お母さんのいいつけでこの眼帯は外せませんっ!!
何年前になるか分からないあの日、私はお母さんととても大事な約束をした。
「レイラ、よく聞いてね?その右目は絶対に誰にも見せちゃ駄目。右目を隠す為に眼帯をつけてあげるけど、絶対に人前でとっちゃ駄目よ?」
「なんでみせちゃだめなの~?」
「え~っと…それはねぇ…その目を見られちゃうとこわ~い人に連れていかれちゃうからよ~。」
「え~!?そんなのやだ~。わかった、ぜったいみせない」
「ふふふ、分かってくれてうれしいわ。お母さんとの約束よ。」
…その約束を私は忘れたことはなかった。
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「うん。野菜もいい感じに育ってきてる。そろそろ収穫できるかな?」
季節は夏になり、畑で育てている野菜が例年通りに大きくみずみずしくなってきた。
私が7才の頃から始めた畑だが、10年も経つとなかなか立派な野菜が育てられるようになるもんだと感慨深くなるものだ。
私ことレイラは母と一緒に生まれた時から山で育ち、17年が経った今では大人の女性の仲間入りだ。
母から教えて貰った魔法は一通り使えるようになり、一人前と認めてもらった3年程前からは一人で山を散策することも許可されている。
「動物除けの結界もほつれてないし、そろそろ帰ろうかなぁ…って、山に人が入ってきてる?行商の人はこの前来たばっかりなんだけどな?」
そろそろ帰ろうとした所で人を検知する結界が作動してチャリンという音が響いた。
半年に一回ぐらいの間隔で来てくれる行商の人ぐらいしかこの山に入ってくる人はいない。
それ以外の人間など、この山では見たことがない。
きっと、何かいいものを手に入れたのだろう。行商の人は私達家族に結構よくしてくれているので時折こういうこともある。
そうして反応のあった方角へ進んでいったが行商人さんの姿が見当たらない。
結界のことを知っている行商人さんならばその場で動かずに待っていてくれるのだが…。
「きゃーーーー!」
っ!聞き慣れない女の子の叫び声だ。
この山はそれなりに危険な魔物がうろついているのだ。
きっと危険な目にあっているに違いない、急いで助けに向かわなければっ!
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「こっち来ないで!あっち行って!」
急いで叫び声の方まで走ってきてみれば、オオカミ数匹が6才ぐらいの女の子を囲んでいる光景が目に入った。だが、見る限り女の子に襲われたような形跡はないようで、どうやら助けは間に合ったようだ。
「吹き荒れろっ!ウィンドストーム!!」
「ほえっ?魔法?」
私が発動した魔法は少女を囲んでいたオオカミ達を全て吹き飛ばした。
オオカミ達は多少怯んだもののすぐに立ち上がったが、私の姿を見るやいなや彼方へと走り去ってしまった。
それなりの威力の魔法を使うことが出来る私はこの山の魔物達には恐れられているようで大体の魔物は逃げ去ってくれるのだ。
オオカミ達が立ち去ったので女の子と私だけがその場に残った。
「大丈夫?君1人だけみたいだけど…ここは魔物がたくさんいて危ないんだよ?」
「うん、大丈夫。あたし1人だけでもあの程度の魔物どうにかなってたよ。」
…何を言っているんだ、この女の子は。さっきまで大声で叫んでいたではないか。
まぁ、6才の女の子なのだ。根拠のない自信で言っているだけだろう。
「そうなの。まぁ、あなたが無事ならそれでいいのよ。
え~と、そうそう、自己紹介しなくちゃね。私の名前はレイラ。あなたの名前はなぁに?
どこからきたの?」
山を下りるのは女の子1人だけでは危険だし、女の子の住んでいる所を聞き出して送っていってあげよう。
「お姉さんレイラっていうのね?あたしの名前はアイシャよ。ドラルーク王国からきたの。」
「アイシャちゃんっていうんだ~可愛い名前だね。ドラルーク王国…?ドラルーク王国って山を10個ぐらい越えないとこれないと思うんだけど…本当にそこであってるの?」
「うん。あってるよ。」
…なんだか、事件の匂いがしますね。こんな小さな女の子、アイシャちゃんが1人でこんな山奥までこれないと思うし…、誘拐とか?でも誘拐犯の姿も近くにはいないようだし、逃げてきたのかな?
