表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

140/210

140話 そう簡単に特級を取れると思うなよ。


 140話 そう簡単に特級を取れると思うなよ。


 センは、もともと、『襲撃者の正体』を隠すつもりでいた。

 もしくは、カドヒトに罪をなすりつける気でいた……のだが、

 しかし、今後のことを色々と考えた結果、

 『ま、いっか』ということで、直球の正体を晒したセン。


 はたから見たら、『ハイスペックの頭やべぇやつ』という、

 モロに、どこぞの奇術師みたいなキャラになっているセン。

 そんなセンに、ルーミッドが、


「……なるほど……流石は、クロッカ様の犬……といったところか」


 眉間にシワをよせて、小さくそうつぶやいていると、

 その横にいるクロッカが、センに、


「また、ずいぶんと無茶をしたわね。……まあ、もう、あなたの暴走には慣れてきたけれど」


「さっさと特級を取ってしまいたいので、数を減らさせてもらいました。今後、どんな試験があるか知りませんけど、審査する対象が少なければ少ないほど、時間短縮になる可能性が上がるでしょ? 俺、はやく帰りたいんですよね。こういう、かったるい行事、嫌いなんですよ」


 などとヘラヘラ言っているセンを尻目に、

 ルーミッドが、


「ずいぶんとナメられているようだな。お前が、それなりの実力者だというのは認めてやってもいいが、そう簡単に特級を取れると思うなよ」


「ナメてなんかいませんよ。事実を言っているだけです。俺クラスの実力があれば、特級をとるのは余裕。時間の問題でしかない。それだけの話です」


「……」


 ルーミッドにとって、この試験は、個人的趣味の要素が強い。

 趣味だからこそ、まじめに、公平に、真摯に取り組んでいるが、

 趣味だからこそ、『無駄に熱くなってしまうこと』というのもある。


 ルーミッドは、他の十七眷属とくらべ、比較的、まだ人格的にまともな方ではあるが、『自分の好きなこと』『大事な趣味』を、小バカにされてしまうと、流石に、普通に、イラっときてしまう。

 『イラっときてしまった権力者』というものは、

 タガが外れて、暴走してしまうもの。

 ルーミッドは、心の中で、


(……不愉快な魔人だ。……お前は、多少、『先天的な資質に恵まれてはいるよう』だが、人格に大きな問題がある。特級にふさわしくない。……一級までは許してやるが、絶対に特級だけはとらせない。これは差別ではない。ただの選定判別だ)


 特級の試験で、センエースを絶対に落とすことを決めた。


 試験内容は全て、ルーミッドが決めることが出来る。

 だから、センエースにとって不利になる試験内容にすることも容易。


(幸いなことに、今回の試験には、『キチ〇イお嬢』も参加している。このキチ○イをうまく使えば、あの魔人にどれだけの才能・資質があろうと、関係なく、不合格にすることは可能。最悪、他の手段で落とせなかったとしても、『クロッカ様に勝てなければ不合格』という試験にすれば、確実に落とすことができる)


 ニっと黒く笑うルーミッド。

 そんな彼の腹の中が、クロッカには、透けて見えるようだった。

 ルーミッドの性格や、センの言動等を考えれば、

 ルーミッドが、どこかで、今のような思想に到ることは、予想がついていた。


(想定通り、ルーミッドはイラついているわね。おそらく、どこかで、私をセンにぶつけようとするはず。それでいい。今回の等級試験では、センに特級を取らせることも目的だけれど、それ以上に、『センの底をはかること』が最大の目的なのだから)


 クロッカは、色々な思惑を胸に、センエースを、この等級試験に参加させた。


 まずは、特級を取らせて、センエースの社会的地位ステータスを確固たるものにすること。

 一級を取ろうが特級を取ろうが、魔人に対する差別がなくなることはない……が、しかし、『特級をもっている者』は『相応の実力者である』ということが、社会的に確定するため、『いくつかの無茶』を通しやすくなる。

 クロッカの革命は、むちゃくちゃをやっているように見えて、実は、段階や手段を重んじている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