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私達の冒険はこれからだ!  作者: 赤穂浪士
1/3

バカが三人集まっても、バカ三人にしかなんないよね!



「あたしの名前は晴田こころ。どこにでもいるごく平凡な高校1年生だ。入学してから早一ヶ月。それなりに友達が出来た私は、それなりに楽しく、学校へと通っていた」



「いや急に何言ってんだオマエ! そういうのはモノローグで言うやつだろ? はっきり口に出してるやつ見た事ねえよ!」



「ささみの言う通りね、まったく.........今日もまたいつもと変わらぬ日常。とりとめのない雑談に彩られた私たちの道筋は」



「それもモノローグでいいわ! てかそんなもんは心の中でも思うな!」



5月の暖かな風が通り抜ける住宅街。そこを周りの迷惑も考えずに3人並んで歩いている女子高生3人。



晴田こころ(ボケ) 桐崎ささみ(ツッコミ) 葉加瀬なな(大ボケ)



彼女らはとりとめのない雑談をしながら、学校を目指していた。


「...今なんか失礼な事を言われた気がするんだけれど、気のせいかしら?」


「なんだよ失礼な事って?」


「いやなんか、つけなくていいところに大をつけられていた気がするんだけれど。もはや役割では無く、悪口の様になっていた...」


「まあまあそんな事は置いておいてこうよ。どうでもいい事じゃない。.............あたしにはついてなかったけどね」


「むかーーーー!!」


「はあ、ったく急ごうぜ。遅刻しちまう...はっ!?」


ささみの視線の先には一匹の黒猫がいた。


「か、かわいい!! 触りたい!! だが落ち着け私。猫ちゃんは警戒心が強い。ここは慎重に近づくんだ! ム○ゴロウさんもかつてそう言っていた!」


「そんなものみんな分かってるし言うでしょう」


「ム○ゴロウさんが好きなだけだよねー」


「あっ!! 逃げられた!! な..ぜ..だ...」


「大きな声を出すからでしょう」


「こんなんで(ツッコミ)って名前の後につくとか笑えるね」



この物語はこいつら3人と、あといろんな奴らが出てくる青春コメディーである。


「やばいナレーションがもう話をまとめだしたぞ。遅刻しちまう!」


「なんか一々失礼な気がするわね」


「とりあえずGO!」




結局遅刻した。



高校 教室  昼休み


何故か教室でお弁当を食べる人が多い1年5組では、昼休みの教室が非常に騒がしい。


入学から一ヶ月。ある程度はグループができ、固定メンバーがつくられだす頃合いである。


そして教室の後方窓際という位置でクラスの中でも特に騒がしいグループが駄弁っていた。


「そういえばささみって弟がいるんだっけ?」


「うん?ああいるよ。中1のクソガキがな」


「ひどーい。まあささみの弟だしそりゃそうか」


「オマエの方がひどいわ!」


「ささみの家系だものね」


「もっとひどい!」


会話の内容はさておき、仲良くお弁当を一緒に食べているその様子だけを見ると、まるで普通の女子高生の様である。


「そういうオマエらはどうなんだよ。兄弟姉妹いないのか?」


「あたしは妹が2人いるよー」


「ええー意外すぎるぞ。まったく姉には見えん」


「ふっふっふそんな事ないんだなーそれが。この前も誕生日プレゼントあげたしね」


「なにをあげたのかしら?」


「金塊」


「「金塊!?!?」」


教室中に鳴り響いた。


「ど、どういうことだよ!? え、金塊ってあの金塊だよな!? 金に塊って書くやつだよな!?」


「刑事ドラマで犯人が盗んでるイメージしか無いあの金塊かしら!?」


「うん、そうだよ。いやー何が欲しいかよくわかんなかったからさ。とりあえず金塊売ったお金でなんか欲しいもの買って欲しいなーって」


「「.....ええー」」


「そのパターンって5000円とかでしょう」


「てかオマエんちってそんな金持ちだったのかよ」


(マジかよ....少し貧乏故に、苦労して育った結果、こんなに健やかに育ったパターンかと思ってたわ。敬語使おうかな)


(うそでしょ....もっと庶民的な価値観で馴染みやすい人かと思っていたわ....こんなドン引き価値観の持ち主だったなんて.....敬語使おうかしら)


「まあそういう贈り物もありですよね」


「ええそうですわ。流石ですこころさん」


「いやいいからそういうの」


「ま、まあそういう家庭もあるよな。あ、ななオマエは兄弟いるのか?」


ささみは大体こういう時に場を回す役である。


「姉が1人いるわ」


「へえー、まあちょっとイメージあるわ。誕生日とかは何あげてるんだ? オマエって喋り方上品だし、やっぱ名家出身だったり...」


「手編みのセーターよ」


「............................」


「いやめちゃくちゃ庶民的なのかよ! え?その喋り方で!?アニメとかのキャラだと絶対大金持ちじゃん!」


「やっぱり節制がいちばんよ」


「全然似合わねぇセリフ!」


「いやでも待ってささみ。今までのななの発言を思い返して見て」


「ええ?今までの?」


手を顎に当て、顔を少し俯かせるささみ。彼女は今日一日の会話を思い出していた。


(刑事ドラマで犯人が盗んでるイメージしか無いあの金塊かしら!?)


(そのパターンって5000円とかでしょう)


「めちゃくちゃ庶民的だったーー!!」


「伏線は貼られていたんだね」


「おいななこの前の小テスト何点だった?」


「25点よ」


「.......た、確か50点満点だったっけか」


「百点満点よ」


その瞬間のななの顔は何故か今日いちばんの笑顔だった。


「......その喋り方でバカなんかーーーい!!!!!」


またもや教室中に響き渡った。


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