そうだとしたら、怖い思いをしてきただろうし深く事情を聞くのはやめておいた方がいいよね。
「そうなの。ちょうどね、お姉ちゃんはドラルーク王国に行く予定があったのよ。
あなたも帰りたいでしょ?一緒に来ない?」
まぁ、そんな予定は無いのだが。
自慢じゃないが私は生まれてこの方この山から出たことがないのである。
しかし、アイシャちゃんを安心させるためなら多少の嘘もじさないのである。
「お姉さんと一緒に…?まぁ、お姉さんと一緒にいると何故か安心するし、そろそろ帰りたい気分だったし…うん、いいよ。一緒にいこう?」
「よかった。じゃあ決まりね。ちょっとだけ待ってね?」
お母さんに念話で伝えておかないと…お母さん、心配しちゃうからね。
《おかあさーん!》
《なぁに?レイラ?》
《ちょっと迷子を見つけちゃって…。ちょっと送ってくるね。だからちょっと帰るのが遅くなるかも。》
《あら、そうなの?この山にはそうそう人は入ってくることはないのに…?不思議ねぇ…?まぁ、いいわ。1人で大丈夫?お母さんもついていこうか?》
《大丈夫だよ。送り届けるだけだからそこまで遅くなることもないだろうし1人で大丈夫。》
《心配だけど…そこまでいうなら、仕方ないわね。気をつけていってくるのよ?》
《うん。行ってきます》
よし、お母さんには山の外に出る許可も貰えたし、遅くなる前に行こうかな。
えへへ、初めての山以外の場所だ。ちょっと楽しみ。
「よし!アイシャちゃん行くよ!安心してね?お姉ちゃんテレポートの魔法も使えるから一瞬でドラルーク王国につくからね?さぁ手を繋いで?」
「お姉さん、テレポートも使えるんだ。すごい…。」
よ~し、ドラルーク王国に出発だー!
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「ですから、その眼帯を外して見せていただければ入国できません。」
「そんなー。」
無事テレポートでドラルーク王国の近くまで移動してきたのだが、ここで問題が起きた。
国に入るための身分証明書を求められたのだ。
しかし私は山育ち、そんなものは持ち合わせていませんでした。
他に手段はないかと尋ねてみたら、嘘発見器などを用いて犯罪歴などが無いかなどをチェックすれば後は通行料を払うだけで大丈夫だと聞いたので、検査をしていって問題がないと判断されたのだが…。
身体チェックで引っかかってしまったのだ。
「我が国に初めて入国される際には誰でも必ず行う審査ですので例外はございません。腕や脚、お腹や背中は見せていただきましたので最後にその眼帯さえとっていただければ、それだけで入国の許可はだせるのです。」
「えっと…、その…眼帯だけはとりたくなくて…。」
眼帯はお母さんとの約束で絶対に人に見せちゃいけない。
うぅぅ。何度も頼み込んでみたが衛兵さんは眼帯を取るまで入れてくれる気は無いようだ。
あーあ。王国、ちょっと楽しみにしてたのになぁ。お母さんにお土産買って帰りたかったなぁ。
まぁ、いいや。アイシャちゃんを送り届けるという本来の目的は果たせた訳だし、王国に入ってみたかったけど、あきらめて帰ろう。
「……わかりました。入国はあきらめ」
「おそーーーい!!いつまで待たせるのよ!!」
「…アイシャちゃん!?」
あきらめようと衛兵さんに伝えようとしたら別室で待っていてくれたアイシャちゃんが突撃してきてしまった。
待っていて欲しいと伝えたのだが、我慢しきれなかったようだ。
「あたしはこの後、お姉さんとショッピングに行く予定なのよ!もたもたしてたらお店が閉まっちゃうじゃない!」
「す、すみません。アイシャ様。もう少しで終わりますのでお待ちくだ」
「もう充分待ったのよ!もういい!お姉さん連れていくからね!」
「アイシャ様!お待ちくださいっ!アイシャ様!」
アイシャちゃんは私の手をひいて走り出した。
アイシャちゃんは子供だというのに信じられないスピードで走り出してしまい、私は少しよろけてしまった。
アイシャちゃんのスピードが速すぎたみたいで衛兵の人も追いつくことが出来なかったみたいだ。
……私、不法入国ってやつになっちゃってないかしら?
