表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/38

23話 暗澹 (2)




イラーマリン騎士団本部前に2台の馬車が止まった。銀色に塗装された馬車、引っ張っていた馬はどちらも立て髪は灰色で毛並みは黒だった。


扉が自動で開かれて中から毛皮のコートを肩に羽織りスーツを着て髪型は灰色のオールバック、どこからどう見ても悪人顔の男が出てきた。


男の名は"ベルルベット・ギルジーニ"

ベルルと呼ばれているその男はマフィアの構成員だった。


ベルルベットに続いて後から降りた2人。

緑色のスーツにドレッドヘアーを後ろで結び肌の色は黒かった。

名前は"スレッドエンド・バレッドデント"

スレッドと呼ばれている男はサングラスを外して胸ポケットに入れた。


そしてもう1人、その女性はこの男達といなかったらまるでリッチガーデンの貴婦人のようだった。

近くで見ていた人達は誘拐されてるんじゃないかと疑ったほどだ。


モココ調のロングドレスを着ていてフラワーリボンのレース付きボンネットを被っていた。

またお化粧も少し派手だが上品さも持ち合わせていた。

髪はボンネットから少し出ていて金髪だった。

そのまるで貴婦人のような女性の名前は"ブリリアント・オックスベール"。

その外観同様に皆からは貴婦人やブリアンと呼ばれている。


ベルルベット同様にその2人もマフィアの構成員であった。


「ここで間違いないですの?」

ブリリアントは扇で口元を隠しながら言った。


「ここにいるに決まってる。マフィアの店、強盗したハゲチョビンは」

スレッドエンドは緑のスーツの袖を整えた。


イラーマリン騎士団本部に3人が入ると中は騒がしかった。騎士団員の怒鳴り声や捕まえた犯罪者の訴える声が飛び交っていた。


ベルルベットは近くにいた椅子に座って仕事をしている男の前に立った。


「おい。今日ここに強盗したハゲがいるはずだ。そいつを取り調べ室に呼び出せ」


騎士団員の男は立ち上がる。


「何言ってんだ?あんた誰だ?」


ベルルベットは片手で男の胸ぐらを掴んだ。

身長差で騎士団員は浮く。


「話が分かんねえのか?今、俺はなんて言った?」


「や、やめろ!何してるかわかってるのか!」


ベルルベットは手を離す。

騎士団員の男は尻餅をついた。


するとスレッドエンドが後ろポケットから拳銃を取り出してその騎士団員に発砲する。


辺りに銃声が響く。

騒がしかった本部が静かになる。


吹き抜けになった2階の部屋から髪が薄くなった中年男性が顔を出す。

そしてその中年男性が走ってベルルベットの所まで来る。


「す、すいません!新人でして」


「今日、強盗で捕まったハゲいるだろ?」


その中年男性はイラーマリン騎士団団長のビジールー・バザーだった。


「はい。ダール・ドッコイって言う男でして容疑を認めていて」


「聞いてねえよそいつを取り調べ室に呼べ。今すぐに」


ベルルベットは先程、スレッドエンドが撃ち殺した騎士団員の椅子に座った。


ブリリアントは血飛沫がドレスについてないか確認した。

少ししてビジールが戻ってきて準備ができたと言った。


取り調べ室には応急処置をしてもらったダールが椅子に座っていた。


ベルルベットも向かい側に腰を下ろす。

ブリリアントが先に入りスレッドエンドが取り調べ室の扉を閉める。


「あんた見るからに騎士団員には見えないけどどこの誰だ?」


ダールの額には薄ら汗が出ていた。


「俺はジェラートファミリー幹部イーサン・コヨーテ直下構成員のベルルベット・ギルジーニだ」


ダールの足は少し震えていた。

手汗が吹き出して鼻の汗を拭く。


「今日、21区の服屋で何した?」


「……金を盗みました」


ベルルベットは足を組む。


「そこさ俺が経営してる店なんだわ。そんで聞いたところによると200万も盗んだんだろ?」


「そうです」

