131話 疑似スーパーゴーストカミカ○アタック。
131話 疑似スーパーゴーストカミカ○アタック。
ルーミッドにボコられているヤンを見て、
センは、一瞬、手を貸そうかどうか迷ったが、
(……これは……んー……まあ、自力でやらせた方がいいかな……)
ヤンの担任としての判断を下していく。
離れていくセンを見て、ヤンは、
(……どうやら、セン先生は、手を貸してくれる気がなさそうだな……あの人、そういうところがあるよなぁ……優しいところもあるんだけど、厳しいところがシッカリしているっつーか……はぁ……まあ、仕方ない……自力でどうにかしよう……先生は、たぶん、『俺なら自力でどうにかできる』と判断したから、離れていったんだろうし……)
決意を固めると、ヤンは、
「分身ランク1!」
なかなか高度な魔法を使っていく。
相変わらず、高ランクでは使えないが、しかし、使える魔法の多さや品質に関しては、実際、なかなかのもの。
ヤンの分身を見たルーミッドは、心の中で、
(ふむ……正直、カスみたいな分身だが、しかし、分身が使えるというだけで、評価には値する……こいつは、流石に合格だな……)
ヤンに合格の判を押したルーミッドは、
ヤンに攻撃するのをやめて、別のターゲットを潰しにいこうとしたのだが、
しかし、そんなルーミッドの心境の変化が正確に分かるはずがないヤンは、
「霊甲ランク1!! 光壁ランク1!」
分身に防御系の魔法を多重にかけて、かなり硬くした上で、
「いけぇえ!!」
と、突撃させる。
ルーミッドは、
(……器用なガキだ……)
と、さらにヤンを評価しつつ、
襲い掛かってきたヤンの分身を蹴り飛ばす。
霊甲と光壁の魔法で、かなり硬くなっていたので、一撃では粉砕できなかった。
とはいえ、ルーミッドの一撃を受けているので、まあまあ虫の息。
次の一撃で消滅させられると思ったルーミッドは、
そのまま殴ろうとした……が、
そこで、
ヤンが、
「今だあぁ!!」
そんな彼の号令に従い、
ヤンの分身は、
「自爆ランク1!」
ドガァアアン!!
と、強烈な爆発。
なかなかの火力だったので、ルーミッドも無傷ではいられなかった。
その光景を見ながら、センは、笑って、
(ははは……『疑似スーパーゴーストカミカ○アタック』だな……クラス対抗戦前に俺が教えた面白ロマンコンボを、ここで試すとは、なかなかの度胸じゃねぇか)
自爆コンボで、普通にダメージを受けたルーミッドは、
「……治癒ランク4」
なかなかの回復魔法を使って、
自爆で受けた傷をいやすと、
「……タイムアップだな……やるじゃないか。もちろん、言うまでもなく合格だ」
そう言いながら、ボリボリと頭をかいた。
自力で合格をもぎ取ったヤンは、
その場でしりもちをつき、
「ぷはぁ……」
と、深く深呼吸をした。
そんなヤンに、ルーミッドが、
「悪くないぞ、お前。もっと精進すれば、それなりの地位にいけるだろう。将来的には……まあ、三級ぐらいはとれるだろうな」
「……ありがとうございます。光栄です」
★
最終的に、六級試験をクリアできた人数は500人。
残っているのは、大半が、魔術学院の卒業生であったり、高位の冒険者だったり、国の重要な役職についている超人だったり。
この六級試験では、魔術学院の学生も、ちらほらと落ちていた。
1組は誰も落ちていないが、2組からノイラという女学生が1名、
そして、3組からは、内気担当のハプと、ギャル担当のレクが落ちた。
2組のノイラは、存在値的には合格ラインに達していたが、彼女のビルドは『腕力や体力よりも、知性重視の後方回復担当型』だったので、今回のような、単純な根性や体力や俊敏性を求められる試験は不得手だった。
ハプとレクは、まっすぐな実力不足。
彼女たちも、センの教導を受けているので、
センが赴任する前よりは強くなっているが、
元が大したことない二人なので、この辺が限界。