「えへへぇ。ショッピング楽しみね。お姉さん?」
私を引っぱって走るアイシャちゃんはとてもいい笑顔でした。
まぁ、入っちゃったものは仕方ないか。あとで衛兵さんには謝ろう。
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「アイシャ様こちらもどうぞ。」
「ありがとう。どう?お姉さん?この服かわいい?」
「とてもよく似合ってるよ。」
そんなこんなでショッピング中だ。
アイシャちゃんは山の中で服を破いてしまっていたようで、とりあえず服屋さんに行くことになったんだけど…。
さっきから気になっているのだけど、店員さんがアイシャちゃんのこと様付けしてるんだよね。さっきの衛兵さんもアイシャちゃんのこと様付けしてたし、アイシャちゃんってもしかして貴族なのかな?
だとしたらアイシャちゃん誘拐説が正しい気がしてきたな。
また、誘拐犯が襲ってくるかもしれないし早めに家に帰してあげないと。
「ねぇ~お姉さんも服を選ぼうよ~?」
「そうね。うーん。可愛い服が多くて悩んじゃうね。」
本当に服が多くて困っちゃう。
いやいや、そうじゃなくて。早くアイシャちゃんを送り届けてあげないと。
でも、行商人さんからしか買い物したことないし、お母さん以外の人と一緒に買い物をするのは初めてだ。
……もう少しだけショッピングを楽しんでからでも遅くないよね?
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「楽しかったねぇ。お姉さん。」
「うん。そうだね…。」
夕方である。というかもう日が沈みきるぐらいの時間だ。
さすがに遊びすぎたみたいだ。
でも楽しかった…。屋台に並んでいるものは面白いものばかりだったし、パフェっていう食べ物は甘くて美味しかったし…。
「じゃあ、アイシャちゃんそろそろ帰ろうか?もう遅いし、親御さんも心配してるだろうし。」
「えぇ~。お姉さんともっと一緒に遊びたい~。そうだ!今日は泊まっていきなよぉ。」
「いや、私はもう帰らないと。」
遅くなりすぎちゃってるし、お母さんが心配する。
早く帰らないと…。
「送っていってあげるよ、アイシャちゃん。聞いてなかったけどおうちはどこにあるの?」
「ん~とね~。私の家はー」
「やっと見つけたぞ。アイシャ。」
「あ、お兄ちゃん。」
突然、背後から話しかけられてびっくりしてしまった。
アイシャからお兄ちゃんと言われた男は兵士を何十人も連れ歩いていてどことなく威厳がある風格だった。
というか、兵士がいっぱい!?アイシャちゃんを迎えに来るにしてもそんなにいらないのでは!?
「えっと…アイシャちゃんのお兄さんですか?」
「あぁ、その通りだ。そこのアイシャがいつまで経っても戻ってこないから仕方なく迎えに来ることになってしまったんだ。」
「えへへぇ。ごめんねぇ。お兄ちゃん。」
「まぁいい。」
にこやかにはにかみながら笑って謝るアイシャちゃんに困ったように苦笑する。
兄妹仲が良さそうでいいなぁ。
アイシャちゃんも無事に送り届けることが出来た訳だし、これで私の役目は終わりかな?
よし、帰ろう!
「よかったね?アイシャちゃん。今日は楽しかったよ。じゃあ、お姉ちゃん帰るね?」
「いや、すまないが君にはいろいろと聞きたい事がある。我々と一緒に王城に来て貰いたい。」
「へ?」
聞きたいことってなんだ…?
あ!!そういえば私、不法入国してるんだった!
やばい~やばいよ~…檻に入れられちゃうのかな?
どうしようどうしよう。助けておかあさーん!!
「君がレイラ君だね?レイフォード・ドラルークだ。楽にしてもらってかまわないよ?」
「はぃいい。」
どうも…レイラです。王城に連れられて来たと思ったら、何が何だか分からない内にこの国の王様と王妃様に会うことになってしまいました。
なんで私、王様に会うことになってるの…?