ダールは机のシミを見ながら答えた。


「そんで200万どこにやった?」


ベルルベットは足を組むのをやめてダールに近づく。


「………」


ダールは黙った。

ベルルベットは鼻から息を出してまた椅子に深く座る。


沈黙が流れて聞こえるのは壁に設置されている時計の針の音だけだった。


「ジェラートファミリーのこと知ってんだろ?迷惑かかるのはお前だけじゃなくてお前の家族にも親戚にも友達にも迷惑かかるぞ?」


スレッドエンドは壁に寄りかかりながら諭すように言った。


「……俺は………どうせ死ぬんでしょ?」


ダールは細い声で尋ねた。


「正直に言ったら別に死ななくてもいい。それより早く教えてくれよ」


今度はスレッドエンドが近づいて優しく尋ねた。


「……運転手と武器商人に渡した」


「武器商人の名前は?」


ダールは立ち上がると力点ポイントを発生させた。


「どうせ死ぬのになんでテメェらに教えなきゃいけねえんだ!」


スレッドエンドが拳銃を出して包帯でぐるぐる巻きになってる左足首に発砲する。


「ぐっがは」


ダールは椅子と一緒に倒れ込んだ。


「何か自暴自棄になってるみたいだが死ぬのは最後だぞ?」


ベルルベットも立ち上がりダールを見下ろす。


「今、楽に死ぬかお前が想像できない程の責苦の果てに殺されるか選べ」


ダールは唾を飲む。


「なんで教えようとしないのか俺には疑問だね」


スレッドエンドもお手上げのジェスチャーをする。


「あの時から弟が死んだ時から俺の人生は終わってたんだ。あんたらの金盗んだ瞬間から死ぬ事は確定してた」


ダールは左足首を押さえながら涙を流していた。


「何も上手くいかなかった。それでそのまま死ぬなんて!俺は嫌なんだ!最後はテメェらに抗って死ぬ!」


「どうする?」


スレッドエンドはベルルベットに向かって言った。


ベルルベットはダールの左足首を触る。

すると左足首が三つに増える。

増えた左足首は床に落ちた。


「俺の能力は物をコピーする事が出来る。そして」


落ちた三つの左足首が物凄いスピードでダールの元々の左足首に戻る。


完璧に戻った瞬間、ダールに気絶する程の痛みが襲った。


「ぎゃあああ!!」


「戻した瞬間にコピー元にダメージを与える事が出来る」


ダールは白目を剥き気絶する。

スレッドエンドが血だらけの左足首を踏むと痛みで目を覚ます。


「次は五つだ。お前が痛みに耐えられずに廃人になるまで続ける」


「あ、ああ分かった!分かった教える教えるからやめてくれ!」


ダールはまた左足首を触ろうとするベルルベットをやめさせる。


「ヴェニス!ヴェニスって言う商人だ」


「あっちゃーですわ」


「知ってるのか?ブリアン」


ブリリアントは扇で口元を隠しながら肩を落としていた。


「能力がついた武器を売り歩く旅商人ですの。リッチガーデンにも顧客がいますわ」


「よく知ってるな」スレッドエンドはブリリアントに目を向けた。


「常識ですわよ」


ブリリアントは自慢げに言った。


「まあいい。そいつに関しては穏便に済ませよう。いくら払った?」


ダールは今にも取れそうな足首を押さえながら過呼吸になっていた。


ベルルベットはダールの顔面に顔を近づける。


「これが最後だ。いくら払った?」


「うっはあはあ。百、、120万」


手についた血をハンカチで拭って太腿についた埃を払う。


ベルルベットがスレッドエンドに目を向けるとスレッドエンドが少し頷く。


ブリリアントが取り調べ室の扉を開く。

ベルルベットが取り調べ室を出た瞬間、後ろから銃声が聞こえた。




──────────────


次からはベルルベット → ベルル

スレッドエンド → スレッド

ブリリアント → ブリアン に変更します。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