僕等の空気は生きている
僕等の嘘は昔から変わらず
変わったことといえば
広がり方と知り方くらいしかない
誰かのくだらない嘘も
誰かは見ているし
誰かは無視をしている
優しい嘘はあるか
悲しい嘘はあるか
あの嘘は駄目か
この嘘は良いか
裁判をされる
無数に飛び交う言葉の中に
要らない言語が含まれていて
今は無き砂嵐は
言語の砂嵐に置き換わった
正しさだけが欲しい人間の多さは
正しさだけが正義の人間を作り
盲信する夜空に花畑が広がっている
僕等の本音は昔から変わらず
変わったことといえば
水準の底上げくらいしかない
誰かのくだらない本音は
誰かの本音と混ざり
人の手を離れていく
嬉しい本音はあるか
嫌いな本音はできたか
腫れ物の本音と
誰もが使い易い本音
風に転がって行く
無限に飛び交う意識の中に
手を離れた意識が含まれていて
いま作られた新しい形は
その世界の住人に置き換わった
欲しい人間性はドラマ化され
理想の人間像を個人の脚本家が作り
馬鹿みたいな舞台で拍手を貰っている
薄汚れた空間に
空気清浄機を数台、置いたところで
窓や扉を開けるよりも
効果があるとは思わない
僕等の空気は生きている
空気は読むものじゃない
空気には寄り添うものだ
許容し、大切にし
蔑ろにし、切り捨てて
個人で寄り添った結果を
押し付け合うことである
読めないということは
それらをしないということだ
触らない他人に
何の意味があろうか