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「カハッ!」


俺は喉からせりあがってくる物を地面に吐く。


ベチャ!という音と共に液体が地面に落ちる。


血だ。


この世界に来て初めてのダメージ。


全身にズキズキと響く痛み。


これは骨が折れてるな。


俺は急いでストレージからエリクサーを取り出して飲む。


「グッ!」


エリクサーを飲んだ事で全身の骨が元の形に修復される。


だが、ゲームの様に何事も無く直ぐに治りはしない。


高速で傷が治り、折れた骨が修復される…それに伴って俺の身体には熱と痛みが襲う。


「素晴らしい!この力があれば私に敵うものなど存在しない!」


傷が治り、痛みも引いた。


俺は先程まで邪神の力が封印されていた場所に目をやると、そこには地面に伏している王の姿と、その横に立っている男が居た。


王の横に立っている男は先日戦ったハーネストの様に肌が黒く、角と翼を持っている。


顔はイケメンと言っていい程整っており、眼鏡を掛けている。


ハーネストといいこの悪魔といい、悪魔というのは人間より整った顔立ちをしているのだろうか?


しかも邪神の力を取り込んだからか、悪魔の全身には青白く発光しているタトゥーの様な物がある。


見た感じ邪神の力を封印していた術式に似ている様にも見える。


が、まぁそんな事はどうでも良い。


見たところ、あの悪魔は邪神の力を取り込んでしまった様だし、外に出てしまう前に俺が仕留めなければならない。


「ん?なんだ、まだ生きていたのか…」


立ち上がった俺を見た悪魔はそう呟く。


先ずは状況判断をすることにしよう。


俺は思考加速を発動させる。


脳の働きが加速し、俺の思考だけが加速し、反対に周りの動きが急激に遅くなる。


そして魔力によるゴリ押しで悪魔に向けて時空魔法に統合されている時間魔法を発動させ、悪魔の時間を遅くする。


魔法は妨害される事も無く発動し、俺は思考が加速し、逆にあの悪魔は思考が遅くなった…これで少しは考える時間が稼げるだろう。


それにしても時間魔法が成功するとは思わなかった。


あの邪神にはデバフ系の魔法やスキルの効果は効かなかったし、今回もダメ元で使ってみたんだが…


邪神の力を取り込んで時間魔法の無効化すら出来ないなんて…まぁ今はそんなことを考えていてもしょうがないか。


多分あの悪魔は王の身体の中に隠れていた…またはハーネストが言っていた魔王候補の特別な能力とやらで存在を隠していたと考えるのが妥当だな。


邪神の力の封印に触れ、封印を破壊したのは王だった。


この部屋の中に居たのが俺と王の2人だけだったからそれは確定だ。


悪魔がこの部屋の中に居たなら悪魔の足元には光が出るはずだから一目でわかった筈。


特殊能力と言えど神が作った謎仕様より優れているという事はないだろうからな。


だから消去法的に始めに考えた方が正しいと思う。


仮説としては、あの悪魔は邪神の力を手に入れる為に王国に侵入。


まぁこれは姿を変えたり、隠したりすれば容易に入ることが出来るだろう。


翼も有るし、空を飛んで進入する事はできる筈だ。


次に王城に進入…これは警備が薄い夜中なら簡単に進入する事ができる筈だ。


この世界には赤外線センサーも常時発動する侵入者を感知する魔道具も無いからな。


有ったとしたらわざわざ門番や見回りをする必要が無い訳だし。


そして王城に侵入した悪魔は邪神の力の封印について調べる為に王に近づいた…という感じだろうか?


情報収集をしつつ、近衛騎士や警備から身を隠す為に特殊能力で王の中に隠れていたというのが、俺の予想だ。


それならば気配感知に優れた者でも悪魔の存在を知ることは出来ないし、そもそも、人の中に悪魔が入っているなんて予想できる奴は居ないだろうからな。


それで、王が封印を確かめる時に邪神の力を取り込もうとしたが、その時に俺がやってきたという感じだろう。

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