「お姉ちゃんガッチガチ~。リラックスだよ。リラックス~。」
なぜか隣にアイシャちゃんもいるし、もう理解が追いつかないよ~。
「うむ。とりあえず礼を言っておこう。我が娘であるアイシャを連れ帰ってきてくれただけではなく面倒まで見てくれたらしいではないか。感謝する。」
「いえ…、あの当然のことをしただけです……って娘!?アイシャちゃん王女様だったの!?」
「そうだよ~。」
兵士さんとかお店の人が様付けしてるから貴族とかの偉い人なのかと思ってたけど、まさか王城様だったとは…。そうか…誘拐をされたにしてはやけに落ち着いてたと思ったけど王女様だと誘拐しようとする人も多いだろうし、アイシャちゃんは誘拐されなれてたのかもしれない。アイシャちゃんも苦労してるんだな…。
「毎度アイシャの脱走癖には手を焼いていてな。1週間以上帰ってこないこともあるなか2日で帰ってくきてくれるなんて感謝してもしきれない。」
「…って、アイシャちゃん!?家出してただけなのっ!?」
「家出じゃないよ~。おさんぽ~。」
誘拐じゃなくて…ただのお散歩…?
えぇ…?いや、それはおかしい。
「アイシャちゃんは山を10個も越えないといけないような所にいたんですよ!?それをアイシャちゃん1人だけで移動できるというんですか!?しかもたった2日で!というか王女様なんでしょ!?護衛の人は何をやってるんですか!?」
「あー、アイシャ。お前まだ見せてなかったのか。ちょうど良い、見せてあげなさい。」
「はーい。」
手を挙げながら大きな声で返事をしたアイシャちゃんが、かがむような姿勢になってうなり声をあげた。
何をしているんだろう?と思うよりも早くアイシャちゃんの背中から体の3倍はあろうかと思うような翼が生えてきて、その翼を大きく羽ばたかせた。
って翼!?翼が生えてるっ!?
「驚かせてしまったかな?ドラグノート王家には龍の血が流れていて、龍の力を一部ではあるが使うことが出来るのだ。まぁ、この力のせいでアイシャは護衛達をふりきって逃げ出してしまうんだよ。アイシャが1人でA級の魔物を倒せる実力があるからどこかに行ってしまっても無事に帰ってこれると知っていても追いかける事が出来ないから心配になってしまうよ。」
「1人でA級を倒せる…ってじゃあなんであのオオカミに襲われた時に叫び声をあげてたの?」
「お気に入りのスカートが破けちゃったんだよね…。」
がっくりとしてしまう。あのタイミングでは分からなかったことだけど、なんとも言えない気分になってしまった。
まぁ、アイシャちゃんがどうあっても無事だったのならよかった。
いや…でも、あれ?
「龍の力を王族が使えるってことは、王様や…お兄さんも翼を出せるんじゃないんですか?それならアイシャちゃんを追いかけて捕まえられるんじゃ…。」
「いや、私も息子であるカインも出せない。龍の証といわれるものが浮かび上がっている体の部位によって発現する力は違うからな。アイシャは背中に証があるから翼が出せるが、腕にある私は腕を龍に変えられるだけだし、カインは口の中にあるおかげで顎が頑丈なだけだしね。」
そう言いながら、王様は腕をめくってくれた。
確かにそこには龍の形のような印があった。けど、その印は初めて見るものではなかった。
「レイ~。ちょっと話が長いわよ。早く本題を話そうよ。」
「すまない、ルミア。それもそうだな。」
王様の横に座っていた王妃様であろう人が王様に話しかける。
本題とは一体なんだろう?あ、思い出した。私、不法入国したんだった。
あっ、あわあわ。処罰されちゃう。
「レイラちゃんだっけ?率直に聞くけど、その眼帯外して欲しいなぁ?」
「えと、すみません。お母さんのいいつけで絶対に外しちゃいけないことになってるんです。」
「ふ~…ん。お母さんのいいつけねぇ…。」
王妃様は王様と目配せをして頷いている。
何かを確信したかのような笑みに震えが止まらないです。
「眼帯も取らずに勝手に入国をしちゃうような子にはおしおきをしなきゃだけど~。今回は特別に許してあげちゃう。代わりに1つだけお願いしたいんだけどね。」
「許してくれるんですか!?はい!眼帯を外すこと以外だったら私、なんでもします!」
「おっけー。こちらが要求することはこれだけ………
君のお母さんに合わせて欲しいんだ。」
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「レイラ、遅いわね~。まぁ初めての町ですもんね。はしゃぎすぎているのでしょう。
山の中での暮らしだけでは知ることが出来ないことも多いでしょうしね。いままではどうしても動きづらかったけど、そろそろ旅行をレイラとしようかしら。あぁ、それがいいわ。
レイラが帰って来たら計画しましょう。どこに行こうかしら?」
諸事情により、私は外に出歩くことをしてこなかった。
でも…もう大丈夫だろう。何年も経ったんだ。あの人達も追いかけてくることはないはずだ。
それにしても、本当に遅いな…。帰って来たらちょっとだけお説教しないと。
チャリン
あ、帰って来たみたいだ。
玄関を開く音も聞こえてきたので、迎えに行く。
「おかえり~。遅かったじゃない…。心配したんだ、か…ら……。」
「久しぶり~ミラ。私も心配したわよ~。」
どうしてルミアがここにっ!いままでばれなかったのに、どうする!?とりあえずテレポートを……あっ!
