表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

149/211

149話 丁寧に追い込む。


 149話 丁寧に追い込む。


「毒も麻痺も、俺には効果がない。なぜかって? 家庭の事情でね」


 もちろん、嘘である。

 ただのテンプレハッタリ。

 しかし、ガチンコの鍛練を積んできたので、『かなり効きにくい』というのは事実。

 そもそも、存在値的に格上の相手に即死を通すのは難しい。


 センは、丁寧に、『死羅腑の即死魔法』に対し、『デバフを散らす魔法』を合わせることで、相殺していっている。

 対応を間違えば、センでも普通に即死してしまう。

 それは事実だが、しかし、センは間違えない。

 驚異的な集中力で、『死羅腑の全て』と真摯に向き合っているセンにスキはない。

 言動こそ、今も、かなりバグっているセンだが、しかし、強い相手と戦っている時にリスペクトを忘れたりはしない。


 言動はずっとオチャラケているが、決して、死羅腑をナメることなく、

 真摯に、徹底的に、容赦なく、大人げなく、

 とことん、丁寧に追い込んでいく。



 ★



 センと死羅腑の死闘は、かなり苛烈なものとなった。

 センの方が強いので、終始、セン優性……それは間違いないが、神級のモンスターは、やはり生命力が高く、そう簡単には殺せない。

 それに、この死羅腑は、とにかく、『多くの種類の魔法がつかえる優良個体』だった。

 もともと、不死種の上位種は、魔法を多く扱えるものだが、この死羅腑は、その中でも、群を抜いて、大量の魔法を使える、かなり稀有で優秀なタイプ。


 そこらのザコ冒険者とかだと、この死羅腑の『華麗な魔法さばき』に翻弄され、なすすべなくぐちゃぐちゃにされるだろう。

 ザコだけではなく、十七眷属も、龍神族も、

 もれなく、全員、簡単に弄ばれて全滅すること必至。


 ――『もしセンがいなかったら、ほんの数時間で、この世界を完全に終わらせることも出来る』という、とんでもない実力者である死羅腑だが、

 しかし、センは、そんな、『死羅腑の全て』に対して完璧なアンサーを示し続ける。


「いいぞ、死羅腑! 素晴らしいスペックだ! てめぇは、間違いなく、俺がこれまでの人生で見てきたモンスターの中で最強!! モンスターに限定しなくとも、俺が出会ってきた全ての中で最強!! 敬意を表するぜ! 俺は強くなりすぎたから、もしかしたら、もう二度と、ガチ戦闘はできないかも……とか、ちょっとうぬぼれていたりもしたんだが……そんなことはなかったぜ!! ははぁ!!」


 楽しそうに笑いながら、

 センは、死羅腑に猛攻をしかけていく。

 華麗に死羅腑の全てを回避し、

 適切に、死羅腑の魔力とオーラを削っていく。


「どうした、どうした! 少し、動きが鈍くなってきたぜ! やれやれ、どうやら、さすがの死羅腑さんも、『俺との死闘』という過酷さにとうとう音をあげたらしい! ふははは!」


 久々のマジ戦闘でテンションがおかしくなっているセン。

 アドレナリン全開で、どんどん、容赦なく、死羅腑を追い詰めていく。


 この死羅腑は、とんでもなく優秀な個体なので、

 『下手をすれば、センでも殺される』という可能性は確かにある。

 それは嘘ではなく、ただの現実。

 しかし、ヘタさえこかなければ……この通り、余裕でボコボコにできる。

 センエースは、存在値の数値が高いだけではなく、戦闘力の方も本物。

 積み重ねてきたものが違う。

 そんじょそこらのチーターとは土台が違うのだ。


「ははは! おらぁ!! どうした、どうした!」


 楽しそうに、死羅腑をボコボコにしていくセン。


 ――結果、次第に死羅腑が絶望し始める。

 不死種の上位種は知性も優れている。

 頭がいいから、絶望の解像度が高い。


 ――だが、所詮モンスターだから、本物の恐怖を感じたりはしない。

 上位のモンスターは『知性に似たシステム』を有しているが、それは、あくまでも、『知性に似せたAI』・『プログラミングされたパターン』にすぎず、

 決して本物の知性や感情ではない。

 ……と、センは、そう思っていた……が、


「こわい……くるしい」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
超神D章24話 「死の具現である私を前にして、畏れを見せない胆力は見事。貴様は、私の前に立つ資格がある」  そう言いながら、死羅腑も、魔力とオーラを底上げしていく。 「さあ、やろう。人の王よ。命の儚さ…
神級はかなりレアらしいのでセンにとっては多量の経験値が手に入るラッキーイベントでしたね
もしやカルマ・センエース時代にメルトゼウスを死羅腑に化けさせてカジノに突撃させたイベント、あれ神級モンスターの中で死羅腑をわざわざ選んだ理由が今回のエピソードにあるのでは? カジノ襲撃という陽動目的で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