113話 困難な道を、共に歩んでくれる頼もしいパートナー。
113話 困難な道を、共に歩んでくれる頼もしいパートナー。
この状況だと、いくらクロッカでも、削り切るのに最短計算で1~2分はかかる。
そのことを、クロッカは理解している。
つまり、先ほどの発言は、周囲に向かってのアピール。
見栄やハッタリではなく、来賓や学校関係者に対するブラフ。
クロッカの中で、方向性が固まる。
『センエースが着々と築いていっている、革命のための地盤』を、自分も全力で守っていくというビジョン。
(センは、『私と交わした契約』と真摯に向き合ってくれている。ならば、私も全力で向き合わないといけないわね)
もともと、そうするつもりだったが、
ビシャ、ジバ、ハロ、ラスの力を目の当たりにしたことで、その決意がより強くなる。
センエースは、多くの障害をはねのけながら、成すべきことを着実にこなしていっている。
それが、たまらなく嬉しかった。
困難な道を、共に歩んでくれる頼もしいパートナーがいる。
一人でもやり切るつもりだったけれど、一人では不安だったのも事実。
だから、高揚する。
心が躍る。
クロッカの中で、センエースという存在がどんどん大きくなる。
(今の私が、この場ですべきこと……それは……ビシャの力を隠すこと……そして……センが育てた原石の力を、正確に把握しておくこと……)
切り札を隠すと同時に、切り札の切れ味を正確に把握する。
己のミッションを正式に把握したクロッカは、
そこから、丁寧に、時間いっぱいをかけて、
この場にいる4人の底を見届けた。
あらゆる魔法を展開していき、その対処における所作を見定める。
この4人の強度を丁寧に量り、運用方法を検討する。
(数値としては、ビシャだけが突出している……けれど、ジバも悪くない。悪くないというか、とんでもない強さ。すでに、ジバは、エトマスよりも強い。カソルンよりは下だけれど、オンドリューと同等……そのぐらいの実力者。つまりは、今の十七眷属の中でも五指に入る実力者……素晴らしい)
十七眷属の中での序列は、
一位、ラーズ。
二位、タンピマス。
三位、カソルン。
四位 オンドリュー。
五位 エトマス。
もし、ジバが、十七眷属になった場合、『エトマスよりも強くなっている彼』は、序列五位に食い込むことになる。
『ラースに匹敵するビシャ』と、『五位クラスのジバ』。
そして、
(……魔人兄妹の影に隠れてはいるけれど、ハロとラスも、センにしごかれただけあって、相当な実力者になっている……ハロはタンクとして非常に優秀。ケイルスの猛攻に耐えきった彼の根性と耐久力は本物。……そして、すでにランク4の魔法を使うラス……どちらも、まだ若いから、ここからどんどん伸びるでしょう……将来的には、十七眷属クラスの実力者に……なる可能性は十分にある。ラスの方は、まだ分からないけれど、ハロはセンに心酔しているようだから、こちら側の戦力と考えてもいいはず。ラスも、出来れば、こちら側に回ってほしいけれど……まあ、その辺は、センに任せておきましょうか。センなら諸々、うまくやれるでしょう)
クロッカの中で、センに対する評価と信頼がどんどん上がっていく。
素晴らしいパートナーに出会えた幸福で心がポカポカする。
(あとは、できれば、ケイルスも、こちら側に回ってほしいところ。彼女を正式にこちらに引き込むことが出来れば、革命軍の幹部候補層が、それなりに厚くなる……ただ、彼女の場合は、エリート志向が強すぎるし、魔人を毛嫌いしているところがあるから……『センを筆頭とした魔人部隊』を主力にしていく予定の、私の革命軍に入るのは……二の足を踏むことが予想される……)
3組の主力4人と戦いながら、
頭の中では、常に、今後の革命軍のことについて考えている。