていると、

 そこで、バリソンが、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおお! タマ、よこせぇええええええええええ!!」


 と、何度も、欲望を叫びながら、センに特攻をしかけている。

 その様を見たセンは、『はは』っと、噴き出し、


「まるで、ヤクザ映画じゃねぇか。怖いねぇ」


 などと、どうでもいいことを口にしつつ、

 ソっと足を出して、バリソンをこかしていく。

 センの足につまづいて、ゴロンゴロンとすっころぶバリソン。


 センは、遥かなる高みから、バリソンを見下ろして、


「焦りで回りが見えてねぇ。お前をこかすのなんざ、超簡単」


 大好きなテンプレセリフで煽り散らかしていく。


 頭に血が上ったバリソンは、


「うがぁあああああああああああああああああああああああ!」


 全身全霊の雄叫おたけびをあげながら、再度、センに突進。

 質の高い怒りと焦りでリミッターがいい具合に解除されたバリソンくん。



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