「はい。逃がさないよ。テレポートは体が触れあってったら一緒に飛んで行っちゃう弱点はしってるんだよ?さぁ、一緒に話し合いましょう?」
「ひぃいいい!?」
怖いよ…目が怖いよ!?
「お母さんの取り乱す姿なんて初めて見た…。」
「あたしのお母さんもあんな怖い顔したことないよ…。」
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その後いろんなことがあった。
とりあえず私の眼帯に隠されていたのは王族のみに現われるという龍の証だということがわかった。
そう、実は私は王族の一員だったらしいのだ。私はどうやらお母さんと王様の娘らしく、アイシャちゃんとも姉妹ということになるらしい。
王様…レイフォードお父さんは、ルミアさんとお母さんの二人と結婚していたらしいのだが、結婚式前日に何故かお母さんは逃げ出してしまったらしい。
お父さんもルミアさんもお母さんの行動には驚いていたらしいのだが、昔から変な行動や言動をすることも多かったらしく、当日には帰ってくるだろうと待っていたらしいのだがいつまで経っても帰ってくることはなく、今に至るまで失踪していたという。
諦めることなくお母さんを探し続けたらしいが、痕跡は見当たらずどうしようかと悩んでいたところでカインと同じぐらいの年の眼帯で目を隠した少女が来たということが伝わってきて、手がかりを持っていると踏んで接触することに決めたらしい。
そして、初めて知ったことだがテレポートを使うには膨大な魔力と詠唱時間が必要らしく、10人以上の魔術師でないと発動出来ないらしい。
なぜ、私がテレポートを発動出来るのかというと、目に龍の証があるおかげで魔力の量が増えたりする効果も出てきたかららしい。同じくテレポートを使えるお母さんもそんな感じらしい。
アイシャちゃんから私がテレポートを使ったということを聞いて王様は私が龍の証を持っていると確信したらしい。
ルミアさんにお母さんが捕まった時は、いろんなことを喋っていたがどういった意味があったのだろうか?死刑になる~とかは分かるのだが、攻略対象とか悪役令嬢だとか言っていたのはどういう意味なのか未だに分からない。
まぁ、お母さんは泣きながらルミアさんの話を聞いていった結果、きょとんとした顔をしたと思ったら抵抗するのをやめて王城に帰ることに納得したらしい。
そうして、私とお母さんは王城で暮らすことになった。
周りのみんなは優しくてしてくれて、何不自由なく暮らすことが出来ている。
私のやりたいことも尊重してくれて、庭で野菜を作ることも許してくれた。
「お姉さーん。授業が始まりますよ~。」
「はーい。じゃあ一緒に行きますよ。」
お母さんにはいろいろ教えて貰っていたが、まだまだ足りないことも多いらしくせっかくだからということで今ではアイシャちゃんと一緒に授業を受けている。
「ところでお姉さん。もう隠す必要もないのになんでまだ眼帯をつけているのです?」
「あー…それはね……?」
私はお母さんの事が好きだから約束は破りたくないのだ。
だから私は誰に言われようともこう答えるのだ。
この眼帯はお母さんのいいつけで外せません。
なんとなく補足。
アイシャちゃんはそう簡単には人に心を許しません。
レイラちゃんから家族と同じ雰囲気を感じ取り、優しい雰囲気を感じたため一緒にいたいと考えたのです。
あと、主人公のレイラの名前はレイフォードとミラの二人の名前からつけられたという設定もありました。