103話 強くなりすぎた3組。
103話 強くなりすぎた3組。
センによって、バキバキに鍛えられたラスとハロ……
は、極力温存した状態で、2組を圧倒することに成功した(まったく闘わなかったわけではない。流石に、主力の二人がいないと勝てなかった)。
ちなみに、ビシャ&ジバは、二人とも、『事前にセンから与えられた指輪』を装着しており、かなり、存在値を抑えた状態で、このイベントに参加している。
この二人も、センの教導を受けたのだが、その際、メキメキと実力を向上させて、ハンパなく強くなってしまった。
ジバもビシャも、潜在能力がハンパなく、
ジバは、現状、普通に『十七眷属の中級』くらいの強さになっており、
ビシャにいたっては、もはや、十七眷属最強のラーズ(存在値90)とも、それなりにやりあえるほどの強さに達してしまった。
2人とも、あまりに強くなってしまったため、センは、この二人の『社会的な扱い』をどうするべきか悩んだ。
……特に、ビシャの強さはズバぬけており、この強さをそのまま表に出すのはいかがなものだろうかと考えた。
(龍神族や十七眷属の連中が、ビシャとジバの強さを、正式に理解した場合……何かしら、あれこれ言ってくるのは間違いない。それはそれで対応がメンドい。……こいつらの力を、このタイミングで晒すべきか……それとも、もう少し様子を見るか……)
色々と悩んだ結果、センは、二人に、
『今回は、この指輪を装着してイベントをこなせ。存在値が、だいたい、30ぐらいになる指輪だ。で、基本的に、イベント中は、後方支援を担当しろ』
と命令した。
……ちなみに、センは、ラスとハロ、ジバ&ビシャだけではなく、
使える時間の全部を使って、
3組に所属するメンツを鍛え上げていた。
ラスやハロほど、スパルタにはしなかったが、
全員に対して、厳しくも質の高い、超高水準の指導を行った結果、
3組全員の存在値がキッチリと底上げされた。
流石に、元々の差が大きかったため、総合力で言えば、まだ2組よりも下だが、しかし、
『ハンデ無しでやっても、まあまあ食らいつくことができる』というレベルではあるため、
「そこまで! 3組の勝利!」
1組との闘いでボロボロになっている2組は、順当に敗北した。
異様なほど成長している3組の実力を目の当たりにして、
クラス対抗イベントの見学にきていた来賓の御方々も、
目を丸くして、いったい何事かと、学校関係者に詰め寄っている。
※ ビシャやジバなどの、魔人が、3組の学生としてイベントに参加していることに関しては、事前にエトマス理事から説明を受けているので、特に何か言う者はいない。もちろん、それぞれ、思うところはあるだろうが、エトマスやクロッカが認めている以上、何も言えない。
詰め寄られ、口ごもる教師陣に代わり、来賓の対応をしたのはクロッカ。
クロッカは、鼻を高くして、
「わたくしの犬は、テロリストに対する番犬としても非常に優秀だけれど、それ以外に、指導者としても非常に優秀なのよ。だからこそ教師として推薦した。どう? 私は慧眼でしょう?」
そう言われて、身分の高い来賓の御方々は、ほぼ変顔と言っても過言ではない『困った顔』をするしかなかった。
クロッカの犬である『セン』が、普通に『人間』だったなら……来賓の方々の態度も、素直に、センを称えることが出来ただろう。
だが……流石に魔人が相手となると、なんとも言えなくなる。
もちろん、クロッカに対する『お嬢様は素晴らしい』『お嬢様の慧眼には恐れ入ります』『流石は、龍神族が誇る歴代最高格の才女』などといった『全力おべっか』は怠らないが、センそのものに関しての具体的な発言は、みんな避けている。
クロッカの犬である以上、変に侮蔑発言もできないし、
かといって、魔人をほめたたえるということも、立場上、難しい。
結果、全員が、変な表情で、クロッカだけを不自然に称えながら苦笑いするしかなくなるという奇異な状況に陥る。